私たちの生活圏での物理現象の多くはアナログ量が主流です。このアナログ量を検出し、デジタル処理するためのインターフェースとして、アナログ回路技術が必要とされます。オペアンプはもともとアナログ演算回路として作られたものですが、その回路は理想的なアンプ特性を持つもので、電子回路の世界に革新的な変化をもたらしました。つまり、電子回路を組むうえで、万能部品であるオペアンプの理解は不可欠になります。
今日では多種多様のオペアンプが登場し、誰もが安価に入手することができます。このオペアンプを手軽に学習するためものが本書です。
本書では、オペアンプの基礎を一から学習し、回路への応用をやさしくマスターできます。さらに、オペアンプを手軽に学習できるように、シミュレーションソフト「TINA9」の試用版を付録CD-ROMにつけました。
このTINA9は、アナログとデジタルの混在回路が扱える最新規格の電子回路シミュレータで、アメリカのテキサスインスツルメンツ社では公式シミュレータとして採用されているものです。世界標準Spice3に準拠し、世界の教育設計現場で使われ、日本語版なので直観的操作が可能です。
TINA9は、優れた操作性、卓越した機能など、多くのアドバンテージをもっており、パソコンの画面上のマウス操作で部品を配置して好きな回路を描けます。適当な場所にバーチャル測定器をつなげば、回路のしくみや動作を理解することができます。
また、使用期限がないので読者のペースで何回も学習できます。抵抗やコンデンサをあれこれつなげて積極的に改造してください。回路を間違っても部品が壊れることはありません。大丈夫です。
TINA9で作成した実際に動くサンプル回路を使用して、解説を進めていますので、本文を読みながら、同時に回路を動作させて確認することができます。
各トピックを読み切りにしてあるので、読者の興味あるものから読み始めることができます。また5章では、機器回路の設計には欠かせない基本回路例として、使えるオペアンプ回路を50個収録してあります。
本書の構成は、学習しやすように、1章~2章は基本的な使い方の知識、3章~4章はオペアンプの基礎知識と基本動作、5書~7章はオペアンプの基本回路と電源・実装の勘所の解説、のようにまとめてあります。