筆者は電子工作を趣味として楽しむことをお勧めしていますが、多くの方々から、「電子工作をはじめたいけれど、電気のことは何もわからないし、知らなければならないことが多すぎて何から始めたらよいか見当がつかない。」のようなお話をよく聞くことがあります。
確かに電子工作は、長い電気の発見の歴史の上にできているので学ぶことがたくさんあります。そこで、電気の発見の歴史を学んで多くの事柄の互いの関連を知れば、最小限知らなければならないことや、まず何から始めればよいかが理解できるのではないかと考えました。
このような考え方から、本書では、まず電気の発見から現在までを歴史的に追いかけながら、その時点で発見された原理や特性、関係などを解説していきます。
次に「電子工作は何を製作することなのか」から、電子工作を始めるためのお勧めの手順、電子部品、道具などについて最小限知っておいた方がよいことなどをまとめました。
その後、実際に簡単な電子工作の例を紹介していきます。基本的なハードウェア部品だけで構成した「ソーラーライト」「FMラジオ」から、プログラムで機能を実現するマイクロコントローラ(マイコン)を使った製作例まで、順を追って説明していきます。
このように、本書では、電子工作で何かを製作する場合の考え方を中心に説明していますので、本書だけで電子工作が自由にできるようになるわけではありません。しかし、何をどのように考えて進めたらよいかは理解していただけるのではないかと思います。この後、どのような事柄について詳しく学習したらよいかという手順について理解していただき、電子工作を趣味として楽しんでいただければ幸いです。