ポリゴンモデリングとスカルプトモデリング
映画やゲーム、アニメなどに3DCGの技術が使われるのは、今ではすっかり当たり前のことになりました。こうした3Dデータ(3Dモデル)の制作にはいろいろなソフトが使われています。よく使われる著名なソフトには、Maya、3ds Max、Blender、ZBrushなどがあります。
ひとくちに3Dモデルといっても、それを作るための手法はさまざまです。中でも「ポリゴンモデリング」と「スカルプトモデリング」は、さまざまなソフトに採用されている代表的な手法です。ポリゴンモデリングは、ポリゴンと呼ばれる多角形を多数組み合わせて立体的な形を作っていきます。一方のスカルプトモデリング(スカルプトとは「彫刻を作る」「彫刻する」という意味の言葉です)は、粘土をこねて作るかのように3Dモデルを作成する手法です。両方の手法を使うことのできるソフトも存在しますし、制作現場では複数のソフトを組み合わせて使うことが一般的です。
ZBrushの魅力
Pixologic社の3DCGソフト「ZBrush」は、スカルプトモデリングのためのソフトです。現在では、スカルプトモデリングソフトのデファクトスタンダードの座にあるといって良いでしょう。ZBrushは、モンスターや恐竜といったクリーチャーなどの3Dモデル作成、フィギュア制作時の原型作りといったさまざまな用途で広く利用されています。
ZBrush 2018の操作画面
ZBrushは、描画やレンダリングをGPUに依存せず、CPUで行っています。そのため、高価なGPUを積んだパソコンでなくとも、大量のポリゴンで構成された複雑なモデルを軽快に操作できます。扱えるポリゴン数が圧倒的に多いという特徴は、ディティールを作り込む際にも威力を発揮します。
実際に使ってみると、「盛る」「押しつぶす」「溝を掘る」「引っぱる」といった、直感的な操作で3Dモデルを形作っていくという楽しさを感じられるはずです。その一方で、独特の操作感に戸惑う方も多いでしょう。また、実際には粘土を操作しているわけではなく、あくまでも操作対象はポリゴンで形作られた3Dモデルです。そのため、ポリゴンモデルゆえの制約も当然存在します。
思い通りの形を作るには慣れや経験が必要ですが、慣れてくれば、スカルプトモデリングに特化したその力を最大限に活かせるようになるはずです。
最近では、3Dプリンターの高性能化、低価格化が進み、以前よりもはるかに手軽に、自分で作った3Dモデルを立体化することができるようになりました。ちょっとした小物を作ってみたり、自分だけのオリジナルフィギュアを作ってみたり……。趣味で3DCGというのも良いかもしれませんね。