最近、無線でクラウドとデータを連携できるガジェットがたくさん出回るようになりました。例えば、Wi-Fi経由で自分の体重をクラウドにアップし、記録・分析できる体重計や、Bluetooth経由でPC・スマホと接続し、Webサイト上で友達と一日の歩数を競い合ったり、歩数をツイートさせたりすることができる万歩計などなど…
電子工作マニアの方なら、こういった話は自作デバイスのヒントになりますよね。自作機器でWi-Fi、Bluetoothが使えるようになればあれもしたいしこれもしたい… 実現したいアイディアはいろいろ思いつくのでは? でも、BluetoothもWi-Fiも、プロトコルスタックを自作の機器に実装するのは骨が折れます。
Rovingの無線モジュール
そんなあなたに耳より情報です。PICマイコンの製造元であるMicrochip Technology社は、組み込み用のBluetooth、Wi-Fiモジュールを作っているRoving社を傘下に収めました。Roving社の無線モジュールは、BluetoothやWi-Fiのプロトコルスタックを内蔵しているため、PICマイコンからはシリアル通信でコマンドやデータを無線モジュールに送ってやれば、無線通信ができるわけです。
Androidとの接続も簡単になった
無線化によって、機器の設置場所やケーブルの取回しなどに悩まされずに済むようになるのは言うまでもありませんが、Wi-FiやBluetooth経由でのAndroidスマートフォンやタブレットとの接続がより簡単になるというメリットもまた、重要です。
Android機器にはUSBコネクタが用意されていますが、「Android Open Accessory」が発表されるまでは、特定の機器しか接続することができませんでした。「Android Open Accessory」によりUSB経由で接続できる機器はより広範囲になり、自作機器を接続できるようになりましたが、すべてのAndroidスマートフォンやタブレットで有効になったわけではありませんでした。そのため、お手持ちのスマホやタブレットでは自作機器とのUSB接続ができず、涙をのんだ方も多かったのではないかと思います。
しかし、BluetoothやWi-Fiであれば、より多くのスマホやタブレットが対応しています。これで少々古い機種でも、もちろん最新の機種でも、自作機器との接続が簡単にできるようになりました。スマホやタブレットの優れたグラフィック表示や操作性を生かすことができるのです。
応用範囲は無限大
自作機器で無線通信するには、赤外線を使う方法がこれまではポピュラーでした。ただ赤外線では障害物があると通信できませんし、双方向通信も実現しにくかったのです。
BluetoothやWi-Fiなら、多少の障害物は無関係ですし、双方向通信も可能です。つまり自作機器をコントロールするだけでなく、自作機器からのフィードバックを、無線で、スマホ・タブレット上にグラフィカルに表示することができるのです。また、Wi-Fiなら、前述のクラウド連携デバイスのように自作機器にツイートさせたり、さらにはツイートで自作機器を制御したりすることもできます。
新刊「PICで楽しむBluetooth・Wi-Fi機器の自作」では、各技術の基本や無線モジュールの使い方から解説をはじめ、無線通信可能な機器のハードウェア、ファームウェア、タブレット・スマートフォン・PCから機器を制御するためのアプリケーションの作り方を、実際の製作例を通じて詳細に解説しています。