著者の一言

空き家だった物件を、どうにか片づけ、どうにか直して住んでいる人たちがいます。

空き家の条件が、そこまで悪くなかったから住めた……というわけではありません。

「自分が、何を優先にして暮らしたいか」

それがわかっているから、空き家という一筋縄ではいかない素材を、自分たちに引き寄せられるのです。

本書では、空き家を引き継いだ人、買った人、借りている人、もうひとつの拠点にしている人、さまざまなケースを取材しました。

傷んでいる家を「住める状態」にするために、50代ではじめてDIYに取り組んだ人もいれば、建築家を探してお任せした人もいます。

どちらにしても、取材先のみなさんからは、あるものを活かしたり、常識にとらわれていなかったり、自由な視点や工夫のおもしろさが感じられました。

空き家に住むようになってからの、暮らしの変化もそれぞれ大きかったようです。 ⁠縁側から窓の外を眺めるだけで幸せな気持ちになれる⁠⁠、⁠遠出をしなくてもご近所散歩で満たされる⁠⁠、⁠人とのつながりがおもしろい」などの声を聞きました。

それはもしかしたら、空き家に住まなかったとしても、身のまわりでも見つけられるヒントかもしれません。

少子高齢化や人口減少により、日本全国に空き家が増えている一方で、新築物件の価格は高くなり、賃貸住宅の家賃も上昇しています。

どんどん新しくすることや、なんでも大量につくることに、限界がおとずれているこの時代――

古い家にひと手間をかけて暮らす人たちの様子から、自分たちなりの豊かさとは何かを感じ取ってみませんか?

石川理恵(いしかわりえ)

ライター・編集者・伴走業。暮らしまわりの取材やインタビューを企画,編集,執筆。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(当社刊),『自由に遊ぶ DIYの本づくり』(グラフィック社)などがある。NPO法人での不登校支援を経て,東京・東長崎に「こころの本屋」をオープン。書いたり話したりする会を開いている。

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加藤郷子(かとうきょうこ)

編集者・ライター。食と住,暮らしに関するテーマで雑誌,ムック,書籍の制作にたずさわる。編集担当書に『人と暮らしと,台所』(NHK出版)『私たちは本でできている』(オレンジページ)など。著書に『あえて選んだせまい家』(ワニブックス)『北欧テイストのリノベーション』(パイ・インターナショナル』など。

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