ソフトウェアでネットワークを制御する時代
電子商取引や銀行オンラインなどを支えるコンピュータネットワークがすでに重要な社会インフラであることは、歴然たる事実でしょう。そして、その「信頼性」と「安全性」を維持しながらも、さらに「効率性」が求められるようになりましたが、日々、高度化・複雑化するネットワークをハードウェアで対応するにはコストや柔軟性の観点で限界にきています。そこでソフトウェアでネットワークを制御する「SDN」(Software Defined Network)が注目されています。
OpenFlowが注目される理由
OpenFlowはSDNを具体化する技術仕様の1つで、技術面だけではなく、オープンな標準技術であるという点が注目されています。仕様策定は複数の企業が参加する非営利団体「ONF」(Open Networking Foundation)によって進められています。
OpenFlowで定義されているのはネットワークを構成するコントローラとスイッチ間のやり取りを行うプロトコル規格だけで、データセンターでの実用化が有力視されていますが、広域ネットワークでOpenFlowを利用することも可能です。実際に「Open Networking Summit 2012」にて、Google社は「Googleのデータセンター間の全トラフィックはすでにOpenFlowを用いたSDNで運用している」と発表しました。
本書の特徴
本書では、SDNの概要からOpenFlowプログラミングフレームワーク「Trema」を利用したネットワークプログラミング、さらに本格的なOpenFlowアプリケーションをケーススタディを交えながら解説します。
OpenFlowをはじめとするSoftware Defined Networking(SDN)を身につけるには、
- 基本的なネットワークの動作原理やOpenFlowの理解
- プログラミングによるOpenFlow/SDNシステム構築の実践
の両者が欠かせません。
本書では、ネットワークやOpenFlowの仕組みを専門用語を極力使わずにごく身近な例で説明しています。またプログラマ向けには「自宅や職場で実際に試せる」プログラミング例をふんだんに載せました。より進んだ実践のために、 OpenFlowスイッチの自作法や、Googleをはじめとする大規模データセンターでのOpenFlow活用例などもわかりやすく解説しています。