2D CAD設計の現場
建築やプロダクト(工業生産物:製品)の設計は、2D CADが主流です。2D CADは図面そのものですから、その寸法に合わせて立体物を作ります。
デメリットとしては、2D CADは完成形を誰とでも共有できるわけではないという点です。2Dはあくまで平面図なので立体ではありません。平面図から立体を想像するのは、慣れた人でなければ容易ではなく、出来上がったときに「こんなんじゃなかった!」といったようなクライアントからの駄目出しも考えられるのです。
作る物が小さく単純な物であれば手直しもそれほどではないかもしれませんが、巨大構造物などのように作る物が大きければ大きいほど工期も決められているので、「 こんなんじゃなかった!」で済まされる話ではないのです。
巨大構造物は大げさですが、実際にクライアントから受注する製品、建造物も納期が決められている場合がほとんどで、そのため、モック(模型)を作ってクライアントと出来上がりイメージをすり合わせつつ、OKが出たら実際の作業に取り掛かるというのが一連のフローではないでしょうか。
立体物として誰とでも共有できる3D CADの利点
3D CADの利点は、なんといっても実物に近い形でシミュレーションできることです。モックを作ってすり合わせを行ったにも関わらず、やはり完成物で不具合が生じることがあります。色、質感を含む材質、実際に配置してみたら入らなかった、強度が足りなかったなど……。色はなんとかなりますが、寸法、材質を含む強度に関しては、なんとかできることではありません。
モックで強度を確認することが難しいのは当たり前ですが、大手のゼネコン(建設会社)や製造業では3Dモデルでのシミュレーションが主流となっていて、材質および構造を調整しながら作り上げています。
これまでモック制作に時間を費やしていた時間を3Dモデルを作る時間に充てる。3D CADの活用の仕方としては、
2D CAD⇒3D CAD (従来はモック)⇒完成物
というような形が理想ではないでしょうか。
2D図面を基に3Dモデルが作れる
Shade3Dでフォトリアルな3Dモデルを作る
実際の写真と同じような3Dモデルを作れるようになれば、クライアントと意思疎通がしやすくなり、より要望をくみ取りやすくなります。
Shade3Dはフォトリアルな3Dモデルを作るソフトの中では安価で操作もしやすいソフトです。ver.16よりプロダクトや建築物のように数値が決まった形状が作りやすいように機能強化されました。
3Dモデリングソフトは難しいイメージがあると思いますが、Shade3Dは初心者でも扱いやすいように、作りたい形状をサポートするツールやメニューが豊富に用意されています。
本書『Shade3D建築&インテリア 実践モデリング講座 』はShade3DのBasic、Standard、Professionalのグレードを問わず、思い通りの形状を作るため方法を解説しています。著者の藁谷氏が長年クライアントや学生に向けてトレーニングしてきた経験を活かし、より効率のよい3Dモデルを作る方法を解説いただきました。3Dモデリングは敷居が高い、と思っていらっしゃる方におすすめします。3Dモデルを作る楽しみをぜひ一度味わってみてください。