クラウドコンピューティングって?
昨年より話題のクラウドコンピューティングとは、世界中でつながるコンピュータを利用することを言います。どちらかというと、サービス提供者側からの動機で出きた商売の1スタイルとも言えるでしょう。
たとえば、Amazon EC2/S3というクラウドサービスがあるのですが、これはWeb通販のシステムの活用の一環として生まれたものです。アメリカではクリスマスプレゼントを大量に購入しますが、Amazonとしては顧客からの注文を1つとも逃さず受けなくてはならないのです。そのため過剰なくらいコンピュータ設備を増強しました。しかし、その他の月はコンピュータが空いてしまいます。だったらそれを時間貸ししよう……というのが、Amazon EC2/S3の原点です。
身近な例を挙げると、サラリーマンは勤務時間で何かオンライン通販で買いものをするでしょうか? 帰宅してから、ゆっくりとPCの画面を眺めながら買うのではないでしょうか。つまり昼間の時間はコンピュータシステムが空いていることになります。その時間だけコンピュータを貸すことが出来たら、稼ぐことができます。そして、広い視点で考えると地球の反対側のコンピュータは空いていて暇かもしれません。つまりクラウドコンピューティングとは、ネットワークでつながるコンピュータを地球全体でうまく使うことになります。いまや光ファイバーでコンピュータがつながる時代です。時間や距離の壁など問題ではありません。
ビジネスのスタイルを変えるクラウド
ある野心あふれる若者が起業したとしましょう。新しいビジネスとは画期的なアイデアを実現したWebシステムです。
クラウドがない場合を考えます。若者は秋葉原に行って数十万円のサーバシステム一式を買いました。そして頑丈な床があって、200Vの電源を備えている貸事務所を賃貸契約しました。通信回線も光ファイバーを契約しました。しめて数百万円ほどかかりました。これでは起業しても儲かるまで時間がかかってしまいます。管理費用と人件費もばかになりません。
たとえばAmazon EC2/S3ならば、Webのサービスを始めるのに1ヵ月あたり数千円以下で済んでしまいます。事務所も、インターネット接続さえできればよいのですから自宅でもかまいません。見通しのよいしっかりとしたアイデアさえあれば新しいビジネスをローコストに始めることができるのです。
最近では、サーバや通信機材を持たないことが新しいビジネスのスタイルになってきているのです。ちなみにつぶやきサービスのTwitterも一部でAmazon EC2/S3を使っているようです。セカンドライフもそうですね。
こうしたクラウド利用は皆さんの生活の中に溶け込んできています。新しい家電商品の購入を補助する「エコポイント」システムはクラウド企業の1つであるセールスフォース・ドットコムのシステムが利用されています。
クラウドによる内部統制とは?
エンロンの巨大粉飾会計事件以降、企業が社会とどのようにかかわっていくのか、さまざまな面から議論されています。法人を社会の一員と考えれば、権利・義務を果たさねばなりません。そこで、内部統制という考え方が必要になってきています。企業の不祥事を未然に防ぐために、お金の面では企業内監査が必要です。それ以外の部分についてはWikiPediaからの引用ですが、次のようなこと日本版SOX法(J-SOX)として制定されています。
『内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。
ここで重要なのがITへの対応です。クラウドコンピューティングが普及するにあたり、経理(会計)データの保存対応や、国境を超えた地域でのコンピュータ利用など検討すべき問題がたくさん出てきます。
本書は、企業がそうしたクラウド時代にどう対応していくべきか、また、クラウドを利用することでどのようなメリットが出てくるのか明快な答えを提示しています。
将来ビジネスがどのように変化していくのか、興味がある方はぜひご一読ください。(宗像)