コンピュータやインターネットと関わらずに生きていくことは、もはや不可能とも言える時代です。自発的にコンピュータやインターネットを使っていなくても、家の中には家電としてコンピュータがあふれていますし、自動販売機や券売機をはじめ、町中で目にするあらゆる端末にコンピュータが使われています。インターネット上のさまざまな情報やサービスも、それらを直接使っていなくてもさまざまな形で私たちの生活に深く入り込んでいます。テレビでも当たり前のようにソーシャルメディアからの情報が画面上に表示されていますし、企業への問い合わせ窓口や視聴者からのご意見募集も、メールやソーシャルメディアの利用が当たり前になっています。コマーシャルも「詳しくはインターネットで検索してください」というものが多くなりました。
この記事をお読みの皆さんも、パソコンであったり、携帯電話(スマートフォン)であったり、あるいはタブレットであったりをお使いになっていることでしょう。ご自身のソーシャルメディアアカウントをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
変わりゆくもの
コンピュータやインターネットの世界は、変化の激しい世界です。Windows 8になっていわゆる「モダンUI」が登場したとき、その違いに戸惑った経験をされた方も(あるいはまさにこれからそれを体験しようとしている方も)多いことでしょう。Windowsだけでなく、最近ですとiPhone/iPadもiOS 7になって大きくUI(見た目や操作方法)が変わりました。インターネット上のサービスであればもっと顕著で、頻繁にその使い勝手が変わることも珍しくありません。インターネットでなくても、ある日突然駅の券売機の操作画面が変わっていたり、自動販売機に斬新な機能が組み込まれていたりして、いつもとは違う操作を要求されることも珍しくない光景です。
こうした変化は時代とともに必ず起こるものですし、これからもどんどん変わっていきます。そのたびにこれまでの知識や経験は、すべて役に立たないものとなってしまうのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。これまで習慣的に行っていたり、マニュアル本に書いてあるような具体的な操作手順などは変わってしまっても、その根底にある考え方であったり、それを取り巻く基本的な知識はそう大きくは変わりません。
本質を考える
はじめは誰しもマニュアル本の手順を追いかけることで精一杯かもしれませんが、時には立ち止まってその操作がなにを意味しているのかを考えてみてはどうでしょうか。
たとえば、なにか文章を作成している時に、見出しを太字で表したいとしましょう。単純にマニュアル本からお使いのワープロソフトで太字にする操作を探せば、一見目的は達成できてしまいますが、そもそもなんのために太字にするのかを考えれば、「この部分は見出しだよ」と印を付けてあげるほうが、より本質的です。そして、最近のワープロソフトには、「スタイル」などの名称でそのための機能が存在しています。
こうした概念は、HTMLなどで文章をマークアップしようとしたときにも、太字にするためのタグを書くのではなく、見出しとしてマークアップしていく発想につながっていきます。
基礎概念を理解しよう
このような基礎的な概念・知識は、OSやアプリケーションの見た目や操作方法が変わっても基本的に変わることがありません。新しいOSやアプリケーションを使うことになったときにも、基礎体力として自力で解決していく糧となることでしょう。
メールをはじめ、インターネットの使い方についても、たとえばHTMLやWebの基本的な仕組みを知っていれば、フィッシングメールに気がつく可能性が高まるでしょうし、ソーシャルメディアで自分の発言が参照されうる範囲についても理解しやすくなるでしょう。自分を守るという意味でも、こうした基礎知識を身につけておくことは今後ますます重要になります。
『【改訂第2版】基礎からわかる情報リテラシー』について
本書は、教科「情報リテラシー」の教科書として、アプリケーションの使い方も取り上げてはいますが特定のアプリケーションの「マニュアル本」にはない基礎的な知識の修得を意識して作成されています。技術的な知識だけでなく、関連する著作権法などの法律についても解説しています。
あたらしく「情報リテラシー」を学ぶ学生さんはもとより、改めて一通り再履修してみたい社会人にもおすすめです。