Ubuntu Weekly Recipe

第815回Ubuntu 24.04 LTSとGNOME Shell拡張機能

今回はUbuntu 24.04 LTS(GNOME 46)のGNOME Shell拡張機能についていくつか解説します。さらにオススメ拡張機能を紹介します。

GNOME Shell拡張機能のアップデートに関する注意

本連載の読者であれば、多くの場合Ubuntu 22.04 LTSから24.04 LTSへのアップグレードを予定しているのではなかろうかと推察します。24.04.1リリース後の8月には22.04 LTSから24.04 LTSへのアップグレードが有効になる予定です。

22.04 LTSから24.04 LTSにアップグレードするということは、GNOME 42から46にアップグレードするということでもあります。

UbuntuにインストールされているGNOME Shell拡張機能(以下拡張機能)だけを使用しているのであれば関係ないことですが、多くの拡張機能は互換性が失われています。たいていの拡張機能はアップデートによって新しいバージョンの対応が行われていますが、中にはそうでないものもあります。

前述のように、本記事の公開時点から24.04 LTSへのアップグレードが有効になるまではまだ少し時間があります。その間に現在使用している拡張機能がGNOME 46でも対応しているか確認することを強くおすすめします。

確認方法としては、仮想マシンに24.04 LTSをインストールし、現在使用している拡張機能がインストールできるかどうかを試すのが手っ取り早いでしょう。

筆者が使用している拡張機能でも、Emoji SelectorOpenWeatherはGNOME 46に未対応でした。幸いどちらも同じような機能を持つ拡張機能がリリースされているため、困ることはなさそうです。

snap版Firefoxと拡張機能

昔々、とはいえFirefoxがsnap版になる前までのことですが、拡張機能の管理はWebブラウザーで行っていました。

Webブラウザーとネイティブホストコネクター[1]とWebブラウザー用の拡張機能をセットアップすることによってその機能を実現していました。

しかしFirefox(とChromium)がsnap化したことにより、ネイティブホストコネクターと通信ができなくなってしまいました。そこでExtension Managerを使用することが主流となりました。第813回でもExtension Managerを使用する方法を紹介してます。

ネイティブホストコネクターと通信できなくなるというのはsnapだけではなくFlatpakでも同様であり、かつ拡張機能だけが困る問題でもないので、22.04 LTSのリリース後からXDG Desktop Portalに手を入れる形でその機能の復活が試みられました。具体的なバージョンは失念しましたが、23.04か23.10の頃にはsnap版Firefoxであっても拡張機能の管理が行えるようになりました。この24.04 LTSではもちろん、22.04 LTSでも同様です。

Firefoxで拡張機能を管理したい場合、まずはgnome-browser-connectorパッケージをインストールします。chrome-gnome-shellでもいいのですが、24.04 LTSでは移行パッケージとなっています。続けてextensions.gnome.orgにアクセスし、指示に従ってFirefoxのアドオンをインストールし図1⁠、extensions.gnome.orgを再読込すると拡張機能が管理できるようになります。

図1 指示に従ってFirefoxのアドオンをインストール中

オススメ拡張機能

いくつかオススメの拡張機能を紹介します。すべて24.04 LTSで動作します。一部は22.04 LTSでも動作します。

Noiseclapper

Ankerは安価で高品質のモバイルバッテリーを製造販売するメーカーとして著名ですが、最近はサウンド関連にも力を入れています。

筆者もワイヤレスイヤフォンとワイヤレスヘッドフォンをそれぞれ1つずつ使用しています。いずれも気に入っているのですが、Ubuntuではそれぞれのノイズキャンセリング機能をイヤフォンやヘッドフォンで行わなくてはなりません。Androidでは独自のツールがあり、便利に使用しています。Ubuntuにはないのでなんとしたものかとずっと考えていました。

そんな中見つけたのがNoiseclapper (Soundcore Life for GNOME)です。

筆者が所有しているQ35はBluetoothの高品質なコーデックであるLDACに対応しています。また24.04 LTSも、ただ認識させればLDACが使用できるようになっています図2⁠。

図2 Q35でLDACが自動選択されている。22.04 LTSだとこうはいかない

この拡張機能をインストールすることによってイヤフォンやヘッドフォンのノイズキャンセリング機能がUbuntuから制御できるようになったので、最高の環境を手に入れるに至りました図3⁠。

図3 ノイズキャンセリングモードを一覧表示しているところ

RebootToUEFI

RebootToUEFIという、その名のとおりの拡張機能があります。終了時に選択すると、再起動時にOSではなくUEFI BIOSメニューを表示します図4⁠。

図4 ⁠再起動」「電源オフ」の間に「Restart to UEFI」が追加された

日常的に触るものではないとはいえ、いざ起動しようとするとキーを連打したりして面倒なので、一発でうまく行くこの拡張機能はありがたい存在ではないでしょうか。

NASA APOD Wallpaper Changer

NASA APOD Wallpaper Changerは、NASAのその日の天文写真を壁紙にしてくれる拡張機能です。しかも毎日更新してくれます図5⁠。

図5 更新された壁紙とその説明

写真の説明もあり、天文学もその英語もさっぱりわからない筆者には何のことかは全然わかりませんが、毎日格好いい壁紙を更新してくれるのはとてもいいでしょう。

Blur my Shell

Blur my Shellは、GNOME Shellにブラー効果(簡単にいえばボケ)を追加してくれる拡張機能です。

これは拡張機能の適用前図6と適用後図7を比較するとわかりやすいでしょう。図7では壁紙がボケて見えています。

図6 Blur my Shell適用前(GNOME Shellデフォルト)
図7 Blur my Shell適用後

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