東日本大震災から2年以上経ちました。被災地から遠く離れた場所で生活していると、あの時の記憶が薄らぎ身の回りのインフラの大切さを忘れてしまいがちです。私たちが日ごろ当たり前のように生活できるのは、蛇口をひねれば清浄な水の流れる水道、スイッチを押せば灯りがともる電気、安心して車を走らせることのできる道路――こうした便利な環境に守れられているからです。病気になって初めて健康のありがたさを知るのと同様、あの日を忘れないためにもインフラの重要性を認識しておきたいものです。ここでは、専門家向けではなく一般向けに書かれたわかりやすいインフラに関する書籍を3冊紹介します。ぜひ手に取って、日頃忘れがちなインフラの恩恵をあらためて確認してはいかがでしょう。
水道~浄水から循環利用まで
東日本大震災による水道の断水は、北海道から東北・関東・中部の都県に及び、断水戸数は220万戸以上となりました。水を使えない生活がいかに不便であるかを知り、あらためて水道というインフラの重要性に気づかされた瞬間でした。そもそも人間は水を飲まないと4日からせいぜい1週間程度しか生きられないのですから。『上下水道が一番わかる』は美味しい水をつくるための水道の全体システムや浄水処理の流れ、凝集・濾過、水質基準と検査方法、消毒、給水ルートと給水管の施工といった上水のしくみを説明し、下水道のしくみとして下水の収集方法、下水管の種類と接続、流速と勾配や下水管の施工方法などをわかりやすく解説しています。さらに節水対策、集中豪雨対策、処理水のリサイクルなど上下水道の環境整備についても紹介します。
電気~建物や施設の電気設備
私たちの生活は電気によって支えられています。もはや電気がなければ生活できないといっても過言ではないでしょう。しかし、その一方で、電気がどのようなしくみで届けられているのかは、電気設備の専門家にしか知られていません。『電気設備が一番わかる』では、このような声に応えて、電気設備業界の初心者の人が簡単に理解できるように、難しい公式や理論の説明はあえて省き、できるだけやさしく電気設備のあらましを解説しています。変圧器、配電盤の設置からコンセント設備、最新の情報通信設備に至るまで、電気設備施行者として知っておくべきことを解説します。電気設備・保守関係の業務に携わっている方あるいは今後その方面に進もうとしている方にとって基礎知識を取得する上で最適な書籍です。
道路~構造と工法
道路を使わずに日々の暮らしを送ることのできる人はまずいないでしょう。たとえ自分自身が使わないとしても、生活に必要な物資やサービスの多くは道路を通って届けられます。自宅から一歩も出ずにインターネットでショッピングをしたとしても、配送会社が商品を届けてくれるのは安全に通行できる道路があるからです。『道路が一番わかる』は、道路事業全体を解説した本です。道路をつくるにあたっての事業執行の流れと計画、たとえば交差点や立体交差など道路設計面や騒音振動対策といった環境整備面について解説します。道路工事の進め方や安全対策から保守修繕工事のしくみまで、道路事業全体の流れが手に取るように理解できます。もちろん道路に付随したトンネルや橋梁の種類や工法、構造についても説明しています。