新しく組織に加わったメンバーは大きな不安を抱えています。周囲から
新メンバーは活躍したいと思い、組織も活躍してほしいと思っている。なのに、うまくいかない。ここにはミスマッチ・
オンボーディングはコストではなく、投資
オンボーディングは、採用にかけた時間とコストを無駄にしないための投資です。適切なオンボーディングがなければ、高いモチベーションを持つ人材も、期待と現実のミスマッチから早期に離脱したり、空回りしたりします。短期的にはコストかもしれませんが、オンボーディングは結果的に組織全体を強くします。
ドキュメントの準備で、不安を解消する
オンボーディングを成功させるための土台は、計画と情報による安心感の醸成です。たとえば、次のようなドキュメントを準備します。
- オンボーディング計画
「いつまでに・ どんな状態になってほしいか」 という期待をスケジュール付きで明確にします。大切なのは、組織が作成するのではなく、新メンバーとともに作成することです。
- 実績解除マップ
- 業務に必要な知識やスキル・
タスクを、ゲームのクエストのように可視化します。新メンバーは今、自分がどこに向かって進んでいるのかを確認し、達成感を得ながら道筋を確認できます。
- 業務に必要な知識やスキル・
- ワーキングアグリーメント
- チームの価値観やコミュニケーションルールを明文化し、文化への摩擦なくスムーズになじめるようサポートします。
信頼関係を築く、コミュニケーションの作法
なにより大切なのはコミュニケーションです。ドキュメントをそろえたのだからもう十分、と思うのは大きな間違いです。結局のところ最後の頼りは人です。
- 初期集中型の1on1を実施する
- 入社直後の1週間は毎日15〜30分の短い1on1を実施しましょう。
「何をすればよいかわからない」 という新メンバーの不安を取り除く最善の方法です。業務の確認よりも、コンディションの把握と信頼関係の構築に集中します。
- 入社直後の1週間は毎日15〜30分の短い1on1を実施しましょう。
- 成長を奪わない
「適切なサポートレベル」 の運用 - トレーナーは、質問に対する答えをすぐに与えるのではなく、自律的な試行錯誤を促す
「サポートレベル」 を意識して対応します。 「なんでも聞いてください」 という言葉の裏にある、成長を奪う罠を回避します。
- トレーナーは、質問に対する答えをすぐに与えるのではなく、自律的な試行錯誤を促す
エンジニアには、まず最初のPull Request
エンジニアのオンボーディングでは、早期の成功体験が重要です。コードベースに慣れるための基礎知識のインプットに加え、入社後すぐにチームに貢献したという自信を得るため、小さな修正タスクで
開発環境の構築などはペアプログラミングで行いましょう。開発環境にはチーム固有の事情があり、新メンバーはつまずきがちです。コードを書くだけではなく、チームの文化やツールについて質問をするコミュニケーションの機会となります。
小さく始めよう!
ここに紹介したのは、本書のごく一部です。
たとえば、エンジニアだけなく全社員が必要とする各種制度や手続きの仕方、事業や自社を理解するための簡潔なドキュメント、Slackなどのチャットツールをいつ・
こんなにたくさんのことができるかのか! と思う方も多いかもしれません。そこで本書はスモールスタートを勧めます。
第4章の
「コミュニケーションの作法」 を実践するだけでも、オンボーディングは大きく改善します。 (本書のP. 32) どれだけ立派なオンボーディングのしくみがあっても、最終的に成否を分けるのは人と人とのコミュニケーションです。逆に言えば、現場でしっかりコミュニケーションが取れていれば、システムの不備はカバーできます。
(本書のP. 75)
本書をごく一部でも取り入れ、少しでも新メンバーや組織の不安が解消されることを願います。