生物ミステリーPRO―いまだから読みたい⁠古生物たちの世界

魅惑的な古生物たちの世界。

知的好奇心をくすぐり、知的探究心を呼び起こし、そして何よりシンプルに面白い。そんな世界を、みなさまにお届けします。

生命が明確な形を化石として残すようになってから約7億年。この途方もなく長い時間のなかで、実にさまざまな生物が栄枯盛衰を繰り広げてきました。みなさんがよくご存じの「恐竜」はそのなかの一つです。

しかしすでに絶滅し、化石でしか姿を知ることのできない古生物は、恐竜だけではありません。五つ眼の動物、鎧をまとった魚、8本指の両生類、ヘビがトグロを巻いた様な形のアンモナイト・・・・・・。彼らは実に挑戦的な姿をしています。

世にいう古生物学者は、こうした生物の化石を分析し、その生物の暮らしや進化などの謎解きを楽しんでいます。

・・・・・・筆者は常々思っていました。⁠こんな極上のミステリーを、研究者の世界にとどめておくのはもったいない⁠⁠。

そんな折、まさに絶妙のタイミングで、本シリーズが立ち上がりました。地質時代ごとに最新研究を盛り込みながら、古生物のエッセンスを凝縮させた書籍を作り上げていくという、実に挑戦的な企画です。

『エディアカラ紀・カンブリア紀の生物』⁠はじめに」より

シリーズ1作目はエディアカラ紀・カンブリア紀の生物⁠。故スティーヴィン・ジェイ。グールドの名作『ワンダフル・ライフ』で紹介されたカンブリア紀、その前の時代であるエディアカラ紀生物群、そしてさらにその前の謎多き時代に着目します。⁠ワンダフル・ライフ』の刊行から20年余、カンブリア紀の姿がどのように"変化"したのか、本書でぜひご一読下さい。

シリーズ2作目はオルドビス紀・シルル紀の生物⁠。カンブリア爆発の後、生物界は一体どのような姿になったのだろうか・・・・・・アフター・カンブリアの世界を紡ぎ出すのがこの時代です。

カンブリア紀に比べると、オルドビス紀もシルル紀も知名度はイマイチです。しかしこの時代も、カンブリア紀並みに興味深い世界が広がっています。筆者の言葉を借りて、この時代を紹介してみよう。

カンブリア紀に出そろった動物グループが、より多様化を進めたのがオルドビス紀です。このことは「オルドビス紀の生物大放散事変」とよばれます。世界各地に現代型の礁がつくられ、三葉虫の姿かたちが豊かになり、巨大な頭足類が登場し、そして生命史上"最初の大領絶滅"が発生します。

次の時代のシルル紀には、奇天烈動物好きなみなさんにきっと満足していただけるであろう「ウミサソリ類」が大いに反映し、そして我らが祖先の魚類は、将来の繁栄の起爆剤となった「顎」を獲得します。

この通り、生命史のミステリーを解いていくうえで、意外と(?)重要なのが、オルドビス紀とシルル紀なのです。

『オルドビス紀・シルル紀の生物』⁠はじめに」より

語られることの少ないオルドビス紀とシルル紀。しかし、生命の進化を振り返ると、この時代の重要性は、他の時代と比べても遜色ありません。日本語の書籍として扱われることがあまりないこの時代の面白さを、本書を通じてぜひふれてみて下さい。