あなたのパソコンは⁠じつはだれかに乗っ取られて⁠知らない間に犯罪に加担しているかもしれない

パソコン遠隔操作事件でわかった「ネットユーザーのだれもが被害者になる」可能性

2012年から話題になっている、パソコン遠隔操作事件(遠隔操作ウィルス事件)をご存じでしょうか。インターネットの掲示板を利用して、パソコンを自由に操るプログラムを送りこみ、遠隔操作で殺人などの犯罪予告を行ったという事件です。

自分のパソコンが勝手に操作されるのもおそろしいことですが、深刻なのは「知らない間に犯罪に加担している可能性がある」ということ。この事件でも、踏み台にされた数名が逮捕されました。

「自分はウィルス対策ソフトを入れているから大丈夫」と思うかもしれませんが、じつは必ずしも効果を発揮してくれるわけではありません。ウィルス対策ソフトで駆除できるのは既知のプログラムだけであり、新規に作られたものには対応できなかったりします。

いまや、ネットを使う人はだれもが被害者になりうる時代なのです。

十分な証拠がなくても逮捕され、ありもしない罪を認めさせられてしまうおそろしさ

おそろしいのは、遠隔操作されることだけではありません。

警察は、必ずしも「遠隔操作された」という可能性を考慮して捜査するわけではありません。それどころか、証拠として疑わしいことを元に容疑者を逮捕し、起訴に持ち込もうとする問題が指摘されました。

くわしく話を聞かされるわけでもなく、突然逮捕され、家族や知人とも切り離された状況で、厳しい取り調べが行われます。パソコン遠隔操作事件では、逮捕された容疑者のうち2人が「自分がやった」と自白しましたが、その後無実であることが確認されました。勾留中に不安や恐怖から早く解放されたいがために、ありもしない罪を認めてしまうこともあるのです。

もし、あなたや家族が被害の当事者になったら?

このようなネットや司法の現状を題材にした書籍が刊行されました。もしも遠隔操作で家族が犯罪者に仕立てられたら ~ネットが生み出すあたらしい冤罪の物語というタイトルのとおり、当事者のリアルな視点からネットや司法の現状を描いた小説です。巻末には「情報漏えいを防ぐために、何ができるか?」⁠もしも逮捕されてしまったら?」といった疑問に答える解説も収録しています。

本書は、紙の書籍はもちろん、Gihyo Digital PublishingやAmazon Kindleで電子書籍版も配信中。ぜひお好みの媒体でチェックしてみてください。