アニメやゲームの背景は世界観の演出
アニメを観たとき、ゲームをプレイしたときに、絵を通して心象を表す表情や演技、さらには音響効果などに心揺さぶられることがあると思います。
また、思い出してみると、ストーリーやシーンと合わせて、その背後にある景色も鮮やかに蘇ってくるのではないでしょうか。
たとえば、ロボットアニメの宇宙戦闘、のどかな田園を疾走する少年少女の姿、見たことのない造形の建物や町並みの広がった景色……。
背景やカメラワークで表現する世界観に魅せられ、「この世界の住人になってみたい」など思いを馳せて、うっとりした記憶も残っているかもしれません。
近年、アニメやゲームの背景に対する認識が変わってきています。キャラクターを立たせるためにも、もちろんおろそかにできない背景ですが、本来添え物であったところから世界観を演出するための美しさ、精巧さ、緻密さがより求められるようになりました。
また、今までキャラクターを中心に描いてきたプロ・アマチュアのイラストレーターからは、より演出を加えるため、「背景までの一枚絵のテクニックを会得したい、もっとうまくなりたい」という声も聞こえてきます。
空や雲をはじめとしたテクニックが満載
本書ではそのような要望にお応えし、背景を描く基本的な知識から、人物メインのポートレートの場合や室内、そして空や田園風景など自然現象を含むダイナミックな表現やテクニックまで紹介しました。
「写真からイラストを起こす際のパース解説」や「人物とあわせた際の違和感の抑え方」など著者のgarnet氏がカメラ表現を活かした独自の技法を余すところなく解説し、とくに得意とする空や雲の表現については、夜や夕方のコツなど差分の表現まで丁寧な解説を試みていただきました。
雲ひとつにとっても奥行きの描き方に工夫がさまざま
『「人物を描いた際、背景に何を置いてよいかわからない」「背景を描きたいけれど、何から手をつけてよいのかわからない」、そういった方に向けて、イラストで背景を描くうえでの基本の考え方を提案したいと思い、筆をとりました。1枚絵を描くときの細かい作業工程や、色についての考え方など、イラストを描いている方に向けて、できる限りかゆいところに手が届くような解説を目指しました。また、この本のもうひとつの大きな特長として、「写真表現から学ぶ」というアプローチを試みています。(中略)背景をまったく描いたことがない方、描きたいと思っている方はもちろん、ある程度描いている方にも新しい考え方として「面白い」と感じていただける部分が、必ずあると思っております。』(「はじめに」より一部抜粋)とのこと。
ぜひお手にとってご覧ください。
付属DVDでは「高解像度版」と「低解像度版」ファイルを同時収録。イラストを見たい場合は高解像度版を、レイヤー構造を確認したい場合は低解像度版を、用途に合わせて選べる