技術広報の教科書
──人事・広報・エンジニアが兼務から始める
- 河又涼 著
- 定価
- 2,640円(本体2,400円+税10%)
- 発売日
- 2025.9.11
- 判型
- A5
- 頁数
- 240ページ
- ISBN
- 978-4-297-15160-7 978-4-297-15161-4
サポート情報
概要
技術広報とは、自社の技術的な取り組みをテックブログや勉強会などを通じて発信し、企業としてのプレゼンスや認知度を高める活動です。エンジニア採用の難易度が高まるなか、通常の採用広報とは異なる、技術広報の役割が高まっています。本書は、技術広報の分野で多くの経験を積む著者が、技術広報の役割や始め方を解説したうえで、テックブログ、勉強会、カンファレンスへの協賛や登壇、自社イベントの開催などの具体的なノウハウを紹介します。人事・広報・エンジニアが兼務でもできる現実的なスタートを提案するので、きっと多くの企業の参考となるはずです。
こんな方にオススメ
- 技術広報を始めた方、始めようとしている方
- 採用や情報発信に関わるエンジニアチームのリーダー、エンジニアリングマネージャー
- 技術広報の導入を検討している企業の経営管理職
- ソフトウェア企業の採用担当者
目次
第1章 技術広報のスタート地点に立つ
1.1 技術広報は何を目指すのか
- 技術広報の目的
- 技術広報の必要性
1.2 技術広報に取り組むべきタイミング
- 年間のエンジニア採用数が10名以上になったとき
- ビジネスが軌道に乗って、中長期を見据え始めたとき
- 正社員で所属しているエンジニアが20名を超えてきたとき
- とはいえ本格活動の前に種まきをしよう
1.3 技術広報の立ち上げを考える
- 専任体制が難しい理由
- 兼務チームでスタートし、専任化を目指す
- 未経験者が専任担当になる場合
1.4 技術広報で得られるもの
- 採用コストを抑えることができる
- 採用の質の向上
- エンジニアが成長できる環境
- 企業の成長とエンジニア組織の発展を支える“技術広報”
第2章 技術広報に求められるスキルとマインドセット
2.1 技術広報の役割と必要なスキル
- 技術広報に求められるキースキル
2.2 技術広報にエンジニアの経験は必要か
- エンジニアであることの強み
- エンジニアでも技術全域は網羅できない
- 採用広報や採用人事経験の強み
- 技術広報に求められる経験とは
2.3 技術広報に求められるマインドセット
- 高い学習意欲
- 賞賛を絶やさない“褒めファースト”の姿勢
- HRT(Humility、Respect、Trust)
- ギブの精神
- 本節のまとめ:マインドセットで生み出す技術広報の可能性
第3章 テックブログを制するものは技術広報を制する
3.1 技術広報の実践
3.2 テックブログの役割と重要性
- テックブログを定義する
- テックブログが個人にもたらすもの
3.3 テックブログの継続的運用
- テックブログを業務として位置づける
- 評価制度との融合
- テックブログを書く場所を決める
- コンテンツカレンダーの作成
- ポジティブフィードバックでモチベーションに薪をくべる
3.4 コンテンツを掘り起こし続ける工夫
- ネタがないの正体を考える
- コンテンツメニューを整備する
- 生成AIを有効活用する
- 社内コミュニケーションツールの活用
- 本節のまとめ:基本でありながら強力なテックブログ
第4章 イベント開催は技術広報の総合力が試される
4.1 イベント企画の始め方
- イベント開催の目的を理解する
- 企画を立てるために知るべきこと
- イベントのテーマを設定する
- 登壇者を確定する
4.2 開催形式を定める
- オンライン開催
- オフライン開催
- ハイブリッド開催
4.3 集客をする
- イベント募集サービスの選択
- イベントページの構成要素
4.4 当日の運営とその後
- リハーサルを忘れずに
- オフラインイベントの受付と会場案内
- 懇親会前のフィードバックとアンケート回収
- オンラインイベントのアンケート回収
- プライバシーと採用への接続
- 懇親会での技術広報の振る舞い
- 「参加して良かった」がファン作りにつながる
- ゲストコラム ハイブリッドイベントのコツと機材選定
- みなさんはもうオンライン配信をしている
- 複数台のカメラ・マイクを使うには
- オンライン配信では音質を大切に
- 鉄則はオンラインとオフラインの世界を分けること
- オンライン配信は一方向に設計すべし
- 機材選定の観点とお勧め機材
- まとめ
第5章 カンファレンススポンサーは認知獲得の最大の武器
5.1 カンファレンススポンサーの重要性
5.2 カンファレンスに協賛するために
- スポンサープランの種類と内容
- スポンサー特典の具体例とメリット
- 協賛プランの選び方と考え方
- スポンサーの目標設計や効果測定を考える
- 長期目線での効果を想定する
5.3 スポンサーブースを成功させよう
- ブース出展の準備
- 実は奥深いノベルティ道
- ブースでの企画を考える
- ブース企画の具体例
- 多くのカンファレンスに協賛する場合
- カンファレンスの関連イベントを開催しよう
- 本章のまとめ:カンファレンスを通じてコミュニティの一員になる
第6章 さらにアプローチを広げていくなら
6.1 ポッドキャスト
- エンジニアに親しまれる有名ポッドキャスト
- 企業が主催するポッドキャストの可能性
- ポッドキャストの得意とする領域とその価値
- 他の施策と比較した準備工数の軽さ
- 取り組むべきタイミングと効果を最大化する方法
6.2 SNS
- エンジニア向けアカウントの現状
- フォロワーを増やすための施策
- 成長の現実と運用スタイル
6.3 CfP(Call for Proposals/Papers)への応募
- 技術広報の観点から考えるCfP
6.4 アドベントカレンダー
- お祭り感による執筆ハードルの低下
- 取り組む際は余裕をもって進める
- テックブログ運用との相乗効果
- 本章のまとめ:メイン施策の補助としても、次にやりきるアクションとしても
第7章 技術広報の戦略を考える
7.1 技術広報における戦略
7.2 戦略策定の起点となる上位戦略との紐づけ
- ビジョン・ミッション
- 人事戦略
- 技術戦略
7.3 技術広報戦略の策定プロセス
- 構築したいブランドイメージを定義する
- ブランドイメージとギャップがあるときのアプローチ
- ターゲットを定義する
- ロードマップとチェックポイントに落とし込む
- 本章のまとめ:何のために活動しているのかを立ち返れるように
第8章 技術広報の目標設計と効果測定
8.1 技術広報を正しく導くための目標設計
- 短期目標の難しさ
- 行動量目標の設計思考
- 中長期の方向性を定める定性的な目標設定
- 定量的な中長期目標を設計する
8.2 技術広報における効果測定
- なぜ測定が難しいのか
- 定量的な中長期目標との関連
- 測定は改善用途であり、目的になってはならない
- 測定結果を正しく捉える
- 中長期における一つの効果測定
- 本章のまとめ:「指標と継続」の要点──地に足のついた技術広報をめざして
第9章 組織開発と技術広報の交差点
9.1 良い技術広報は良い組織から
- 良い組織について考える
- 発信を育てる文化
- 土壌や文化そのものもブランドになる
- 良い技術広報ならば越境しよう
9.2 技術広報の知見を活かすインナーブランディング
- インナーブランディングとは
- 具体的な運用と技術広報における距離感
- LT大会の立ち上げ
- 本章のまとめ:自慢したくなる組織を作ることは最高の技術広報だ
プロフィール
河又涼
株式会社Groovesでエンジニア採用支援サービスのセールスを担当した後、DevRel(技術広報)に転身。全100回を超えるForkwell Libraryシリーズなどを生み出し、コミュニティの成長を実現。2023年5月に株式会社タイミーに一人目の技術広報として入社。同年9月にDevRel Guildを立ち上げ、600名弱のコミュニティの主宰を務める。