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第832回VirtualBox 7.1の変更点

今回はVirtualBox 7.1の変更点を紹介します。

VirtualBox 7.1リリース

VirtualBoxの最新バージョン、7.1.0が9月12日にリリースされました。またメンテナンスリリースである7.1.2が9月28日にリリースされています。

バージョン番号からも察せられるように、第737回第739回で紹介したVirtualBox7.0と比較してマイナーバージョンアップにとどまっています。しかし重要な変更点はいくつかありますので、かいつまんで変更点を紹介します。

なお検証にはOracleがリリースしているパッケージを使用しています。執筆段階ではDebian/Ubuntuのリポジトリにはまだ7.1系のパッケージは存在しません。

名称とWebサイトの変更

皆VirtualBoxと呼んでいますが、Sun MicrosystemsがOracleに買収されたときから正式名称は「Oracle VM VirtualBox」でした。それがこの7.1から「Oracle VirtualBox」という名称に変更されました。

Oracle VMという製品があり、これまでの名称は分類上納得のいくものでした。今回の変更により企業名を単に冠することになりますが、ブランドとして1段階ランクが上がったということなのでしょうか。あるいはOracle VMを終息させる予定なのでしょうか。

それはいいとして、もともとVirtualBoxを開発していたinnotek時代から続いていたVirtualBoxの公式サイトがリニューアルされてしまったのが個人的にはショックでした。

Extension Packのライセンス変更

VirtualBoxのライセンスはGPLv3で、公開できない機能はVirtualBox Extension Packという拡張機能にまとめられています。

Extension Packのライセンスは7.0も7.1もPUELというライセンスなのですが、7.0まではPersonal Use and Evaluation Licenseだったのが、7.1からはPersonal Use and Educational Licenseに変更されています。⁠Evaluation」は企業の評価用という意味で、これに応じてライセンス自体にも変更があります。

企業向けのExtension PackはVirtualBox Enterpriseという名称で別に用意されており、これは以前と変わりません。今回は企業の評価用にExtension Packが使用できなくなったということであり、別途Oracle Software Delivery Cloudからダウンロードできます(要ユーザー登録⁠⁠。

VirtualBox Enterpriseの購入は100ユーザーからで、それは以前も変わりなく、それ以下の場合は「従来どおり」で差し支えないものと思われます。本記事はライセンスの解釈を説明するためのものではないので、ライセンスを熟読の上各自でご判断ください。

それはいいとして(よくないかもしれませんが⁠⁠、執筆時点でOracle Software Delivery Cloudから最新のExtension Pack(Oracle Software Delivery Cloudでの表記)の最新版がダウンロードできない(バージョンアップ版の公開からタイムラグがある)のは少し困ったものです。過渡期的な問題かもしれませんが。

GUIのQt6化、UI切り替え機能の実装

VirtualBoxがGUIで使用しているQtのバージョンが5から6になりました。図1はデフォルトの表示ですが、一見7.0との違いには気づきにくいです。

図1 VirtualBoxのデフォルト表示

設定画面には「Basic(基本⁠⁠」と「Expert(熟練者⁠⁠」にメニューが分化しました。図2がBasic、図3がExpertです。表示される項目に違いがあることがわかります。

図2 Basicだと4項目表示
図3 Expertだと5項目表示

どちらで開いているかを保存しており、特に意識しなくてもずっとBasicないしExpertを使い続けられるのはなかなか賢いです。

Ubuntuの自動インストール

第737回で紹介したように、VirtualBoxの自動インストール(unattended Installation)機能は、Windowsでは特に問題ありませんでしたがUbuntuでは事実上使い物になりませんでした。

しかしこの7.1では大幅に改善されました。図4から図6までの設定で、うまくインストールできたことを確認しています。

図4 ⁠自動インストールをスキップ」にチェックを入れない
図5 自動インストール自体のオプション
図6 ⁠EFIを有効化」にはチェックを入れない

7.0と比較して次の点が改善されました。

  • 作成したユーザーにルート権限がある
  • 日本語メニューになる

ただし現段階で次のような問題点があります。

  • 英語キーボードになる
  • タイムゾーンは「Etc/UTC」になる
  • ubuntu-24.04.1-desktop-amd64.isoだとインストールに失敗する

英語キーボードは「設定」から簡単に変更できます。⁠キーボード」を開き、⁠入力ソース」「入力ソースを追加」から「日本語」を追加します図7⁠。一番下に追加されるので、⁠英語」を削除した上「日本語」を一番上に移動します図8⁠。

図7 ⁠入力ソースを追加」から「日本語」を追加する
図8 このようにすれば日本語キーボードが使用できる

端末から設定する方法もあります。次のコマンドを実行してください。

$ gsettings set org.gnome.desktop.input-sources sources "[('xkb', 'jp'), ('ibus', 'mozc-jp')]"

タイムゾーンを変更するには、次のコマンドを実行してください。

$ sudo timedatectl set-timezone Asia/Tokyo

図4をよく見ると、⁠ISOイメージ」「ubuntu-24.04-desktop-amd64.iso」となっています。これはubuntu-24.04.1-desktop-amd64.isoだと失敗するからです。

いくつか問題点はあるものの、実用レベルには達したのは喜ばしいことでしょう。

「クリップボードの共有」のWaylandサポート

Changelogには「Linuxホストとゲストのクリップボードの共有のWaylandサポート」⁠Linux host and guest: Added Wayland support for Clipboard sharing (bug #20808) )と書かれていますが、7.0でも特に不自由をしていないので、なんのことなのかイマイチよくわかりません。

RemoteBoxの7.1サポート

第773回で紹介したRemoteBoxは3.3で、VirtualBox 7.1に対応しています。

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