明日10月14日にリリースされる予定のUbuntu 21.10の変更点をかいつまんでお知らせします。
Ubuntu 21.10
10月14日にUbuntu 21.10(Impish Indri)とそのフレーバー(公式派生版)がリリースされる予定です。今回はUbuntu 21.10の新機能についていくつかピックアップしてお知らせします。
今回のリリースはかなり大きな変更点があります。
Ubuntu 21.10 ≒ GNOME 40
Ubuntu 21.04ではGNOMEのバージョンは3.38に据え置かれていましたが、この21.10では次のバージョンである40になりました。バージョニングが変わっていることからも推測できるようにかなり大きな変更点がありますが、Ubuntuでは極力今までとの違いがないように調整されています。
図1は起動直後のデスクトップ画面です。これだけを見ると壁紙とゴミ箱アイコン関連を除いて21.04とあまり変わりがないように見えますが、Dockの一番下にある「アプリケーションを表示」アイコン(ベントーメニュー)をクリックすると、上部にワークスペースが2つ表示されています(図2)。ここからもわかるとおり、従来は縦に並んでいたワークスペースがGNOME 40以降は横になりました。
いきなり横道にそれますが、Ubuntuでも「gnome-session」パッケージをインストールし、GDMで選択すると(アートワークを除いて)UbuntuによるカスタマイズがないGNOMEセッションを使用できます。
このGNOMEセッションで確認してみると、図3がオーバービューで、図4が「アプリケーションを表示」をクリックした状態です。これをよく図2の状態にまでカスタマイズしたなと感心します。
では主要GNOMEコンポーネントの各バージョンを見ていきましょう。
3.32.x |
gnome-power-manager, zenity |
3.34.x |
gnome-bluetooth |
3.36.x |
gnome-logs, gnome-menus |
3.38.x |
cheese, gnome-mahjongg, gnome-terminal, totem |
3.40.x |
file-roller, gcr, gnome-online-accounts |
40.x |
adwaita-icon-theme, evince, gedit, gnome-calculator, gnome-control-center, gnome-initial-setup, gnome-keyring, gnome-mines, gnome-remote-desktop, gnome-screenshot, gnome-session-bin, gnome-settings-daemon, gnome-shell, gnome-user-docs, mutter-common, nautilus, orca, simple-scan, ubuntu-session, yelp |
41.x |
baobab, eog, gdm3, gnome-calendar, gnome-characters, gnome-disk-utility, gnome-font-viewer, gnome-system-monitor |
リリースバージョンとは少し違いがある可能性がありますが、おおむねこのままでしょう。ぱっと見て気づくのは、バージョンが3.40と従来を踏襲したコンポーネントもあるということと、GNOME 41のコンポーネントも少しあるということです。
FirefoxのSnapパッケージ化
Ubuntu Weekly Topics 2021年9月24日号で既報のとおり、Ubuntu 21.10からはFirefoxがSnapパッケージ化されました(図5)。
率直にいってこの記事にもあるFeature Freeze Exception: Seeding the official Firefox snap in Ubuntu Desktopの他に述べることはありませんので、ぜひともご一読いただきたいところです。ただ、ユーザーにとってはメリットがあまりないわりにデメリットが多く、書き込みがたくさんあるので読むのも大変です。
一番わかりやすいのは、今までできていたいくつかのことが少なくとも当面の間できなくなることです。Google Earthが動かない不具合は修正されたなどの朗報もありますが、GNOME拡張機能でのインストールなどは行えなくなる制限事項は健在です。
21.10では従来どおりDebianパッケージ版Firefoxも提供されていて使用できますが、かなり高い確率で22.04 LTSではSnapパッケージ版のみの提供になるでしょうから、今のうちから問題を洗い出しておくのがいいのかもしれません。
NVIDIAのプロプライエタリなドライバーでもWaylandセッションが利用可能に
NVIDIAのプロプライエタリなドライバーでもWaylandセッションが利用可能になるとリリースノートに記述されていたので筆者の手元で確認してみましたが、残念ながら動作しませんでした。
図6のように最新バージョン(470)のドライバーがインストールされているにも関わらず、図7のようにXセッションになってしまっています。もちろん筆者の環境のせいかもしれません。このGeForce GTX 1050はもはや何年前に買ったのかもよく覚えていなくらい前のものです。かといって最新のものは高すぎるか、そもそも在庫がなくて購入できません。
第663回でも述べたとおり、Ubuntu 21.04からWaylandセッションがデフォルトとなっていますが、NVIDIAのプロプライエタリなドライバーを使用している場合のみは例外となっていました。この状況に変化があるのであれば喜ばしいことでしょう。
デスクトップアイコンの配置
第669回で詳しく紹介しましたが、デスクトップアイコン機能は紆余曲折を経て再び強化される流れになっています。
デスクトップで右クリックしてみるとわかるのですが(図8)、「Arrange Icons」「Arrange By…」という項目が追加されています。これはすなわち、デスクトップアイコンの配置を制御するかどうか、する場合はどういったルールでするのかということです。
デスクトップにたくさんのアイコンを並べてその配置を制御してほしいというニーズがどのぐらいあるのかは正直わかりません。そもそも素のGNOMEではデスクトップにアイコンを置くことができない仕様になっています。いずれにせよデスクトップにたくさんのアイコンを置く必要がある場合は便利な機能なのではないでしょうか。