今週のレシピでは、Ubuntu上でのAndroid開発環境構築を紹介します。コードのビルドと実行のターゲットには、先週紹介したIDEOSを使用することにします。
Android SDKのインストール
Androidプログラミングをはじめるためには、Android SDKをインストールする必要があります。Android SDKはAndroid DevelopersのサイトからLinux用のtarボールをダウンロードして任意のディレクトリに展開してください。
SDKの展開が完了したら、ADV Managerを起動します。
ADV ManagerではAndroid SDKに含まれる、ターゲットとなるAndroidの各バージョンごとのAPIや、サンプルコードなどを個別にインストールすることが可能です。また後述するバーチャルデバイスの作成もここから行います。
「Available packages」を選択し、「Android Repository」から必要なパッケージを選択しましょう。ここでは「Android SDK Platform-tools, revision 1」と、IDEOSのAndroidバージョンは2.2ですので「SDK Platform Android 2.2, API 8, revision 2」が最低限必要です。ついでにドキュメントやサンプルコードをインストールしておくのもよいでしょう。インストールしたいパッケージにチェックを入れたら、「Install Selected」をクリックしてください。選択したパッケージの確認画面が表示されたら、「Accept」を選択して「Install」をクリックします。
デバッグモードとパーミッションの設定
開発を行なっていくにあたり、Android端末をデバッグモードで接続しておく必要があります。まず、IDEOS側の「設定」->「アプリケーション」->「開発」から「USBデバッグ」をONにします。
次に、IDEOSが接続された際のudevのルールを追加します。/etc/udev/rules.d に新規ファイルを作成し、以下のルールを記述します。デフォルトではユーザ権限でIDEOSのデバイスファイルにアクセスすることができませんので、このルールでパーミッションを"666"に指定しています[1]。
なお、他のAndroid端末を使う場合は、lsusbコマンドで得られるベンダidとプロダクトidに読みかえてください。例えばSHARPのIS01でしたら以下のようになります[2]。
開発環境の設定
Eclipseのインストール
Android開発には、統合開発環境であるEclipseとプラグインを利用するのが最も簡単です。今回はUbuntuのリポジトリに用意されているEclipse 3.5.2を利用します。
Pleiadesのインストール
Eclipseを日本語化するため、MergeDoc Projectの成果物であるPleiadesを利用します。Pleiadesもパッケージとしてリポジトリに用意されていますので、導入は簡単です。
Pleiadesはインストールしただけでは適用されません。/etc/eclipse.ini に設定を追記する必要があります[3]。
ADTプラグインのインストール
Eclipseのインストールが完了したら、ADTプラグインをインストールします。Eclipseのメニューの「ヘルプ」->「新規ソフトウェアのインストール」->「追加」を開き、「ロケーション」に次のURLを入力してください。「名前」は任意の名前を入力して構いません。
追加が完了したら、「作業対象」に上記URLを入力してください。インストールできるソフトウェアの一覧が表示されますので、「Developer Tools」をチェックして「次へ」をクリックします。ライセンスのレビューが表示されますので、ライセンスを確認した上で「使用条件の条項に同意します」を選択して「完了」をクリックしてください。
次に、ADTプラグインの設定を行います。Eclipseのメニューから「ウィンドウ」->「設定」->「Android」を拓き、「SDKロケーション」にAndroid SDKを展開したディレクトリを指定して「適用」をクリックします。ディレクトリの指定が適切ならば、インストールされているSDK Platform APIのバージョンが表示されます。
プロジェクトの作成とビルド
それでは定番のHelloWorldをチュートリアルにそって実行してみましょう。Eclipseを起動して「ファイル」->「新規」->「プロジェクト」->「Androidプロジェクト」を選択します。新規Androidプロジェクトのウィザードダイアログが表示されますので、名前やターゲットを指定します。ビルドターゲットはADV Managerでインストール済みのSDK Platform APIが表示されますので、複数のバージョンをインストールしている場合は注意してください。
プロジェクト名 | HelloIDEOS |
ビルドターゲット | Android 2.2 |
アプリケーション名 | Hello, IDEOS |
パッケージ名 | com.example.helloideos |
Create Activity | HelloIDEOS |
これでプロジェクトのひな型が作成されました。プロジェクトエクスプローラに「HelloIDEOS」プロジェクトが生成されているのが確認できるはずです。ここから「HelloIDEOS」->「src」->「com.example.helloideos」->「HelloIDEOS.java」を開き、エディタでソースを以下のように修正します[4]。
ソースの修正が完了したら、プログラムを実行してみましょう。IDEOSがUSBでUbuntuと接続されていることを確認したら、メニューの「実行」->「実行」を選択します。実行方法の選択ダイアログが表示されますので「Androidアプリケーション」を選択してください。アプリケーションのビルドとパッケージング、そしてIDEOSへのアップロードとインストールが自動的に行われ、IDEOS上でアプリケーションが起動します[5]。