悪いコードの正体を知り⁠良いコードを書けるようになろう

一部のソフトウェア開発の現場では、⁠炎上」が日常茶飯事です。ソフトウェア開発が難航し、過重労働が当たり前となる「炎上」現場の有様はデスマーチなどとも形容されます。

なぜ現場は疲弊するのか? いくつか原因は考えられますが、その中に「コードの品質が低い」という問題があります。

何が書いてあるかわからない、ちょっと変更しただけで動かなくなる、コードの品質が低いと開発効率が著しく低くなります……。こんな「悪いコード」は実は日本のソフトウェア開発の現場には数多くあります。経産省のデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会のサマリーによると、こういった悪いコードによって生まれる経済的損失は2025年に最大12兆円にまでのぼるとされています。

これだけインパクトの大きい悪いコードがなぜ書かれてしまうのか? それは、そもそもコードを書くソフトウェアエンジニア自身が「悪いコードとはなにか、どういうコードが理想的なのか」を知らないことが原因です。プログラミングの文法がわかるだけでは、きれいなソースコードはかけません。

前のコードがそうだったからなんとなく同じ書き方にした、どうすればいいかわからないから思いつく範囲で実装した……。正しい知識がないと、こういった場当たり的なコードを書いてしまいがちです。また、問題があるコードを前にしても、どこが問題かどう直すべきかを知らないため修正できません。

良いコード、悪いコードがどういうものか知っていれば、この問題に対処できるようになります。最初から読みやすく、より開発しやすくなるコードを書き、問題点を見抜き修正できるようになります。

おかしな変数名があればそれを修正する、本来関係ないコードが絡み合っていればそれを解きほぐす、わかりづらいコメントがあればわかりやすいコメントで書き直す...。

良いコードと悪いコードを知ることが、コードの品質を高める近道です。

良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門では、悪いコードを見破る力を身につけ、良いコードに書き換える技術が多数紹介されています。ソースコードのコメントはどう書けばいいか、変数名や関数名はどういうものにすると理解しやすいかを例とともに示します。