社内ルールの確認がめんどくさいあなたへ
―入社3年目の書籍編集者がNotebookLMでつくった社内ナレッジ「外注おまかせくん」

ChatGPTをはじめ、GeminiやClaudeなど、生成AIアプリが日常生活に深く浸透してきました。電車に乗って隣の人を見れば、チャッピー(ChatGPTの愛称)に悩み事を相談している。そんな光景は、当たり前になりつつあります。今や、困った時に相談する相手第1位は、生成AIアプリと言っても過言ではないのです。

しかし、ChatGPTなどの生成AIアプリは、どんな悩み事も解決してくれる魔法の道具ではありません。生成AIは、学習済みの情報を基にして回答しているため、学習していない情報については、正確に答えることができないのです。

ドラえもんがこの世にいたらなあ─⁠─

そう願う時はしばしばありますが、ドラえもんと暮らす世界が現実のものとなるには、もう少し時間がかかりそうです。

入社3年目の私がいつも困っていること

ところで、私は技術評論社という出版社に入社して3年が経ちました。書籍編集職として採用してもらい、日々、本作りをしています。

主に、著者探しから書籍企画の立案、原稿の回収、原稿の編集、校正、校閲、カバーデザインやイラスト、本文デザインの発注など、様々な業務があります。その中で、私がいつも困ってしまうのが、⁠外注作業」です。

カバーデザインの発注を例に見ていきましょう。まずは、ある程度書籍の中身が完成した段階で、デザイナーの方にイメージラフやデザインの方針、コピーなどを伝え、カバーデザインの作成を依頼します。次に、デザイナーの方が依頼を受けてくださったら、書籍編集者は発注書を作成します。最後に、デザインされた納品データを受け取ったら請求書の作成をデザイナーの方にお願いします。

この「発注書」「請求書」のやり取りが、非常に難しいのです。

  • デザインを作成してもらっている時に、発注内容に変更が生じた場合は?
  • 個人と法人によって発注書のテンプレートが違うの?
  • フリーランス法や下請法によって、支払日がいつまでと決まっている?
  • 会社の締め日はいつだっけ?
  • 請求書の支払い時期は?
  • 受注者から「支払期日をあえて遅らせてほしい」と言われたら?

1冊の本を作るたびに、このような「?」マークが後を絶ちません。一度教えてもらったことは忘れないような、出来のいい頭をもって生まれたつもりですが、なかなか現実は甘くないようです。

外注作業はさまざまなステークホルダーが関わっており、自分1人のミスが多くの人に迷惑をかけてしまいます。とはいえ、外注作業のたびに社内マニュアルを読み込んでいては、日が暮れてしまいます。いくら時間があっても足りません。

Geminiに外注のルールを聞いてみた

そこで役立つのが「生成AIアプリ⁠⁠。困ったことはGeminiに聞いてみましょう。

フリーランス法と下請法の要点について教えて!

まずは、⁠フリーランス法」「下請法」について、Geminiに聞いてみます。試しに、⁠フリーランス法や下請法について、要点を分かりやすく教えて」と尋ねてみましょう。

geminiにフリーランス法や下請法の要点を尋ねている画像

Geminiが、学習済みの情報やインターネット上の情報を探索し、回答してくれました。もちろん、Geminiなどの生成AIアプリからの回答は、間違っている可能性もあるため、注意が必要です。

技術評論社の編集者として外注作業の際に守るべきルールは?

では、実際の実務で必要となるルールについて、Geminiに聞いてみましょう。⁠技術評論社の編集者として外注作業の際に守るべきルールは?」と尋ねてみます。

geminiに守るべきルールを尋ねている画像

非常に抽象的な回答が得られました。守るべきルールの概要を知ることができたのですが、正直もっと具体的なルールについて知りたいところです。次に「技術評論社が使っている発注書のテンプレートを教えてください」と尋ねてみます。

geminiに発注書のテンプレートを尋ねている画像

残念ながら「具体的なフォーマットをそのままお出しすることはできません」と言われてしまいました。学習していない情報ですし、インターネット上にない情報ですので、仕方のないことでしょう。

NotebookLMを使えば社内マニュアルに書かれている情報の検索も一瞬で完了

そんな時に役立つのが、⁠NotebookLM」です。あらかじめ、⁠ノートブック」と呼ばれる作業スペースを作成し、外注作業に関係する社内マニュアルをすべて入れておけば、NotebookLMが知りたい情報について教えてくれます。

ノートブックの名前を「外注おまかせくん」とでもしておけば、分かりやすいでしょうか。私は次の5つの資料を入れました。

  • インボイス制度について
  • 発注書の取り扱いについて
  • 請求書の処理フロー
  • 請求書の取り扱いについて
  • 請求書の締め日と支払いサイクル
ノートブックを作成して社内マニュアルを入れている画像

早速、NotebookLMに質問してみましょう。⁠請求書を受け取ってから確認すべき項目をすべて教えてください」と尋ねてみます。

NotebookLMに請求書の確認事項を質問している画像

なんと、社内情報を基に確認事項について教えてくれました。以降、私はこの社内ナレッジ「外注おまかせくん」があるため、毎回社内マニュアルを確認する必要がありません。もし、正しい情報かどうか心配になったとしても、NotebookLMに「〇〇について書かれている資料を教えて」と尋ねれば、回答の基となった資料を教えてくれます。

NotebookLMのさまざまな活用方法

ここまで、外注作業を例にNotebookLMの便利さを実感することができたと思います。ただし、NotebookLMの可能性はこんなものではありません。使い方によってさらに便利になる、最強の「生成AIアプリ」です。

その①:ITパスポート試験の公開問題を入れて、特定の答えを求める問題の検索に!

私は前年度、ITパスポート 合格教本という書籍の制作を担当しました。毎年改訂しており、問題をいくつか差し替える必要があったのですが、⁠こんな問題がほしい」という場面が度々ありました。

そんな時に活用したのがNotebookLMです。毎年IPA(情報処理推進機構)から公開される過去問題をすべてノートブックに入れておけば、⁠RPAについて問われている問題を教えて」と尋ねるだけで、該当する問題をNotebookLMが教えてくれました。

その②:「サーバー」or「サーバ」? シラバス内表記のチェックに!

上記の書籍を制作している際、別の場面でもNotebookLMを活用しました。それは、表記統一を行う場面です。毎年改訂して、問題文や用語解説などを少しずつ入れ替えていく都合上、⁠サーバー」「サーバ」といった表記が混在してしまうことがあります。そこで悩むのが、どちらに統一するかです。

私自身、正解の物差しが自分の中にあるわけではなかったため、IPAが公開しているシラバスにあわせればよいと考えました。そこで、IPAが発表しているシラバスをノートブックに入れて、どちらの表記になっているのかを尋ねました。その結果、⁠サーバー」で統一するのが適切と判断し、表記統一作業を進めた記憶があります。

NotebookLMを使いこなしたいなら『Google NotebookLM 即効活用大全』がおすすめ!

NotebookLMは、非常に便利なツールです。今の時代、活用しない選択肢はないでしょう。
「NotebookLMが便利なのは分かったけど、使いこなす自信がない」
「もっと基本的な使い方を1から学びたい」
「たくさんの活用事例を知りたい」

そんな方におすすめの書籍がGoogle NotebookLM 即効活用大全です。本書は4つのChapterから構成されており、導入編では概要を、基本編では各機能の使用方法を紹介します。活用編ではいくつかの機能を組み合わせた便利な使い方を、ケーススタディ編ではさまざまな業種・職種における具体的な活用シーンを解説します。

ぜひご一読ください。

馬渡慎之助(まわたりしんのすけ)

技術評論社、第2編集部所属。
𝕏: @hensyunoouma