SEライフ裏話 ~今だから話せる「SEライフ」誕生への軌跡

2004年の発売以来、おかげさまでロングセラーを続けている「SEライフ Vol.1⁠⁠。ご愛読ありがとうございます。当社のほかの骨太なムック本とは違う、脱力感にあふれた編集方針が広く受け入れられたと自負しております。

というわけで、⁠プロジェクトX」と違ってまったく参考になりませんが、⁠SEライフ」の数々の脱力企画がどうやって決まっていったのか、その舞台裏をちょっとだけお見せしましょう。

第零號作戦「SEいろはがるた」

よく「サラリーマン川柳」など、語呂の良い調子に乗せて、労働者の悲哀を愚痴る企画がありますが、そのバリエーションのひとつ「いろはかるた」に託してみようという企画。SE向けの処世訓が流行っていた時期で、どれも大同小異なら、覚えやすいほうが良いだろう。カード型なら通勤中さっと取り出し使えます。さらに家族で遊べばご家庭も円満!
50音ぶん誰が思いつけるんじゃー?! ってことでボツに…。

類似テーマとして挙がったものに、こんなのもありました。

「ガンダムに学ぶSE最強の仕事術)」
ビジネス向け自己啓発本の特徴として、内容よりも「誰が語ったか?」のほうが重要ではないか? 戦国武将やスポーツ選手のセリフは聞き飽きた。オレたちの世代ならやっぱガンダムでしょ!
発案者がガンダムをまったく見たことがなかったのが判明してボツ!
「モーニング娘。で知るコーチングの基本」
当時コーチング本が花盛り。舶来の小難しい理論やキャラ分類は抜きにして、体でわかる方法はないものか? 大勢で、しかも誰でも知っているキャラといえば(2004年当時の)モーニング娘。だ! モー娘をモデルに、性格分けしてみよう!
⁠当時の)辻ちゃんのキャラが強烈すぎて、分類不能となりボツ。
この企画は後日、別のムックで採用させていただきました。

第壱號作戦「SEジャーナル」

もっと真面目にやろーよ。ということで、誌名もあらたに企画再開。その特集案は…?

口下手SEのためのコミュニケーション術
なるべく相手と話さずに意志をつたえる技術
「コミュニケーション下手だからといって仕事ができないとは限らない」という結論を先にもってきたために、⁠単語一つで理解させるボキャブラリ集」など不可能な案が続出したため、現実的なコミュニケーション方法を探ろうと企画変更。
→後に「28の力」「交渉力」の章の基本案として採用
SEが10年後に使い続けられる知識は何か?
知識の「フロー」「ストック」の話。ようやく形になりそうな企画が出現。
→後に「28の力」の一つとして採用
SEこだわりの仕事場
さまざまなSEがどんな仕事環境で仕事をしているのか? インタビューとアンケートで調査。
⁠SEの釣書」という企画で実現。
上司に贈る「コレをやっちゃダメでしょう」
若手が上司を信頼できなくなる瞬間とは?
→逆の発想から「28の力」の一つ「使われる力」として採用
自己啓発本のベストセラーを無理矢理SEにあてはめると…
「SEはどこに消えた」⁠あと2年でSEはやめなさい」など、タイトル勝負。
→無理矢理はやはりいけません。ボツ。

第弐號作戦「SEライフ」

テーマを「28歳」に設定。28歳といえば社会人4~5年目の一回りした年代。その間にはいろんな力をつけるだろうということで、⁠SEジャーナル」の特集案として挙げたテーマを全部「力」というキーワードでくくりました。

テーマは仕事そのものから生活にも及び、これに合わせて「SEジャーナル⁠⁠→⁠SEライフ」とタイトルを変更。社内上層部より(ライフのほうが)⁠ベター」とお墨付きをいただいたのですが、その指示書を印刷屋さんが勘違いして、印刷所から「SEベターライフ」というコードネーム? で呼ばれる羽目に。

このような紆余曲折の末、ようやく「SEライフ Vol.1 SEが28歳までに身につける28の力」が誕生したのです。