「話題のソフトウェア⁠アーキテクト⁠トム⁠エンゲルバーグ氏 独占インタビュー!」

ソフトウェア開発における非機能要件の明確化スペシャリストで、オブジェクト指向開発の専門家エンゲルバーグ氏による本邦初の書籍発売!

―今日は、著名なソフトウェア・アーキテクトにして偉大な登山家でもある「トム・エンゲルバーグ」さんにお越しいただきました。ヨセミテの山荘から、夏のセミナー参加のための再来日です。

トム:センバー・ファルシシムス!

記者:え? なんですって?

トム:センバー・ファルシシムス!⁠人生万事、道化芝居さ!」ってこった。

記者:座右の銘がその言葉ということでよろしいですね。

トム:もちろんそのとおりだ。今回は、私の本『ダウンワード~⁠Downward Bound:Guide to Application Architecture⁠⁠』を日本の友人である長谷川が翻訳してくれて、さらには出版してくれるというじゃないか。なんとめでたいことか!

記者:ええ、8月の上旬に店頭に並ぶそうですね。担当編集者は、見本が出る8月は「棚卸しのシーズン」なので避けたかったそうですが。

トム:なんだって? たなおろし? 六甲おろし? それは雪崩の一種かね? つねづね私はこう思っているんだ。ウォーターフォール型開発とかいうけど、実際はいつも失敗するから雪崩(アバランチ)開発だってね! そういえば、日本の『岳』っていうマンガのほうは、いつも雪崩がどーんと来て真っ白に……。

記者:あなた、本当にアメリカ人なんですか?

トム:ギクッ! イ、イエース、アイアム・リッパ・ナ・アメリカン! 皆さん、アジャイル開発していますか? 職場にオヤツを用意するのが、マネージャーの仕事ですよ。オヤツを食べて、胃に血を送って余計なことを考えないようにしましょう! そうすればITスレーブので・き・あ・が・り!

記者:なーんと! そんなことを言ったら、○○さんがピーですよ!

トム:センバー・ファルシシムス! 知ったことか! 

記者:今回の本には、有名なアーキテクトの方もカメオ出演されているとか?

トム:初っぱなから出ずっぱりだよ。シャイな彼らしく少し変わった登場の仕方をするんだけど(おっと、これ以上はネタバレだ⁠⁠。

記者:話題を変えましょう。そもそも、本書を書かれた動機は何だったのでしょう?

トム:アーキテクトっていう人種は、ベストプラクティスだとか言って、自社の製品を勧めたりするじゃない……あれがイヤでね~。そんで、僕としてはDIとAOPを核としたAAD(う~ん、自分で考えたけどコイツは一体なんの略だったっけ?)などのアーキテクチャの評価方法を考案したんだ。某有名研究所の講座で、これを発表をしたんだ。それと並行して、各企業でアーキテクチャの構築や改善の仕事を随分とこなしてきた。その成果を本にしてみたわけだ。

記者:やっと本題に入りましたね。つまり、既存の自称アーキテクト達に叛旗を翻そうと……。

トム:僕が日頃アーキテクチャについて考えているろくでもないことや、カーネギーメロン大学が提唱するATAMやADDにアレンジを加えて現場で利用した結果のエッセンスとか、Javaでアーキテクチャを構築する時に利用できる実現手法、アーキテクチャを構築するだけじゃなく、管理/維持するために実際に効果的だったリファクタリングやメトリクス測定方法なんかを書いてみた。

もちろん、そのままで役立ったりしないよ。かなり無駄なろくでもない話を書きまくった。そのあたりは、適当に読んで、利用できるところは利用して、あとは捨てるなりなんなりしてほしい。そうすると、アーキテクチャ構築とかアーキテクトに必要ないろんなことが理解できるはずだ。それとアーキテクトっていうのがどんな人種でどんなことを考えているかもね。

記者:なるほど。この本を読めばアーキテクトの仕事と実態がわかるわけですね。ところで、さっきからお酒のにおいがプンプンするんですが、それと宇宙飛行士のヘルメットをかぶった変な人がうろついているんですが?

トム:ギクッ!日本はうまいノンアルコールビールがあるっていうから、さっきランチでちょろっと飲んでみたんだが……。飲みスギたかな。あーっ、ヘルメット男が棒をもって駆け寄ってくるし、中国人風の男まで! ちょっと失礼するよ!

記者:はせが、トムさん! 山登りの道具を落としていますよ!―やれやれ。こんな本を出版してしまって、大丈夫だろうか。まさに「センバー・ファルシシムス!」だな……。