Web通販の巨人Amazonの付帯的な事業から成長し有名になったAmazon Web Service(AWS)ですが、クラウドコンピューティング提供社として全世界でそのサービスを展開し.いつの間にか人々の暮らしに溶け込んでいます。日本では.リクルート社が利用していますし.UNIQLOでおなじみのファーストリテイリング社はAWSの代表的な顧客の一つです。さらに動画配信サービスのNetflixも自社でサーバを持たずにAWS上でシステムを動かしているのは有名な話です。一方.マイクロソフト社もMicrosoft Azureというクラウドサービスを開始し.またGoogleもGoogle Cloud PlatformでAWSを猛追しています。日本国内では.さくらインターネットのさくらクラウドや.富士通クラウドテクノロジーズ㈱によるニフティクラウド.GMOクラウドによるATLUS.IDCフロンティアのIDCFクラウドなど多くのデータセンター・ホスティング企業が鎬を削っています。そんな中でジワジワと成長しているのが.IT業界の巨人であるIBMのBluemixです。その特徴はより抽象度の高いサービスを実現できることに尽きます。つまりインフラ(OSやネットワーク環境)をあまり意識することなく.自分が作りたいシステムをネット上に作り上げることができるのです。
クラウドのタイプ分けと目的
一言でクラウドといっても.クラウド事業者が提供する機能によってさまざまです。AWSはIaaS(Infrastructure as a Service)です。顧客が使いたいOSとアプリケーションをそのままネット上に構築するものです。それに対してPaaS(Platform as a Service )はOSの部分までをクラウド事業者にまかせて.顧客はアプリケーションの開発に注力するというものです。さらにSaaS(Software as a Service)がありますが.これはサービスの提供を主とするもので、Salesforce社が有名です。今回紹介するBluemixはPaaSに分類されます(SoftLayerというIaaSサービスもありますが割愛します)。IaaSは.自分でシステムを上から下まで全部やりたい人に向いています。しかし自分で管理するところがとても多く運用が大変です。一方.PaaSやSaaSは運用の手間をクラウド企業に任せてビジネスに注力したい人に向いています。
AWSではユーザ会の活動が活発ですが.Bluemixでも「BMXUG(Bluemix User Group)」というユーザ会があります(図2)。本書の筆者たちもメンバーであり創設者でもあります。勉強会やミーティングが開催されていますので.ぜひ参加してください。こうした集まりから.新しいサービスのアイデアが生まれることも多いと聞きます。