高度試験は午前Ⅰと午前Ⅱに
情報処理技術者試験では、21年春からいくつかの試験が統合され、新たにITパスポート試験が加わるなど、大幅な改変が行われました。ベンダ側とユーザ側の区別が廃止され、より現実的な組み合わせになったのですが、同時にかつてのテクニカルエンジニア試験を含むいくつかの試験も、高度(プロフェッショナル)試験として位置付けられ整理されました。情報セキュリティスペシャリスト、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリストの各試験も高度試験に分類されています。
その高度試験では、それまでの午前試験が、午前Ⅰと午前Ⅱに分かれることになり、午前Ⅰは各高度試験共通の問題、午前Ⅱは各試験の専門内容が出題範囲となっています。
午前Ⅰの勉強は意外に大変……
午前問題がⅠとⅡに分かれたことにより、受験者も勉強方法を工夫する必要に迫られることになりました。というのも、午前Ⅰの出題範囲は応用情報技術者試験の範囲と同じでとても広く、過去2回の出題傾向を見ても、まんべんなく出題されているからです(表参照)。
これまでは専門分野だけを勉強していればよかったものが、同時に午前Ⅰの勉強も必要となると、これはやっかいです。いくら専門知識が完璧でも午前Ⅰで足切りをくらっては元も子もありません。かといって、専門と並行してがっちり勉強するのはちょっとたいへんです。というよりも、そんなに時間をかけたくないのが受験者の本音でしょう。
午前Ⅰ問題の出題傾向
出題分野(IPAの大分類による) | 21年秋 | 21年春 |
1 基礎理論 | 3 | 4 |
2 コンピュータシステム | 5 | 4 |
3 技術要素 | 7 | 7 |
4 開発技術 | 2 | 3 |
5 プロジェクトマネジメント | 2 | 2 |
6 サービスマネジメント | 3 | 2 |
7 システム戦略 | 3 | 2 |
8 経営戦略 | 2 | 4 |
9 企業と法務 | 3 | 2 |
※ 分類は技術評論社編集部の独自判断によるものです
苦手を把握することから始まる
そこでいかに午前Ⅰ問題を効率よく学習するかが、第一関門突破のカギとなります。21年秋試験での受験者の得点配分を見ると、驚くべきことが分かります。ネットワーク試験と情報セキュリティ試験の午前Ⅰ受験者のうち、合格基準点に達し午前Ⅱ試験へと進めたのはたったの36%なのです。午前Ⅱ試験では8割以上の人が合格基準点に達していることと較べると、いかに午前Ⅰ試験が難関だったかが分かるでしょう。といっても、問題が特に難しかったわけではありません。受験者が広い範囲の勉強に対応しきれなかったのだと思われます。まず最初に確認しておきたいのは、現在自分が苦手なジャンルはどこか、ということです。弱点を把握できれば、そこを強化していくのが効率的な勉強法だからです。
弱点強化にもってこいの問題集
『平成22年度 高度試験共通 試験によくでる午前問題集』は、高度試験共通の午前Ⅰ問題に特化した受験対策問題集です。午前Ⅰ問題の出題傾向を分析し、それを元に選んだ問題をテーマ別にまとめました。
この本の活用ポイントは、苦手ジャンル把握のための「弱点確認プレテスト」と「学習ナビ」です。巻頭に用意された弱点確認プレテストでは、各ジャンルまんべんなく55問の問題を用意してあります。まずこの問題を一通り解いてみることで自分がどのジャンルが得意でないのかを把握し、「学習ナビ」で苦手ジャンルの勉強方法を確認してください。その上で、第1章以降の問題を苦手ジャンル中心に解いていけば、短時間で効率的な学習が行えます。
午前Ⅰではこれまでの受験者になじみの薄いプロジェクトマネジメントやシステム戦略、経営戦略の問題も数多く出題されています。本書は、マネジメントの専門家や経営コンサルタントも執筆に加わっており、これらの分野も充実しています。
これから高度試験を受験される方、午前問題を復習したい方に、ぜひ午前Ⅰ対策として、本書を利用されることをおすすめします。