Ubuntu Weekly Recipe

第536回Joplinでメモを取る

今回はさまざまクラウドサービスと連携して使用するオープンソースでマルチプラットフォームなメモ管理ツール、Joplinについて紹介します。

JoplinとQOwnNotes

第530回で紹介したように、Ubuntuでメモを取り、クラウドサービスで同期するツールとして著名なものに、QOwnNotesJoplinがあります。第530回における説明と重複しますが、QOwnNotesもJoplinもオープンソースでマルチプラットフォームなため、Ubuntuを使っていなくても利用できます。

JoplinもQOwnNotesもMarkdown形式でメモを書き、クラウドサービスで同期するのは同じですが、JoplinはownCloud/Nextcloudのほか、WebDAV/Google Drive/Microsoft OneDriveからも選択できます。すなわちownCloud/NextcloudのみのQOwnNotesよりも汎用性が高いです。またWebクリップ機能といってWebブラウザーで表示しているページを取り込む機能や、インポート/エクスポート機能も充実しており、多機能です[1]⁠。

インストール

早速Joplinをインストールします。Ubuntuで使えるパッケージとしてはAppImage版しかありません。よってReleasesのページから拡張子が「AppImage」のパッケージをダウンロードします。そして右クリックし、⁠プロパティ」「アクセス権」タブにある「実行」にチェックを入れます図1⁠。これでダブルクリックすると起動しますが、⁠Install」というダイアログが表示されます図2⁠。このダイアログは「Yes」をクリックしない限り出続けますが、すこし使うくらいであれば「No」を選択するのがいいでしょう。⁠Yes」を選択すると~/.local/share/applicationsにファイル(appimagekit-joplin.desktop)ができ、メニューから起動できるようになります図3⁠。

図1 ⁠プログラムとして実行可能」にチェックを入れる
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図2 ⁠Yes」をクリックするとメニューから起動できるようになる
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図3 メニューに「Joplin」が登録されている
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AppImageにはアップデートする仕組みがないため、新バージョンをダウンロードするたびに同じことをする必要があります。

基本的な使い方

Joplinを起動すると、左にあるサイドバーに「ノートブックがありません」と表示されています図4⁠。そこで最初に「新しいノートブック」をクリックしてノートブックを作成します。その際にノートブックの名前を決定します。続けて「新しいノート」あるいは「新しいToDo」で、ノートやスケジュール(ToDo)の作成を行います。ノートの各ページが「ノート⁠⁠、それを束ねたものがノートブックと理解するとわかりやすいでしょう。

図4 Joplinの初回起動後。⁠新しいノートブック」をクリックする
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ノートやスケジュール(ToDo)はもちろん、ノートブックも複数作成できます。必要に応じて分類するといいでしょう。また、タグをつけることによって分類することもできます。

3ペインのうち一番左側がサイドバーで、⁠Toggle Sidebar」で表示非表示の切り替えができます。中央がノートリストで、実際にMarkdown形式で入力するのは一番右のペインですが、編集時はさらに分割され、右側にプレビュー用のペインが表示されます。Markdown用のペインは「レイアウト」ボタンで表示非表示の切り替えができます。

Webクリッパー

Webクリッパー機能を使うと、Webブラウザーで表示しているページをノートとしてJoplinに取り込むことができます。まずは「ツール⁠⁠-⁠Web clipper options」をクリックします図5⁠。Step1と2に分かれており、Step1で「Enable Web Clipper Server」をクリックします。Step2でFirefoxあるいはGoogle Chrome(あるいはその両方)の拡張機能をインストールします。するとWebブラウザーにJoplin Web Clipperアイコンができるので、取り込みたいWebページでこのアイコンをクリックします。

図5 Clipperオプションの画面
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クリックすると取り込む方法が4つと、取り込むノートブックが表示されるので、それぞれ決定します。今回は「Clip complete page」にします。すると下に「Confirm」が表示されます図6⁠。これをクリックするとJoplinに取り込まれます図7⁠。

図6 Webブラウザー(Firefox)のアイコンをクリックし、取り込みたいWebページで「Clip complete page」をクリックし、⁠Confirm」をクリックする
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図7 Joplinに取り込まれた
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同期の設定

Joplinの設定は「ツール⁠⁠-⁠General Options」で行います図8⁠。項目は多岐に渡りますが、今回は「同期先」のみ紹介します。ほかの設定は好みに応じて適宜行ってください。

図8 ⁠General Options」の画面
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「同期の設定」の選択肢は「File system」⁠OneDrive」⁠OneDrive Dev (for testing only)」⁠Nextcloud」⁠WebDAV」⁠Dropbox」の6つです。とはいえNextcloudとの同期にはWebDAVサーバー機能を使用しているため、実質「WebDAV」と同様です。もちろんownCloudは「Nextcloud」で設定できます。

「File system」⁠Nextcloud」⁠WebDAV」の3つは選択すると設定項目が表示されるので図9⁠、各項目を入力していけばいいでしょう。⁠OneDrive」「Dropbox」については、選択した上で「OK」をクリックして設定画面を終了します。

図9 ⁠Nextcloud」を選択すると、NextcloudのWebDAV機能のURLなどを入力する欄が表示される
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「OneDrive」「Dropbox」のアカウントの設定は、サイドバーの下にある「同期」をクリックします図10⁠。するとそれぞれのWebログイン画面が表示され図11⁠、ログイン後に同期が開始します。

図10 ⁠OneDrive」「Dropbox」を選択した場合は、⁠同期」をクリックする
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図11 OneDriveの場合、Microsoftアカウントへのログインが必要
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ただしOneDriveとの同期には注意が必要で、今回試してみると同期にすごく時間がかかり、またAPIの都合上1つのファイルが4MBまでという制限があるようです。

インポートとエクスポート

Joplinはインポートとエクスポート機能も充実しています。インポートは「JEX」⁠MD (ファイル)」⁠MD (Directory)」⁠RAW」⁠ENEX」の5つです。JEXは、Joplinの独自形式(JEX)でエクスポートしたものをインポートします。MDはMarkdown形式のインポートですが、単一ファイルの場合は「MD (ファイル)」にします。これでノートとしてインポートされます。⁠MD (Directory)」はフォルダーごとMarkdownをノートブックとしてインポートします。なお、MDでのインポートはファイルのみで、リンクされている画像等はインポートされませんので、別途編集する必要があります。⁠RAW」はJoplinの保存形式そのままのインポートで、事実上バックアップのリストア機能です。⁠ENEX」はEvernoteの形式です。

エクスポートは「JEX」⁠RAW」⁠PDF」の3つです。⁠JEX」は前述のとおりJoplin独自形式で、⁠RAW」は事実上バックアップとしてエクスポートします。⁠PDF」はプレビュー画面をPDFにエクスポートします。

エンドツーエンド暗号化

今回は使用しませんが、ファイルを暗号化することもできます。⁠ツール⁠⁠-⁠Encryption options」で設定できます。

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