ITによる技術革新はめざましく、これまでにも私たちの生活やビジネスを大きく変えてきました。ここでは、書籍「60分でわかる! IT ビジネス最前線」で取り上げたなかから、ぜひとも知っておきたいキーワードをいくつか紹介します。
あらゆるものがインターネットにつながる「IoT」
IoTは、「Internet of Things」の略です。今までインターネットに接続できるものと言えば、パソコンやスマートフォンが主流でしたが、IoT化により、これからは家電や工業機器など、ありとあらゆるモノがインターネットに接続できるようになります。
インターネットに接続といっても、家電や工業機器でホームページが見られるようになるというわけではありません。IoT機器に搭載されたセンサーがさまざまなデータをリアルタイムに送信したり、カメラやドローンと組み合わせて遠隔監視や遠隔操作ができるようになったり、GPSやモーションセンサーと組み合わせて移動履歴や傾き・向きなどの状態を検知して通知したりと、今までできなかったことができるようになります。
たとえば、IoT化された冷蔵庫を考えてみた場合、冷蔵室の卵がなくなったことを自動で通知したり、自宅以外の場所からスマートフォンで冷蔵庫の中身が確認できたりするようになります。また、冷蔵庫の中身を24時間365日監視することで、どの時期にどの食材が多いのか、ほとんど使われていない食材がないかなどを把握することができます。
とくに、IoTによるセンサーでのデータ収集は、次に説明するビッグデータともつながりが強く、今まででは得られなかったようなデータが蓄積されることで、これまで解決できなかった問題への対策や新たな価値の提案が可能になります。
あらゆるデータから価値を見いだす「ビッグデータ」
ビッグデータとは、平たく言えばデータ分析のことですが、より大量のデータの集まりを分析することを指します。使うかどうかわからないような多種多量のデータから、何か役に立つデータが見つかるかもしれないというのがビックデータの狙いです。データの中には、IoTで集められたデータも含まれ、単純な数値だけでなく音声、テキスト、画像などあらゆるデータが分析の対象になります。
有名な例として、「おむつとビール」という話があります。アメリカのとあるスーパーで販売データを分析したところ、お客がおむつとビールをいっしょに買う傾向がありました。調査してみたところ、子供のいる家庭で母親が父親におむつを買うよう頼み、店に来た父親はついでにビールを購入していたことがわかりました。そこで、この2つを並べて販売してみたところ、売り上げが上昇したという話です。
先ほどの冷蔵庫の例で言えば、利用者が気付かなかった好みの食材や組み合わせなどを導き出すことで、たとえば冷蔵庫のディスプレイにおすすめの献立を表示したり、特売をしているスーパーの情報を表示したりすることができるようになるでしょう。
急激な進化を遂げる「AI」「ディープラーニング」
AI(人工知能)という言葉自体は昔からありますが、今、AIを大きく発展させているのが「ディープラーニング」です。コンピュータが自動で学習し、物事を判断できるようになる技術により、AIは大きく発展しました。最近では、ディープラーニングで学習した囲碁ソフト「AlphaGo」が世界トップの棋士に勝利したというのは有名な話です。
冷蔵庫の例で言えば、昔は卵やリンゴなど、冷蔵室にあるものを1つ1つ覚えさせる必要がありましたが、AIとディープラーニングによってそれらを自動で学習して判別します。学習の結果、食材の劣化や破損なども判断できるようになるかもしれません。また、利用者の生活パターンも学習して、使い忘れることの多い食材を表示したり、足りない食材を自動注文したりすることができるでしょう
ITによる技術革新の可能性
IoTでデータを集め、ビッグデータでデータを分析し、AIとディープラーニングで新たな価値を提案する。これにより、今までになかったビジネスやライフスタイルが次々に登場するかもしれません。
そのほかにも、本書では「FinTech」「仮想通貨」「ブロックチェーン」「VR」「AR」など、ビジネスの現場で知っておきたい最新IT用語を多数解説しています。ぜひとも参考にしてみてください。