World Wide Web(以下、Web)の誕生は、1989年~1990年頃だと言われています。Webの構想が文書としてまとめられたのが1989年3月。世界で最初のWebページが書かれたのが1990年11月。そして、初めてWebブラウザを用いてWebページを閲覧することに成功したのが1990年のクリスマス。
それから20年余りを経過した現在、Webは人々の生活にとって欠かせない存在になっています。多くの人がWebでニュースを読み、Webに情報を投稿し、Webで友達とコミュニケーションを取り、Web上の資料を学習に役立てています。
Microsoftの創始者であり、世界有数の慈善事業家でもあるビル・ゲイツ氏は、2010年8月のTechonomyカンファレンスで「5年以内に世界中で最良の教育はWeb上で見つけることができるようになる」と語りました。現在でもWebにはたくさんの教育用の資料が掲載されています。その中には私が学生の頃に受けた講義よりも興味深いと感じるものも多くあります。
プログラマの学習にとっても、Webは非常に重要な存在です。Webにはさまざまなプログラミング言語のリファレンスが揃っていて、たくさんのサンプルソースが公開されており、バグに遭遇した際の対処法まで掲載されています。
一部の企業では、セキュリティの都合で、ソフトウェア開発の現場におけるWebの利用を禁止しています。そうした環境でシステム開発を行うと、自分がどれほどの知識をWebに頼っていたかが良くわかります。
しかし、たくさんの情報があふれていて、生活に密着していて、誰もが利用しているにもかかわらず、「Webとは何ですか?」と聞かれたときにすぐ答えられる人の数は意外に少ないようです。
本書では、Webプログラマになることを目指している方、今現在Webアプリケーションを開発している方を対象として、Webとは何か、どうやって動いているのか、そしてこれからどういった方向へと進化しようとしているのかを、用語集の形式をとって解説しています。
Chapter 1ではWebの概論を、Chapter 2ではHTMLなどのマークアップ言語を、Chapter 3ではHTTPなどの通信について、Chapter 4ではWebブラウザなどのクライアントサイドの技術を、Chapter 5ではWebサーバなどのサーバサイドの技術を、Chapter 6では実際に存在するWebサービスを、Chapter 7ではプログラミング言語などの開発に関わる知識を扱っています。
Chapter 1~4までを読めば、「Webとは何か」という問いに回答するための知識が得られるでしょう。Chapter 5以降は、Webプログラマ向けのアプリケーションを作成する上で役立つ知識を中心に取り扱っています。
本書がWeb開発者の疑問解決に役立ち、少しでもWebの発展に寄与することができれば幸いです。
2011年3月 渡辺 将人
※『[図解満載]Web技術の重要用語解説』の「本書について」より転載。