現場経験と理論、両方あったら最強
私は30年以上マーケティングと付き合ってきましたが、メーカーの営業担当などの現場も経験してきました。そのうえで感じることは、
マーケティングという科学が誕生した1957年から現在に至るまで約70年にわたり、世界中の何百万人という人々が研究し、実践し、その結果をフィードバックしながら進化を続けてきたのがマーケティング理論です。いわば、70年と何百万人の知恵の結晶です。
人間には1日24時間しかありません。人の寿命は100年です。そこで培った自分1人の経験や知識などたかが知れています。それならば、せっかく先人たちが血と汗と涙で磨き上げたマーケティング理論という存在を利用させてもらわなければ損というものです。そのうえで、自分の経験や勘、知識と知恵、自社の市場環境の知識を加味すればいいのです。
「理屈なんていらない。現場だ」
マーケティング理論は、曲線を描くための雲形定規のようなものです。雲形定規さえあれば、初心者でもそれなりにきれいな曲線を描くことができます。慣れてくれば早くきれいな曲線が、熟練すれば雲形定規を駆使して曲線を自由に組み合わせた複雑な図形が描けるようになります。マーケティング理論を理解していると、成功確率が上がります。失敗確率が減ります。いいことだらけです。
マーケティングは勉強するものではなく、楽しむもの
- 「こんなのだれが買うんだろう?」
- 「私なら、こんな商品はタダでもいらないなぁ」
- 「あんなのを買う人の気が知れない」
そう思いながら、しばらくしてふと気がつくと、周囲の友人たちがみんな持っていた。
- 健康ブームなのにカロリーたっぷり
【メガマック】 - 日本より所得が低い国なのに価格は高い
【ユニクロ】 - ゲーム好きに見向きもされなかった
【ニンテンドーDS】 - 名前は小さくしか書かれていない
【猫探偵のポスター】 - 「道ばたで拾える」
と言われた 【1000円の綿ロープ】 - 後ろめたい、安くもない
【サトウのごはん】 - 万人無視で市場が小さい
【偏愛めし】
など数々の事例をもとにヒットの理論を解説した書籍が
「マーケティングは勉強するものではなく、楽しむもの」
それが私のスタンスです。商品開発や事業開発のプロジェクトでも、クライアントから
加えて、NHKの小学生向けのマーケティング読本の執筆を手がけたこともあります。そして、以前は約5万人の読者に恵まれた初心者向けのマーケティング・
そんな経験を、本書には存分に発揮して詰め込んだつもりです。
「最もかんたんなのは、かんたんなことを、難しく説明すること。
次にかんたんなのは、難しいことを、難しく説明すること。
少し難しいのは、かんたんなことを、かんたんに説明すること。
最も難しいのは、難しいことを、かんたんに説明すること。」
今まで、あなたが
だからこそ、本書を楽しんでいただきたいと願っています。あなたの何かの刺激やきっかけになれば、これほどうれしいことはありません。
- プロフィール
森行生
(もりゆきお) 1955年生まれ。米国デューク大学にてコンピュータ工学および経済学をダブル専攻し、1978年卒業。大手嗜好品メーカー、外資系パッケージグッズメーカー、大手マーケティングコンサルティング会社などを経て、1992年、ブランドおよび事業戦略に関するマーケティングコンサルテーションをおこなうシストラットコーポレーションを設立。
「プロダクトコーン理論」 などを提唱。
著書に『失敗から学ぶマーケティング』 (技術評論社)、 『ヒット商品を最初に買う人たち』 『改訂・ シンプルマーケティング』 (SBクリエイティブ)、 『21世紀のモノ創り 70のヒント』 (毎日コミュニケーションズ) がある。
ホームページ:https://www. systrat. co. jp/