秋の夜長。空気が澄んで、星がキレイです。こんな夜は、星空観察としゃれ込みたいもの。でも、実際は夜空を見上げても、「星がきれいだなぁ」とは思えど、それが遠くの恒星なのか、それとも惑星なのか、はたまた飛行機の明かりなのか、なかなかわかりません。こんなとき、豊富な知識と経験からおいしいワインを選んでくれるソムリエのように、星空や宇宙の楽しみ方を教えてくれる人がいたら、楽しいですね。
そんな星空のガイドをする人が、「星空案内人」です。「星のソムリエ」は星空案内人の愛称で、今、各地で星空案内人養成のための講座が開かれはじめています(詳しくは、こちらをご覧ください)。
星空案内にはどんな知識が必要なの?
星空案内には、どんな知識がいるのでしょう?実はとても幅広い知識が必要です。
星空案内では、夜空を見上げて星座や星について説明します。おりひめ星(こと座ベガ)やひこ星(わし座アルタイル)のような明るい星、木星や土星といった惑星を「あれだよ」と示すには、星空観察の知識や技能が必要です。
また、星は長い間、人々の暮らしとともにありました。星に関係した神話や伝説があり、太陽、月、星の動きから暦が作られました。宇宙創成の物語は人類の財産です。だから、星空の文化に関する知識も必要です。
現代の宇宙物理学では、宇宙は永遠ではなく、137億年ほど前に誕生し、現在、加速度的に膨張していることを明確に示しました。星は誕生し、死を迎えます。おうし座に西暦1054年に現れた強烈な星の光りは星の最期の大爆発でした。私たちの体を作る炭素、酸素、窒素といった原子は星の中で作られました。科学的に明らかにされた宇宙の姿も知っておきたいものです。さらに、実際の観察には、望遠鏡や双眼鏡も活躍します。
このように、星空案内人に必要な知識は非常に幅広いものです。これではちょっと大変だなぁ、と思われるかもしれません。でも、どれかをひとつ深く学ぶのでなく、浅く広く学ぶことから出発すれば大丈夫ですよ。
星空のことを学んで秋の星空を楽しむ
さて、秋の夜空を眺めてみましょう。秋に見られる星座は、神話でおなじみの星座ばかりですが、明るい星が少なく、形や見つけ方がわかっていないと見つけにくいものです。星空観察の知識を身に付ければ、ぱっと見つけられます。では、どのように見つけるのでしょうか。
秋の星空には明るい星は少なく、1等星はひとつだけ。10月の終わり頃、真南の空高度20度くらいの位置に光る、みなみのうお座のフォーマルハウトです。
フォーマルハウトからだんだん上に上がり、高度70度くらいに、2等星と3等星で作る四角形があります。これを「秋の四角形」といいます。この四角形と北極星の間にWの形をしたカシオペヤ座があります。カシオペヤ座とはくちょう座のデネブ、北極星で囲まれる部分がケフェウス座です。ペルセウス座やアンドロメダ座も見えます。ここで、神話の知識もあれば、観察がより楽しいものとなります。
秋の四角形
『星空案内人になろう!』は、星空案内人になってみたい人のために書かれた星と宇宙の入門書です。もちろん、星に興味のあるすべての人にとっても楽しめる内容となっています。みなさんも、星空案内人になって、宇宙を見て、感じて、楽しみませんか。