停電時⁠ パソコンをどうするか

停電が起こったとき、突然の電源オフでパソコン、正確には内部のHDD(ハードディスクドライブ)は、壊れることがある。HDDとは、OSやデータを保存している磁気ディスクのことで、このディスクはデータの読み取りや書き込みのために、パソコンの稼働中は高速で回転している。ところが停電で回転がいきなり止まると壊れてしまうのである。

パソコン使用中に停電が起こっても、運がよければHDDは壊れず、それまでと同じようにパソコンを使い続けることができるかもしれない。しかし壊れたときには、WindowsなどのOSがまったく起動しなくなる。たとえ起動しても、OSの一部が壊れていてエラーが頻発する、保存していたデータが読み込めないなどの障害が起こる。

HDDが壊れたら、新しいものと取り替えて、OSを再インストールすればパソコンは直る。しかし、それまでに作成し、保存しておいたデータを元に戻すことはできない。パソコンを仕事で使っている人によっては、これまでの仕事や記録がすべて失われることにもなりかねない。パソコン内のデータは貴重な財産であるので、定期的にバックアップすることをおすすめしたい。

パソコンが壊れる可能性を回避し、停電時に進行していた作業のデータや、まだバックアップが済んでいないデータを守るために使える周辺機器がUPS(無停電電源装置)である。UPSは、いわば大きめのバッテリーで、パソコンと通常の電源コンセントの間につないで使用する。停電時にはUPSからの電源供給に切り替わり、不意のシャットダウンを防ぐことができる。注意したいのは、一般的なUPSでパソコンが動く時間は数分から数十分程度と短いことである。UPSは停電中もそのままパソコンを使い続けるための機器ではなく、あくまで停電時に安全に手動でパソコンの電源を切るためのものと考えたほうがよいだろう。

データを確実に守ることが一番重要だが、さらに停電の最中にもパソコンを使いたい、仕事をしたいのであれば、クラウドサービスを利用するのが新しくて現実的な方法である。ネットワーク上のサーバーに、現在進行中の作業データや緊急時に必要なデータなどをアップしておいて、ノートPC、スレートPC、スマートフォン、iPhone、iPadなどのモバイルデバイスからアクセス(同期)して利用するのである。そのためには、停電に備えた事前の環境構築と、非常時にも使えるネットワークの確保がカギになる。