TV、YouTube、電車や駅構内のサイネージ、TikTok。今や多数の場に活躍を広げる「CM」を、私たちの日常の中で目にしない日はありません。サイバーエージェントによる調査によれば、動画広告の市場はWebを中心に年々成長を続け、25年には1兆円を突破すると予測されています。「今後、動画を使った宣伝に力を入れたい」と思っている方も、多いのではないでしょうか。
ですが、もし本当に広告動画を作るとなったら、知るべきは「動画編集ソフトの使い方」だけではありません。
広告は嫌われ者?
いったん一消費者の視点で、「最近のTVやYouTubeのCMの中で、印象に残ったものがあるか」を考えてみてください。おそらく、自分にとって興味のある分野ならいざ知らず、大半の広告は、思い出すこともできないのではないでしょうか? それだけならまだしも、好きな動画の視聴中に割り込まれて、「さっさとスキップさせろよ」と、イライラしながらCMが明けるのを待っている……なんてことすらあったかもしれません。
2021年のインターネット動画広告に関する調査[1]によれば、1,000人中、実に9割の人が「広告はスキップする」と回答しています。ここからわかるのは、広告は、たやすく「邪魔者」「嫌われ者」になってしまう、ということです。そのことを認識しないまま広告動画を制作しても、無風どころかマイナスの効果をもたらしてしまうかもしれません。
宣伝の定義
NHKで25年、番宣(広告動画)のディレクターを務めた神井護氏は、宣伝とは「社会が求めるものを提供して、見返りとして好感度を得るもの」だと言います。
一見当たり前に見えるかもしれませんが、広告で自分の商品・サービスを宣伝したい側は、「買ってもらいたい」気持ちが先行してしまうあまりに、宣伝の目的も、ついつい「買ってもらう」だと思ってしまうことも多いでしょう。しかし、「買ってもらう」のは「販促資料(パンフレット、商品カタログなど)」の役割であると、神井氏は言います。それに対し、宣伝はあくまで「好感度を得る」ために行うという前提を、まず忘れてはなりません。
好感度を持ってもらうには
「買ってもらいたい」気持ちを抑えさえすれば、「嫌われない広告」になるのか? というと、そんなにかんたんな話ではありません。たとえば、広告の出稿先について考えてみましょう。いくら広告それ自体を作り込んでも、見る人が不愉快になる場所に出たり、広告を見る層と広告のターゲット層が違ったりすれば、その広告は意味をなしません。
「好きになってもらう」ためには、これまであげたことの他にも
- 「誰に(ペルソナ)、何を(ベネフィット)、どう伝えるか(演出)」の考え方
- 広告の基本構成
- 広告動画ならではの特性
- 「面白い」とはどういうことか
など、知らなければならないことが数多くあります。「動画での宣伝が流行っているから、やってみたい」というだけでは、どんな落とし穴にはまってしまうかわかりません。
神井護氏の近刊、『広告動画の法則 ~嫌われないための広告演出』では、長年のCMディレクター経験からなる、専門知を体系化。時代が移っても変わることのない、「見たい、聞きたい」と相手が思う広告動画の本質を、じっくりと学べます。ぜひ、お手にとってご確認ください。