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第347回Ubuntu GNOME 14.10の変更点

今回は、相対的に変更点が多いUbuntu GNOME 14.10の紹介をします。

Ubuntu GNOME 14.10≒GNOME 3.12

Ubuntu GNOMEはGNOMEのコンポーネントのバージョンを揃えることをしない、というか事実上できないことになっています。これはリリーススケジュールの都合もありますし、Ubuntuで使われているGNOMEのコンポーネントをUbuntu GNOME側の都合で上げることができないのも原因と思われますが[1]⁠、実のところUbuntu GNOMEの開発者が不足しているのも事実です[2]⁠。

それはさておき、おもなコンポーネントのバージョンを表にしてみました。ただしデフォルトでインストールされているものだけです。また、最新バージョンが3.14でないものは除いてあります[3]⁠。

表1 Ubuntu GNOME 14.10のコンポーネント(抜粋)
バージョン コンポーネント(パッケージ名)
3.6.x gnome-terminal
3.8.x gnome-bluetooth、gnome-color-manager、gnome-contacts、gnome-power-manager、gnome-system-monitor、vino
3.9.90 gnome-session
3.10.x file-roller、gdm、gnome-calculator、gnome-disk-utility、gnome-keyring、gnome-screenshot、nautilus、totem
3.12.x aisleriot、cheese、eog、evolution、gcr、gnome-control-center、gnome-documents、gnome-font-viewer、gnome-icon-theme、gnome-mahjongg、gnome-maps、gnome-mines、gnome-online-accounts、gnome-orca、gnome-settings-daemon、gnome-shell、gnome-shell-extensions、gnome-sudoku、gnome-sushi、gnome-themes-standard、gnome-tweak-tool、gnome-user-guide、gnome-weather、mutter、seahorse、yelp、zenity
3.14.x evince、gucharmap、simple-scan

ダウンロードとインストール

ダウンロードはダウンロードのページから行ってください。他のUbuntuフレーバーと比較してわかりにくくなっていますのでご注意ください。インストールは、Ubuntuやそのフレーバーと変わるところはとくにありません。リリースノートもありますが、今回はとくに注意すべき点などはなさそうです。

GNOME Shellやその他の変更点

Ubuntu GNOME 14.04のGNOME Shell 3.10では有線LANで接続している場合のステータスが表示されませんが、Ubuntu GNOME 14.10の3.12では表示されるようになったので、接続されているかどうかがわかりやすくなりました図1、2⁠。

図1 Ubuntu GNOME 14.04(GNOME Shell 3.10)のシステムステータスメニュー
図1 Ubuntu GNOME 14.04(GNOME Shell 3.10)のシステムステータスメニュー
図2 Ubuntu GNOME 14.10(GNOME Shell 3.12)のシステムステータスメニュー
図2 Ubuntu GNOME 14.10(GNOME Shell 3.12)のシステムステータスメニュー

設定(gnome-control-center)も3.12にバージョンアップし、いろいろと変更点があります図3、4⁠。⁠地域と言語]は後述しますが、スクリーンのロックの解除は[画面の明るさとロック]ではなく[プライバシー][画面ロック]からに変更されました。なお、筆者が確認したところでは[共有]は動作しませんでした。

図3 Ubuntu GNOME 14.04のシステム設定
図3 Ubuntu GNOME 14.04のシステム設定
図4 Ubuntu GNOME 14.10のシステム設定
図4 Ubuntu GNOME 14.10のシステム設定

デフォルトのアプリケーション

14.10からは、地図(gnome-maps)図5と天気(gnome-weather)図6がデフォルトのアプリケーションとして追加されました。

図5 追加された地図アプリケーション
図5 追加された地図アプリケーション
図6 追加された天気アプリケーション
図6 追加された天気アプリケーション

日本語入力(インプットメソッド)関連

第320回では「大きな変更はありません」と書きましたが、これは誤りでした。入力ソースを決定する仕組みが大幅に変更されていました。13.10までは日本語でログインした場合はgnome-settings-daemonがAnthy(ibus-anthy)を問答無用で登録するようになっていました。問答無用というのは、ibus-anthyがインストールされているかどうかは確認していない、ということです。このバージョンから派生(フォーク)したunity-settings-daemonでも同じ仕様を引き継いでいます。具体的には(日本語Remixではない)Ubuntuにはibus-anthyはインストールされていませんが、キーボードインジケーターには表示されています図7⁠。

図7 Ubuntu 14.04/14.10ではibus-anthyがインストールされていないにもかかわらずキーボードインジケーターには表示されている
図7 Ubuntu 14.04/14.10ではibus-anthyがインストールされていないにもかかわらずキーボードインジケーターには表示されている

14.04からはもっと優れた仕組みになりました。IBusは起動時にロケールを確認して、自動的に入力ソース(IBus自身の用語では「インプットメソッド⁠⁠)を登録します。gnome-settings-daemonはその登録した入力ソース(インプットメソッド)を読み取り、gnome-settings-daemon自身でも登録します[4]⁠。

ただし、まれにこの仕組みがうまく動作せず、入力ソースが設定されないということがありました。そういった場合、あるいはあとから追加したものを登録する方法は14.10で変更されました。⁠地域と言語]をクリックするところまでは同じなのですが図8⁠、その先はまるで変わっています。入力ソースの左下の「+」をクリックし、一番下の点3つをクリックします。すると[その他]が表示されるのでこれをクリックします。この中に日本語関連の入力ソースがあるので、追加したいものを選択して[追加]をクリックします図9⁠。

図8 まるで変わってしまった[地域と言語]の画面
図8 まるで変わってしまった[地域と言語]の画面
図9 入力ソースのリスト
図9 入力ソースのリスト

なお、今回の例は新顔のibus-kkcを使用しています。使用したい場合は⁠ibus-kkc⁠パッケージをインストールし、端末から

$ ibus restart

を実行します。続けて

$ ibus list-engine

を実行し、⁠言語: 日本語]のところに⁠kkc⁠があると、今回の[日本語 (かな漢字)]を追加することができるようになります。事前にibus-kkcパッケージをインストールしていない場合は、これを実行してから入力ソースを追加してください。

拡張機能

まず、Webブラウザーのプラグインの都合上GNOME Shell Extensionsにアクセスする場合はFirefoxか別途インストールしたWeb(Epiphany)を使用してください。Chrome/iumでは拡張機能のインストールができなくなりました。原因はFlashのプラグインが使用できなくなったのと同様です。また、Firefoxでは拡張機能のチェックも行われるようになりましたので、有効にする必要があります。

執筆段階ではAppIndicator SupportDash to DockTopIconsも動作しましたが、今後拡張機能の開発によって動作しなくなる可能性はあります。

前述のとおり今回からは天気アプリも追加されましたが、これは常時表示されていても良い情報です。と言うわけで、Weatherという拡張機能もおすすめです[5]⁠。サスペンドを常用する場合は、Suspend Buttonをインストールしておくと良いでしょう。

拡張機能は他にもたくさんありますので、お好みのものを探してみてください。

GNOME Flashback

gnome-session-flashbackパッケージをインストールし、ログイン時に⁠GNOME Flashback (Metacity)⁠を選択すると、GNOME Flashbackが使用できます。14.04との変更点はいろいろありますが、おそらく気づくところはないのではないかと思います。大きな変更点としては、MetacityがGTK+ 3.xにポートされました。相変わらずテーマの配色は見にくいので、⁠clearlooks-phenix-theme⁠パッケージをインストールしてTweak Toolを起動し、⁠外観]の設定を変更すると良いでしょう。

より完全なGNOME 3.12とGNOME 3.14

より完全なGNOME 3.12にするために、GNOME 3 PPAが用意されています図10⁠。意図したとおりに動作するのか、一度仮想環境で試してみると良いでしょう。GNOME 3 PPAGNOME3 Stagingを両方有効にするとGNOME 3.14にすることもできます。

図10 GNOME 3 PPAを有効にするとGNOME端末は設定画面が大きく変わる。geditは見てのとおりヘッダーバーを採用してまったく違うものに見える
図10 GNOME 3 PPAを有効にするとGNOME端末は設定画面が大きく変わる。geditは見てのとおりヘッダーバーを採用してまったく違うものに見える

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