本書は多くの学校現場に導入されている Google for Education について、いちばんやさしく解説した教科書です。Google for Education の考え方や特徴を紹介しているので、どのように端末やアプリを活用していけばよいか、具体的なイメージを膨らませることができます。GIGAスクール構想の目的や背景についての解説や、現場目線のコラムも掲載しているので、これから端末活用を始める人にも今まで使ってきた人にもオススメです。
世の中の変化に学校も歩調を合わせる
今、世の中の変化のスピードはとてつもなく速くなっています。特にIoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータなど社会の在り方に影響を及ぼすICTを活用した新しい技術分野の進展が急速です。政府が我が国の目指すべき未来の姿を示した「Society 5.0」では、今後、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、さまざまな知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出す社会の創造が提唱されています。
GIGAスクール構想とその期待
学校もこうした大きな変化に対応していく必要があるため、GIGAスクール構想が提唱されました。この構想が目指しているのは、多様な子供たちを誰ひとり取り残すことなく、子供たちひとりひとりに個別最適化され、資質・能力を一層確実に育成できる教育ICT環境を実現することです。これまでの教育実践の蓄積にICT活用の良さを掛け合わせることで、学習活動を一層充実させたり、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を行ったりすることが期待されています。
1人1台の端末とクラウド学習環境の整備
本構想で実現した教育ICT環境とは、1人1台の端末と高速インターネット、そしてクラウド型の学習環境のことです。言わずもがな、クラウドのメリットは時間・空間・端末の機種を問わず、提供されているサービスを利用できることにあります。Google for Educationはすべてクラウドをベースにしているので、いつでも、どこからでも、どの端末からでも、学び続けることができます。
クラウド活用による新しい学び方と働き方
Google for Education を利用することで、子供たちはいつでも友達とつながって協働的な学びを実現できます。また、教師からのクイックな個別フィードバックにより、学びの意欲を持ち続けることができます。さらに、教師にとっても配付物のペーパーレス化や採点の自動化などの業務の効率化を図り、働き方そのものをデジタルシフトすることも可能です。
広がる地域間・学校間格差
しかしながら、GIGAスクール構想の変化が急激に学校現場に押し寄せたこともあって、学習環境が整備されたとはいえ、現状の活用度合いは地域・学校間の差が大きいのが実情です。思うように活用が進まない理由はさまざまですが、管理職がICT活用に理解がない、ICT活用に苦手意識を持っている教師が多い、新任採用される教師が多く日常的な指導に時間が取られてしまいICTを活用する余裕がないなど、枚挙に暇がありません。
いちばんやさしい教科書が必要な理由
でも今、いちばん大事なことは、せっかくの学習環境を台無しにすることなく、まずはみんなで足並み揃えて使い始めることです。だからこそ本書は、わかりやすいよう操作手順を丁寧に解説することで、初めての方や苦手意識を持っている方の最初の一歩を後押ししています。また、どうしてICTを使う必要があるのかという疑問に答えるために、政策の背景や目的もしっかりと解説しています。本書を読んで学校の新しい動きや学び方の変化を学んでいただければと思います。