「デフレ脱却」は危ない
―アベノミクスに突きつけられるジレンマ
- 髙橋淳二 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2013.4.11[在庫なし] 2013.4.23
- 判型
- 四六
- 頁数
- 320ページ
- ISBN
- 978-4-7741-5613-2 978-4-7741-5712-2
サポート情報
概要
日本経済を苦しめ続ける元凶として本格的な対策メニューが準備されているデフレ。しかし,デフレは完全なる悪で,日本がデフレであることには何らの「必然性」もないのでしょうか。ほぼ国内資金で賄えているとはいえ,日本には膨大な政府債務(国債)があります。そして国債や物価と対で考えなければならないのが金利です。数パーセントの物価上昇が達成されたときに,日本では何が起きるのでしょうか。デフレ脱却が引き起こす「新種の課題」について掘り下げる,デフレ脱却政策賛成派にも懐疑派にも刺激的な経済オピニオンです。
こんな方にオススメ
- アグレッシブで大胆な経済政策に期待している方・不安を覚えている方
目次
第1章 実務家目線の経済学
- 1 ある時期から通貨が異質なものになった
- 2 まるでヌカにクギ「金融政策」と,どっぷり依存症「財政政策」
- 3 ええい,ニッポンの物価は化け物か!
- 4 借金は通貨を増やし,GDPも増やす
- 5 絶望的なプライマリーバランス
第2章 無敵の日本国債でも起こりうる財政破綻
- 1 あえて言おう,エセ借金であると!
- 2 財政破綻の形は一つではない
第3章 金融システムの壊死
- 1 たかが金利の上昇くらいで,なぜ国債が暴落するのか
- 2 金利上昇による国債暴落,打つ手はあるのか
- 3 そのリスク回避シナリオは甘すぎる
- 4 もう金融システムの壊死は避けられない
- 5 中央銀行は無限のパワーを持っているのか
第4章 政府債務膨張型破綻の正体
- 1 俗説的な財政破綻論はレベルが低すぎる
- 2 政府債務膨張型破綻の正体
- 3 日本だけが突出して政府債務を増やせる理由
- 4 通貨の信頼性の錯覚を解明する
第5章 破綻を回避し続ける日本経済の行方
- 1 日本円も,地に堕ちたものだな
- 2 日本経済のさまざまな苦境は政府債務の崩壊防止のためにある
- 3 消費税増税は財政再建のために行うのではない
- 4 「操作されたGDP」のツケ
- 5 まだだ! たかが金勘定がやられるだけだ!
第6章 停滞から脱する妙案は見つかるか
- 1 政府債務が巨額のまま景気回復できるのか
- 2 「ほどよい」「緩やかな」インフレについて考える
- 3 見えるぞ,私にもエセ濃度が見える!
- 4 健康体・日本経済へのはるかな道のり
プロフィール
髙橋淳二
東京都出身,公認会計士。
慶応義塾高等学校から慶応義塾大学経済学部に進み,大学在学中に公認会計士試験(旧1次および旧2次試験)に合格する。
大学卒業後は太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)へ入所し,その後,監査法人保森会計事務所等の監査事務所を経る。上場会社とその関連企業の監査業務に日夜従事し,製造業・卸売業・金融業・サービス業・公益法人など多種多様な業種の実情に精通する。
現在は,公認会計士・税理士の専門家を育成する東京CPA会計学院の経営に従事し,学校法人理事および傘下企業の社長に就任。民間経営の厳しさを肌で痛感する日々を送る。
近年,日本経済の長期に及ぶ停滞を憂い,「机上の経済学」と「監査実務から獲得した経済現場の知識」を融合した独自の経済分析を進め,『複式簿記的視点で国家会計を紐解く』という,いままでにない独創的な切り口から日本経済の病理を明らかにする。