小学校でなぜ⁠プログラミング教育?!

学習指導要領の改訂とプログラミング教育

小学校での教育の指針である学習指導要領が2020年4月から切り替わります。新しい学習指導要領では、⁠主体的・対話的で深い学び」⁠いわゆるアクティブ・ラーニングの視点)による授業改善などとともに、プログラミング教育の必修化が盛り込まれました。公立小学校の現場では、まだICT教育といっても、パソコンのワープロソフトを使って名刺を作ったり、電子黒板を利用する程度という学校も少なくなさそうです。そうした中で数年後とはいえ、単にコンピュータを利用するだけでなく、プログラミングを小学生に経験させようというのは、かなりのハードルがあるようにも感じられます。なぜ、そこまでのことを全国の小学校で行うことになったのでしょうか。

IoTやAIがもたらした第4次産業革命を乗り越えるために

若干話が大きくなりますが、その背景には、少子高齢化が進行し続ける日本の未来を考えるうえで、コンピュータの積極的な活用が不可欠になっていることが挙げられます。人口が減り続け、しかも高齢者が増え、労働者人口が大幅に減ることが確実な一方、現在ある職業の多くは、コンピュータによってとって代わられるとも言われています。IoT、ビッグデータ、ロボット、AI(人工知能)などの新しいテクノロジーが、IT産業やICT産業そのものだけでなく、あらゆる産業に大きな影響力を持つようになりました。第4次産業革命と呼ばれるこうした世界的な流れの中で、現在はアマゾン、アップル、グーグルなど米国系企業がリードしていますが、自動運転の自動車やFinTechなど、日本も負けてはいられない技術も多い中で、IT、ICTをより高度に活用することが日本の未来を考えるうえで非常に重要と言えます。そしてそのためには、いかにして「人」を育てるかがカギとなります。そうした日本の未来を支える人を育てたいということが、今回の学習指導要領の改訂にプログラミングを通して論理的思考力を培うといった内容が盛り込まれている背景となっています。

小学校の「プログラミング授業」実況中継 ⁠教科別]2020年から必修のプログラミング教育はこうなるは、そうした2020年から行われることになる小学校でのプログラミングを活用した授業の様子を、一足早く形にした番組「beプログラミング2 ~2020年大予測!小学校の授業はこうなる!?~」⁠BSフジ)をもとに、国語、社会、算数、理科、体育、図工・音楽、総合、英語の各教科ごとにまとめたした書籍です(英語はICT特別授業⁠⁠。小学校の先生はもちろん、保護者の方にもぜひ読んでいただきたい内容です。