空き家だった物件を、どうにか片づけ、どうにか直して住んでいる人たちがいます。
空き家の条件が、そこまで悪くなかったから住めた……というわけではありません。
「自分が、何を優先にして暮らしたいか」
それがわかっているから、空き家という一筋縄ではいかない素材を、自分たちに引き寄せられるのです。
本書では、空き家を引き継いだ人、買った人、借りている人、もうひとつの拠点にしている人、さまざまなケースを取材しました。
傷んでいる家を「住める状態」にするために、50代ではじめてDIYに取り組んだ人もいれば、建築家を探してお任せした人もいます。
どちらにしても、取材先のみなさんからは、あるものを活かしたり、常識にとらわれていなかったり、自由な視点や工夫のおもしろさが感じられました。
空き家に住むようになってからの、暮らしの変化もそれぞれ大きかったようです。
「縁側から窓の外を眺めるだけで幸せな気持ちになれる」、「遠出をしなくてもご近所散歩で満たされる」、「人とのつながりがおもしろい」などの声を聞きました。
それはもしかしたら、空き家に住まなかったとしても、身のまわりでも見つけられるヒントかもしれません。
少子高齢化や人口減少により、日本全国に空き家が増えている一方で、新築物件の価格は高くなり、賃貸住宅の家賃も上昇しています。
どんどん新しくすることや、なんでも大量につくることに、限界がおとずれているこの時代――
古い家にひと手間をかけて暮らす人たちの様子から、自分たちなりの豊かさとは何かを感じ取ってみませんか?