Ubuntu Weekly Recipe

第112回Bansheeを使用して携帯音楽プレーヤと同期する

デフォルトの音楽プレーヤ候補にもなったBanshee

Ubuntu 9.10開発中に、デフォルトの音楽プレーヤがRhythmboxからBansheeに変更されるというアイディアが出されましたが、結局は見送りとなりました。これは、Rhythmboxよりも優れたところもある、ということを示しています。Rhythmboxを取り上げた第79回と比較し、使いやすそうな方を選択していただければと思います。筆者は79回執筆時と環境が変わったこともあり、最近はもっぱらBansheeばかりを使用するようになりました。

BansheeはNovellによって開発され、Microsoftの.Net Framework互換実装であるMonoで動作します。UbuntuだとMonoは標準でインストールされるので、インストール時にMonoを含むたくさんのパッケージがダウンロードされる、ということはありません。注意点としては、現状ARM環境では動作しないため、NetWalkerでは使用できません。

インストール

インストールは、[ソフトウェア・センター]から行います。[分類]の[サウンドとビデオ]に[Banshee Media Player]があるので、インストールします。パスワード入力後しばらく待っているとインストールが完了し、[アプリケーション]-[サウンドとビデオ]-[Banshee Media Player]で起動します。

図1 Banshee Media Playerの[→]をクリックする
図1 Banshee Media Playerの[→]をクリックする
図2 [インストール]をクリックする
図2 [インストール]をクリックする
図3 Bansheeを起動したところ
図3 Bansheeを起動したところ

インポート

ここで使用する携帯音楽プレーヤは、CowonのiAUDIO 7です。このプレーヤのように普通にUSB Mass Storage Classでマウントできるものは同じように動作すると思われますが、AppleのiPodなどは筆者が所持していないので、確認できません(※1⁠。

実際にインポートする前に、設定変更する必要があります。[編集]-[Preference]のGeneralタブで[Copy files to media folders when importing](インポート時、メディアフォルダにファイルをコピーする)にチェックを入れます。チェックを入れたら、[Media]-[Import Media]をクリックし、[Import Media to Library]ダイアログでお使いの携帯音楽プレーヤ(例では[iAUDIO 7])を選択します。インポートが開始され、デフォルトの設定ではホームフォルダ以下にあるMusicフォルダにコピーされます。

図4 [Copy files to media folders when importing]にチェックを入れる
図4 [Copy files to media folders when importing]にチェックを入れる
図5 携帯音楽プレーヤを選択する
図5 携帯音楽プレーヤを選択する
図6 インポートが完了したところ。文字化けしているのはMP3のファイル
図6 インポートが完了したところ。文字化けしているのはMP3のファイル

同期の設定

左ペインの携帯音楽プレーヤ名(ここではiAUDIO 7)をクリックすると、[Sync Preference]が表示されます。デフォルトでは[Manually manage this device]にチェックが入っています。すなわち、手動で同期する(=同期機能を使用しない)という意味です。これのチェックを外すと[iAUDIO 7 との同期]というボタンが表示されるようになり、クリックするとPCのフォルダの内容を携帯音楽プレーヤに同期します。注意点は、あくまでPC→携帯音楽プレーヤであり、その逆ではないということです。もしPCになくて携帯音楽プレーヤにある場合は、そのファイルは削除されてしまいます。

[Automatically sync the device when plugged in or when the libraries change]、訳すと「デバイスが接続された場合またはライブラリに変更があった場合、自動的に同期する」という機能もありますが、ここでは使用をお勧めしません。

図7 デフォルトだと[Manually manage this device]にチェックが入っている
図7 デフォルトだと[Manually manage this device]にチェックが入っている
図8 チェックを外すと[iAUDIO 7 との同期]というボタンが右上に表示される
図8 チェックを外すと[iAUDIO 7 との同期]というボタンが右上に表示される
図9 次項でリッピングしたファイルを同期中
図9 次項でリッピングしたファイルを同期中

CDをリッピングする

いちおうBansheeにもリッピング機能はありますが、CDのデータベースが若干弱いようで、ほかのアプリケーションだとアーティスト名や曲名などのメタデータを取得することができても、これだとできない、ということがあります。その場合は、[Sound Juicer](音楽CD取り込みツール)などをインストールし、リッピングするといいでしょう。インポートしたデータと同じフォルダ(この場合はMusicフォルダ)にリッピングし、[ツール]-[Rescan Music Library]をクリックすると、ライブラリが更新されます。

図10 Bansheeだと曲の情報を取得できない
図10 Bansheeだと曲の情報を取得できない
図11 Sound Juicer(音楽CD取り込みツール)だと表示される
図11 Sound Juicer(音楽CD取り込みツール)だと表示される
図12 ライブラリを更新して、リッピングした曲が表示された
図12 ライブラリを更新して、リッピングした曲が表示された

Last.fmとの連係機能

BansheeにはLast.fmと連携する機能があります。アカウントを取得してログインすると、再生した曲をLast.fmに報告し、自分がどのアーティストや曲をどのぐらい再生しているかがわかります。そればかりでなく、Amazonのようにそのアーティストや曲を聴いている人はほかにどういうアーティストを聞いているのかを表示したり、そのアーティストの人気アルバムや人気曲(人気トラック)を表示する機能もあり、興味深いデータを得ることができます。

[ツール]-[Last.fm]-[設定]でダイアログを表示し、アカウントがない場合は[Sign up for Last.fm]をクリックしてアカウントを取得します。取得したら、[ユーザ名]と[パスワード]を入力して[Save and Log In]をクリックしてログインします。

あとは、普通に再生すると下のペインに曲にまつわる情報が表示されます。

図13 Last.fmのログインダイアログ。アカウントがない場合は[Sign up for Last.fm]をクリックする
図13 Last.fmのログインダイアログ。アカウントがない場合は[Sign up for Last.fm]をクリックする
図14 [Sign up for Last.fm]をクリックすると、Webブラウザが起動してLast.fmの登録画面が表示される
図14 [Sign up for Last.fm]をクリックすると、Webブラウザが起動してLast.fmの登録画面が表示される
図15 Last.fmにログインすると、下のペインに[お薦めアーティスト]などが表示される
図15 Last.fmにログインすると、下のペインに[お薦めアーティスト]などが表示される

DAAPクライアント機能

BansheeにももちろんDAAPクライアント機能があります。mt-daapdなどDAAPサーバが動作していると自動的に[Shared Music]に追加されるので、これをクリックしてサーバに接続し、データを読み込みます。

環境固有の問題なのか確認していませんが、RhythmboxでDAAP経由で曲を再生すると、曲の頭がちょっと再生されずに違和感を感じる現象を確認していますが、Bansheeだとそのような現象に遭遇していません。DAAPをお使いの方はこれだけでもBansheeを使用する価値があるのではないかと思います。

イコライザ

Bansheeにはイコライザもあります。[表示]-[Equalizer]で表示できます。環境や好みに応じて調整してみてください。

図16 シンプルなイコライザのウィンドウ
図16 シンプルなイコライザのウィンドウ

次回は、ちょっと変わった方法でUbuntuのライブCDを作成する方法を紹介します。

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