ほんの1秒もムダなく片づく 情報整理術の教科書
- 根岸智幸 著
- 定価
- 1,958円(本体1,780円+税10%)
- 発売日
- 2015.6.20[在庫なし]
- 判型
- A5
- 頁数
- 328ページ
- ISBN
- 978-4-7741-7409-9 978-4-7741-7473-0
概要
「必要なデータがどこにいったかわからなくなった……」
「やるべきことがあれこれあって、収集がつかない……」
そんなことが常態化していませんか?
30年間、雑誌編集長、Webサイトのディレクター、プログラマなどITの最前線でさまざまな仕事を手がけてきた著者が、効率的に仕事を進めるために欠かせない最新の整理の技術を集大成。パソコンのファイル、メール、スケジュール、ToDo、ノートやメモ、ネットの情報まで、あらゆる整理のポイントがこれ1冊でわかる!
こんな方にオススメ
- 効率的な仕事の仕方を知りたい人
目次
はじめに なぜ、仕事には整理が必要なのか?
- そもそも「仕事」とはどういうものか
- なぜ、仕事がスムーズにいかないのか
- 整理をすれば、すべてが変わる
- すべての仕事は3ステップで整理できる
- 最新の手段を活用して情報整理を効率化しよう
第1章 仕事を整理する準備をする
仕事の整理に役立つ道具とは
- 情報や書類のデジタル化とクラウドサービスの登場で整理が劇的にかんたんに
- 7大クラウドサービスとは
「ワンポケットの原則」をどう実現するか
- 書類の置き場所を常に1つの場所に決めておく
- デジタル時代にワンポケットを実現する難しさ
- ワンポケットからツー・ルールへ
- 受信箱を決めないと仕事が混乱する
- 受信箱の中身は3種類に分け、常に空になるようにする
- 分類と検索を使い分ける
- スマホとパソコンをクラウドで同期させてワンポケットを実現
クラウドサービスの基本を理解する
- クラウドサービスを使うための3つの手順
- WebブラウザをChromeに変えよう
- コラム Chromeを使う上で気をつけること
- Googleアカウントを取得する
- 安全なパスワードについて知っておく
- IDとパスワードの管理を効率化するには
- ブックマーク、設定、拡張機能を同期する
- セキュリティのリスクを意識しよう
- 仕事とプライベートでGoogleアカウントを使い分ける方法
- 共有ファイルを開くアカウントをデフォルトに
第2章 ファイルを整理して管理の手間を最小限にする
受信箱をつくり、空にすることを心がけよう
- ファイル仕分けのルール
- どんなタイミングでファイルを仕分けるか
- こんなファイルの分類はやってはいけない
- ファイルはプロジェクト別に分ける
- 終わったプロジェクトはアーカイブする
- プロジェクト管理は公私混同で
- ファイル整理をスムーズに行うための準備
ファイル検索を効率良くするには
- 場所や種類を限定することで、素早く探す
- ファイルは「作業用」と「リファレンス」に分けて考える
- ルーチンワークを「長期的なプロジェクト」として定義する
- あとから見つけやすい名前をつける2つのルール
- ファイル名に日本語を付けてはいけない?
- 英数字は半角を使おう
「どこでもワンポケット」をDropboxで実現する
- 複数サービスを使うぐらいなら「投資」と思って有料プランに
- うっかり削除や上書きしたファイルを復活させるには
- ブラウザのダウンロード先を選択可能にしておこう
第3章 メールを整理してミスやストレスをなくす
メールの整理はGmailを基盤にする
- 「メール環境」の2つの要素
- Gmailのどこが優れているか
- Gmailの3大機能を知る
スレッドを使いこなすために知っておきたい4つのルール
- 1. なにもしなくても、返信の流れが1つのスレッドになる
- 2. 既読メールは、タイトルだけ表示される
- 3. 返信するときに件名を変えてはいけない
- 4. 返信で違う話題を書いてはいけない
読み終わったメールはアーカイブする
- 未読メールをどんどん処理するサイクルを作ろう
- 件名だけで判断して一括アーカイブ
- アーカイブしたメールをもう一度見たいときは
メールは分類せず、検索する
- 細かく分類して整理するのはやめよう
- 送信元や宛先の名前で検索するときの注意
- 検索条件を細かく指定して絞り込むには
- 検索条件指定を覚えるのが面倒ならば
メールを手際よく捌くコツ
- 「なんとなく手が付けやすい順番」で対応していると混乱する
- 受信トレイを空にするだけで、ミスや遅れが劇的に減る
- 受信トレイを空に保つための4つのルール
- 短くても返事をすることが大事
- すぐに処理できないメールは、転送する
- データ登録用のメールアドレスを登録する
- 後から参照したいスレッドはEvernoteに保存する
- メーリングリストやメルマガは自動振り分けで受信トレイに表示しない
相手から連絡しやすいように、署名に自分の連絡先を入れておく
- なぜ、メールの署名欄に自分の連絡先を入れておくべきか
- 署名のフォーマットをおさえる
- Gmailで署名を設定するには
- 署名による情報漏洩に注意
ちょっとした配慮で差が出る送信の効率化
- 読んでほしい相手にはCcではなくToで送る
- Ccメールの氾濫は問題?
- 読んでほしい相手にはCcではなくToの連名で
- 「全員に返信」をデフォルトにしよう
- だれがメールに参加しているか確認して、誤爆を避ける
- よく使う文面はひな形を作って再利用
- リンクからGmailを起動できるようにする
連絡先を整理して送信のミスを最小限にする
- 「メールアドレス」の落とし穴とは
- 連絡先を整理するには
- よく連絡する相手は連絡先の「グループ」でまとめておこう
写真やイラストなどの画像を送る時のマナーをおさえる
- 画像をWordやExcel、PowerPointに貼り付けて送るのはまちがったマナー
- コンピュータのデータは生のままがベスト
- 「添付」と「追加」を使い分ける
- 添付で画像を送るには
- 挿入(追加)で画像を埋め込むには
添付で送るべき文章と、送るべきでない文章をきちんと区別する
- 短い文章を添付ファイルにして送るのはナンセンス
- 送るべきテキストと地の文をきちんと分ける
長いURLは短縮して送る
- URLをメールの本文に貼るとうまく表示されないことが
- bit.lyのWebでURLを短縮する
- Chromeの拡張機能でbit.lyのURL短縮をもっと便利に
- コラム Googleの短縮URLサービスを利用するには
添付のストレスを最小限にするには
- ファイルの数が多いときは圧縮ファイルにまとめて送る
- 複数の添付ファイルはまとめてダウンロード
- 添付忘れをチェックするには
- まちがって送信したメールを取り消せる
大きなファイルや更新頻度が高いファイルはクラウドで共有
- 添付ファイルが仕事のミスや混乱の原因になる
- Googleドライブでは公開の範囲をきちんと制限する
- Googleドライブ上のファイルを特定のユーザーと共有する
- Dropboxを使ってファイルを送る
- Dropboxユーザー同士でフォルダを共有する
- フォルダ共有に招待するときは必ず相手のアドレスを確認しよう
出先のパソコンでGmailを使うときの注意点
- 不特定多数の人が利用できる環境に潜むリスクとは
- どうしても使わなければならないときは
第4章 スケジュールを整理して使える時間を最大化する
手帳は使わず、Googleカレンダーを使おう
- Googleカレンダーを使う6つのメリット
- 予定の詳細や繰り返しイベントを設定する
- メールの通知は1日前、ポップアップは10分前に
「場所」を制する者がスケジュールを制する
- 予定の名前に「どこで」も含めよう
- 件名の後半に「@」で場所を入れて文字数を圧縮
- 予定の詳細情報に住所を入力してGoogle Mapsで地図を表示
予定の管理は積極的に「公私混同」すべき
- 仕事とプライベートを分けるのは非効率的
- 複数カレンダーでプライベートと仕事を分ける
習慣やルーチン、移動時間や作業予定も埋めておく
- 予定を埋めると「使える時間」が見えてくる
- ルーチンワークや生活習慣は別カレンダーにする
イベントを効率的に管理するコツ
- 終日イベントは別カレンダーに
- うるさくない色に変えておこう
- コラム iPhoneでスケジュールが見やすいアプリを導入する
第5章 ToDoを整理してやるべきことをミスなく効率的にこなす
Googleタスクでやるべきことを整理する
- Googleタスクの基本をおさえよう
- ToDoに期限を設定して「いつ」やるかを明確にする
- ToDoをプロジェクトごとにグループ化して見とおしをよくする
- 複雑なタスクを分割して整理する
大量のToDoをNozbeで柔軟に管理する
- Googleタスクの限界
- Nozbeの基本をおさえよう
- Googleカレンダーと連携して計画と実行をスムーズに
- タスクに所要時間と日付を設定する
- タスクに資料を紐づける3つの方法
- タスクの登録を一発で終わらせるには
複雑なタスクを分割して管理する
- タスク内チェックリストを使う
- タスクをプロジェクト化する
「繰り返し」と「テンプレート」でルーチンワークをラクに
- プロジェクト・テンプレートを作業マニュアル兼チェックリストとして使う
- タスクのリピート機能で早めにルーチンに取りかかる
- コラム スマートフォンアプリで生活習慣を作り上げる
第6章 メモやノートを効率的に記録し、整理して、活用する
メモとノートを整理する仕組みを整える
- 「メモ」と「ノート」の違いとは
- メモやノートを活かすための3つのステップ
- Evernoteを記録の要にしよう
- Evernoteを使うために知っておくべき4つの概念
- Evernoteに3つの箱を作る
- ノートブックが見やすいようにしておく
- すべてのメモやノートはとりあえず受信箱に放り込む
- Evernoteを使った仕事の手順
メモの基本をおさえる
- 会議中のメモをとるとき
- 急いでメモをとりたいときは
- 打ち合わせの内容はホワイトボードに書いてスマホで撮影する
メモを整理・編集してノートを作り、共有する
- 散らばったメモを整理してまとめておく3つのメリット
- 複雑な作業をしたら、手順を記録しておこう
- 2つのウィンドウでメモをまとめると効率的
- ノートを共有する
タグを使いこなして検索・分類をスッキリ整理
- ノートブックは作業スペース、タグは検索・分類用と考える
- タグを整理する3つのルール
- タグも受信箱、プロジェクト、アーカイブで整理しよう
- 重要な資料には「★」タグをつけておく
- ★の数で評価を表現するときのコツ
- よく参照するリファレンス情報にはショートカットを作る
スマートフォンで快適に使うためのコツ
- Evernoteのリスクとは
- オフラインノートでいつでも素早くノートにアクセスする
- コラム タグはスマホでオフラインに指定できない
第7章 アイデアや課題を効率的に整理する
頭の中のもやもやをスッキリまとめるには
- アウトラインプロセッサを使いこなそう
- Wordをアウトラインプロセッサとして使う利点と難点
- EvernoteやGoogleドキュメントを簡易アウトラインプロセッサとして使う
- 本格的にアイデアを整理するにはWorkFlowyで
WorkFlowyでアイデアを整理するための基本
- アイデアは受信箱へ
- プロジェクトでアイデアをまとめたり掘り下げたりする
- 完了したトピックはアーカイブへ
アイデアや課題を上手に整理するコツ
- 階層を作るときは粒度にこだわる
- ブレーンストーミングではとにかくメモして、あとから書き写す
アイデアや課題のリストを共有するには
- WorkFlowyでアウトラインを共有する4つの方法
- 受信箱を共有フォルダにする
アウトラインからアウトプットへつなげる方法
- アウトライン化したリストを表にまとめる
- Googleドキュメントにペーストして作業する
- OPMLの読めるアウトラインプロセッサを使う
第8章 大量の情報を効率的に収集し、整理する
効率よく検索するための4つの基本
- 情報収集の基本は検索
- 複合語や文章で検索する
- 検索対象期間を指定する
- 検索対象Webサイトを指定する
- 英語で検索する
ページめくりを減らして時間と手間を節約する
- オートページャーを利用する
- 複数ページを読み込ませてからページ内キーワード検索
検索して得た情報はどのように保存すればいいか
- Evernote Web ClipperでWebページを保存する5つの方法
- オプション指定でより便利に
タブ表示を使いこなして情報を一気に収集する
- タブを使った情報収集の流れ
- Chromeのタブを使いこなす7つのテクニック
重要な情報を見失わないようにする
- 開いているタブをすべてブックマークする
- OneTabでタブをリンクリスト化し、Evernoteにクリップする
- Webブラウザの履歴から情報を掘り起こす
紙と上手につきあう
- 紙の利点と欠点とは
- 紙データを捨てる方法
- コラム プリンタを買うならADF複合機
- 名刺は「Eight」で効率的に管理
- コラム 名刺は機械認識と人力入力、どちらがいいか?
アンケート調査と集計をスマートにやる
- Googleフォームを活用する
- 集計も自動でできる
地図や連絡先はパソコンで調べ、スマホで持ち歩く
- あえて動かない地図を使う
- 道順をテキスト化する
FacebookやTwitterで出会った情報を再利用する
- 「フロー」の情報を「ストック」に
- 「ツイエバ」でツイートを1日分ごとにEvernoteに保存する
- ツイートに含まれるURLをはてなブックマークに保存する
- Facebookへの投稿はTwitterに転送しよう
電子書籍・電子雑誌で情報収集を効率的に
- 電子書籍の3つのメリット
- パソコン版電子書籍ビューワーで効率的に作業ができる
- 電子雑誌の読み放題サービスを活用しよう
- 電子雑誌で注意したい3つのこと
目視ミスとストレスを減らすために、大画面や2画面を導入しよう
- 大画面モニタは広い机で仕事するのと同じ
- 時給で換算すれば、あっという間に元がとれる
- モニタを買い替えられないときは、サブモニタを導入する
第9章 コミュニケーションを整理してチームでの共同作業を効率化する
共同作業に最適なツールを使おう
- クラウドが本領を発揮するのは、チームで共同作業をするとき
- Excelでファイルを共有するデメリット
- Excelの代わりにGoogleスプレッドシートを使おう
- 共同作業用フォルダをGoogleドライブで作っておく
コメントでディスカッションしながら文書を完成させる
- 「印刷した紙に朱入れ」「Wordの校閲・コメント機能」の限界
- 文書上でディスカッションして、修正をフィックスしていく
チームのスケジュールを効率的に調整する方法
- 会議のスケジュールを整理する4つの方法
- Googleカレンダーでスケジュールを共有する
- 外部向けの予約受付は「調整さんカレンダー」で
スケジュールの見積もりと進捗管理を的確にこなす
- スケジュールの見積もりにはBrabio!のガントチャートが便利
- 目標別の課題管理にはBacklogを
おわりに 仕事のサイクルを作ろう
- 「いつも整理整頓」が基本にして奥義
- 仕事のフレームワークを大切に
- 自分のやり方=フレームワークを作ろう
プロフィール
根岸智幸
1963年生まれ。大学時代はマジックサークルでエンターテインメントとショウビジネスの作り方に触れ、アルバイトでは某レストラングループで赤字店の改革を得意とする名物店長の下、顧客サービスのあり方と能力を超えた仕事の片づけ方を学んだ。
卒業後、株式会社CSKにてIBM製大型コンピュータのソフトウェアエンジニアとして、入社早々に難関プロジェクトのOSコア周辺を担当。精鋭SEが集まった大規模なシステム入れ替えプロジェクトにおいて、プロフェッショナルの流儀を学んだ。
1989年に株式会社アスキーのコンピュータ総合誌『月刊アスキー』編集部に転職。編集記者として、硬派な専門記事に加えてビジネス向けの記事やアイドル企画まで幅広く担当。15年間で8つの雑誌に関わり、8度の創刊やリニューアルに参加。1998年に月刊インターネットアスキー編集長、2003年に月刊アスキーPCエクスプローラー編集長。
インターネットアスキーの取材を通してネットコミュニティの開発に興味を持ち、2000年にクチコミ・グルメサイトの先駆けとなった「東京グルメ」を企画・開発。個人サイトながら大手商業サイトと並ぶ評判となり、2004年に株式会社ライブドアに営業譲渡。同時にライブドアに入社。野球騒動、フジテレビ騒動、ライブドア事件のなかで、ひと回り年下の若者たちと仕事をしながら、先端IT企業の開発手法と仕事の進め方を学び吸収した。
2006年にライブドアを退職し、出版社の献本を書評ブロガーに届ける書評コミュニティ「本が好き!」を企画・開発。その後、複数のCGM/ソーシャルメディア系プロジェクトを手がけたり、出版社向けWeb広告企画の立案・制作を行った。
2013年には、電子書籍専門レーベル「カドカワ・ミニッツブック」の創刊に関わり、公式Webサイトや電子書籍を企画・制作。
現在も電子書籍関連の仕事を中心に活動している。
著書に『Twitter使いこなし術』『facebook使いこなし術』(ともにアスキー・メディアワークス)など。
Twitter:@zubapita
著者の一言
なぜ、仕事には整理が必要なのか?
そもそも「仕事」とはどういうものか
世の中にはいろいろな仕事がありますが、現代社会ではいわゆる「ホワイトカラー」が増え続けていて、いまや労働人口の55%以上を占めています。ホワイトカラーとは、農業や工場などの肉体労働者ではなく、机に向かって仕事をする人を指します。一般には、営業、企画、総務、人事、経理などの職種が思い浮かびますが、ウェブやアプリを作るソフトエンジニア、制作の仕事、広報、研究開発職などもホワイトカラーの一種です。また、農業や工場でも、管理者や経営者になるとホワイトカラー的な仕事になってきます。
これらの人は何をやっているのでしょう?
「記録し、整理して、文書化する」
極論すると、こうなります。
ひと言で「文書」といってもさまざまです。発注書、見積書、請求書、企画書、提案書、稟議書、議事録、報告書、精算書、事業計画書、プレスリリース、ラフレイアウト、ワイヤーフレーム、HTML、イラスト、写真、ポスター、原稿、版下、論文、特許出願書、etc.
たくさんの文書がありますが、これらの目的はたった1つ。「読む人に情報を伝えること」です。発注書は「注文する製品の種類と数と価格」を伝えます。企画書は「新しく行う仕事の目的と方法と効果」を伝えます。議事録は「会議で何が話し合われ決定したか」を、ラフレイアウトは「どんなデザインや配置にしたいか」を伝えます。つまり、文書を作る目的は、「情報を伝える=コミュニケーションする」ことです。
文書に記載される情報は整理されていることが大切です。
いつまでに(日時)、何を(対象)、いくつ(数)、どこに(場所)届けてほしいのか。
そういった情報を、読む側がまちがえないように整理して伝える。
そのために、正確で伝わりやすい文書を作る。
それがホワイトカラーの仕事のかなりの部分を占めています。
なぜ、仕事がスムーズにいかないのか
「そんなかんたんなこと」と思うかもしれません。しかし、そのかんたんなことができないばかりに、仕事の効率が落ちていませんか?
2014年1月13日の日本経済新聞に掲載された『改善すべきは「労働生産性が低い」日本人の働き方』という記事では、以下のような日本人の労働生産性の低さや長時間労働が問題になっていることが指摘されています。
朝9時から夜の9時、10時ごろまで、12時間以上働いている人の話はめずらしくありません。長時間働く理由は、仕事が多いからです。
しかし、すべてが本当に必要な仕事でしょうか?
仕事の目的や条件を上手に伝えられなかったために、ムダな仕事や、まちがいによるやり直しが生じていませんか?
筆者は30年以上に渡ってさまざまな会社のさまざな現場で働いてきましたが、効率の良い現場と悪い現場、仕事ができる人とできない人の差をたくさん見てきました。効率が悪い人、仕事ができない人の特徴はだいたい決まっています。
こういう効率の悪さを、長時間労働の力業でカバーできる人もいます。しかし、そういう人は周囲に迷惑をかけて全体の効率を落としたり、最終的に自分の心や体をすり減らしてしまったりします。
整理をすれば、すべてが変わる
目の前の仕事に追われて、次の仕事の準備が疎かになる。
次の仕事も、準備不足のために、試行錯誤やミスによる手戻りが多発して、時間を使いすぎる。
その結果、その次の仕事も準備不足で……。
この悪循環を断ち切る方法は、ただ1つ。「整理を怠らない」ことです。
情報を整理することで、仕事の材料を抜け漏れなく準備でき、まちがいや手戻りがなくなります。
スケジュールとToDoを整理することで、仕事の順番に優先順位をつけて、心と時間の余裕をもって仕事に集中できます。
目的、課題、アイデアを整理することで、何をすべきで、何をやる必要がないのかが明確になり、ムダな仕事が減ります。
整理を始めると、いろいろなことが明確になってきます。それまで、ぼんやりと霧がかかったような状態で手探りでやっていた仕事が、目的と状況がはっきりと見えて、自信を持ってできます。
必要な仕事を、十分なクオリティでできるから、遠慮なく定時で帰れます。いままで、周囲の空気を読んで定時で帰れなかったのは、たぶん自分の仕事=自分自身に自信が持てなかったからなのです。
情報と状況を整理し、ビジョンを持つ者だけが仕事を制します。勇気をもって整理と準備に時間をかけるべきなのです。
すべての仕事は3ステップで整理できる
筆者は30年近くの間にさまざまな仕事をしてきました。大型汎用コンピュータのソフトウェアエンジニアから出発し、雑誌記者/編集者、Webサイトのディレクター、プログラマー、広告企画の立案、セルフ電子出版の運営企画などなど。出版とITにまつわる何でも屋です。
その中で、ありとあらゆる「文書」を作成しました。企画書、仕様書、提案書、事業計画書、契約書、ラフレイアウト、雑誌や単行本の原稿、プレゼンのスライド、プレスリリース、各種プログラム、ウェブサイトのHTMLとCSS、電子書籍のEPUB、チラシのDTP版下、etc.
これらは異なった仕事に見えますが、実際にはどれも同じ手順でした。
この3つのステップのすべてが、「何かを整理する」ことです。
最新の手段を活用して情報整理を効率化しよう
文書を整理するための手段として、現在はパソコンとインターネットという便利な道具を使えます。特に、ここ最近急速に進化した「クラウドサービス」によって、ビジネスの情報整理はとても便利になりました。それまでバラバラだった情報を1カ所に集め、同じやり方で整理できるようになったのです。さらに、ビジネスでつながった人たちの仕事環境がつながって、スムーズにコミュニケーションできるようになりました。
クラウドサービスを使いこなせば、ミスとやり直しを減らし、仕事のクオリティを上げ、残業を減らせます。しかも、クラウドサービスの多くは無料であったり低価格です。
若い頃は長時間会社に滞留しながらも締め切り破りの常習犯であった筆者ですが、いまはほとんど残業せず、締め切りを守れるようになりました。ミスや失敗によるやり直しが減った代わりに、レポートや企画書などの成果物を出すときは早めに第一稿、第二稿を出して意見をもらって調整し、仕事の精度を上げることに力を注げるようになったためです。
より高い成果をあげて、堂々と定時で帰るために、最新の手段を使って仕事を整理していきましょう。