写真の色補正⁠加工に強くなる―カラープロファイルを知って理想の写真をプリント!

大切なのはレタッチだけじゃない

デジカメで撮った写真をPCに落として、いいショットを選んで、RAWデータから現像して、Photoshopでゴミや不要な映り込みを削除、きっちりと補正をかけて、完璧な1枚が完成! さっそくプリントしてみたら、なぜか全然いい写真にならない……

こんな経験、誰でもあるんじゃないでしょうか? モニタ上ではきれいに見えるのに、プリントしたらまったく違う発色になる。RGBとCMYKの違いだから仕方がない? いえいえ、そんなことはありません。単にカラースペース(色空間)の違いだけではない問題がそこには潜んでいるのです。

モニタできれいなのに印刷すると違うのはなぜ?

問題を整理してみましょう。

  • あなたのモニタは色を忠実に映していますか?
  • RGBからCMYKに変換するときに、どうやっていますか?
  • あなたのプリンタは色を忠実にプリントしていますか?

①モニタの色再現性

モニタが1万円のものでも、10万円する高級品でも、⁠色を忠実に映しているか」には何も関係ありません。そもそも、モニタは「美しく見えること」を目標に各社メーカーがしのぎを削っているのです。しかし[美しく見えること」「原色に忠実なこと」はまったく違います。

②色変換の方法

モニタで見る前提のデータはRGBです。一方、印刷を前提にしたデータはCMYKに変換します。では、補正のどのタイミングで変換しているでしょうか? 単純にPhotoshopのモード変換でやっていませんか? 異なる色空間での変換の際に、どのように色が変換されるかまで意識しているでしょうか。

③プリンタの特性

家庭用のプリンタの性能もいまでは印刷と見まがうばかりに進化しましたが、こちらもモニタと同じで、そもそも「美しく見えること」を前提にメーカーが独自にチューニングしています。⁠原色に忠実なこと」を期待するには、自分でコントロールするしかないのです。

カラープロファイルってなに?

これらの問題に共通するキーワードが「カラープロファイル」です。難しそうな言葉ですが、原色に忠実なプリントを得るためには避けて通れませんで、積極的に関わっていきましょう。

カラープロファイルは、カラースペースやデバイスの色再現など、色の情報が記述されたファイルです。カラーマネージメントで、異なるカラースペース間で変換する際に利用されます。画像に埋め込みもでき、Photshopで人からもらった画像を開くと、たまに「埋め込まれたプロファイルを破棄」などと表示されますが、あれです。

モニタにはモニタのカラープロファイルがあります。プリンタにはプリンタに固有のカラープロファイルがあります。それぞれの異なるカラープロファイルを認識した上で、それらのプロファイルをうまく整合させるのが、美しい色を再現するための鍵なのです。⁠でも、カラープロファイルなんて見られないじゃない」という人、そんなことありません。MacならOS付属のColorSyncユーティリティというアプリがありますので、使ってみてください。モニタやプリンタなどのプロファイルを確認することができます。Windowsではコントロールパネルの「色の管理」で、⁠中身は見られませんが)インストールされているプロファイルの一覧が確認できます。

Mac OS付属の「ColorSyncユーティリティ」でカラープロファイルを表示できる
Mac OS付属の「ColorSyncユーティリティ」でカラープロファイルを表示できる
たとえば「AdobeRGB」を選んで開くと、三原色がどんな色なのか、絶対的な色の尺度であるXYZ値によって記載されている
たとえば「AdobeRGB」を選んで開くと、三原色がどんな色なのか、絶対的な色の尺度であるXYZ値によって記載されている

実体のわからなかったカラープロファイルも実際に覗いてみれば、いくつかのパラメータが記録されたメタ情報であることがわかります。そうとわかれば、研究してみるのも面白いですよ。色の世界は奥深いものです。いい写真をプリントするために、ぜひ興味を持ってみてください。