AI検索がもたらしたゼロクリック検索の世界
2024年まで、検索エンジンからの集客は、ウェブサイトへのアクセスを増やすことだけが目的でした。多数のキーワードで検索結果の上位に表示されることで、検索エンジンからウェブサイトへのアクセスを増やし、自社のウェブサイト上で見込客との接点を作っていたのです。
しかし、AI検索が検索エンジンに組み込まれたことで、状況が変わりました。人々は、ウェブサイトを訪れることなく、検索結果画面のAIの回答から購入すべき製品やサービスの候補を知り、AIとの対話を通じて比較検討できるようになったのです。いわゆる
ゼロクリック検索の増加によって、検索エンジンからウェブサイトへのアクセスを増やすことは困難になりつつあります。アメリカの非営利の独立系調査機関であるピュー研究所が2025年3月に実施した調査[1]では、AIによる概要を目にしなかったユーザーの15%が検索結果のリンクをクリックしたのに対し、AIによる概要を目にしたユーザーではリンクをクリックしたのはわずか8%にとどまったといいます。
このように検索結果のリンクがクリックされないことが増えている一方で、AIによる回答を意思決定の参考にすることが増えています。見込客との接点を作る場は、従来の検索結果からAIによる回答へと変わりつつあるのです。
現在の検索の例として、5歳の娘の誕生日プレゼントを探すケースを見てみましょう。
Aさんがグーグルで
- お洒落好きなら、キッズコスメ。
- 創造性を伸ばしたいなら、アクセサリや編み物などのメイキングトイ。
- 運動能力を高めたいなら、キックスクーターや自転車。
- 知的好奇心を伸ばすなら、言葉遊びや数字遊びの知育玩具。
そんな形です。
知育玩具が気になったAさんは、次に
- 空間認識力を高める製品
- 語彙力や知識を高める製品
- プログラミング能力や論理的思考力を高める製品
といったように、具体的な製品とそのクチコミ評価をまとめて提示します。
空間認識力を高めるという
「[知育玩具A]
と競合製品を比較して」
と検索します。すると、AIはほかの複数の競合製品との機能、価格、対象年齢、拡張性などの比較表を生成して提示します。
Aさんは、ここまでの比較検討を経て、検索結果画面から出ることなく
「[知育玩具A] 通販」
と検索し、この時点で初めて検索結果画面を離れ、販売会社のウェブサイトを訪問します。
この例のように、現在の検索ユーザーは、検索結果のリンクをクリックすることなく、製品やサービスと出会い、比較検討を進め、購入するものを決めることができます。最少のクリックですませるなら、検索結果のリンクをクリックするのは販売店のウェブサイトに移動するための最後の1回だけにもできます。
AI検索が製品やサービスとの出会いの場となったいま、AI検索におすすめされなければ、あなたの会社や製品やサービスが見込客に出会う機会は大幅に縮小してしまいます。
地域のニーズ、業界の小さなニーズ、こだわりのニーズに応えている中小企業こそ、AI検索時代の主役
東京近郊のベッドタウンで30年近く営業している中村リフォーム
しかし、その状況は、AI検索によって大きく好転しました。
中村社長にAI検索時代の到来を告げたのは、あるお客様からの1本の問い合わせ電話でした。
そのお客様は、以前から、自宅にいるときも家族に邪魔されることなく仕事ができるスペースが欲しいと考えていました。そして、あるとき何気なく、スマホのAIに
すると、スマホのAIは、同じ市内で評判のいいリフォーム業者を3社ピックアップし、その最初に紹介されていたのが中村リフォームだったといいます。AIはこのように答えたそうです。
「中村リフォームの事例集には
お客様は、くわしく話を聞いてみようと、そのままスマートフォンで中村リフォームに問い合わせの電話をかけたとのことでした。
商談はスムーズに進みました。中村リフォームは、AI検索からの受注で珍しいタイプのリフォーム工事を受注でき、お客様は中村リフォームの工事でご希望どおりの小さな書斎を手に入れることができました。
中村社長は、その後も、事例の公開を進めるとともに、地域での評判の向上に注力することで、AI検索からのおすすめを獲得し、受注を伸ばしています。
地域に密着した会社、ニッチなニーズを満たす会社など、小さな会社にとってAI検索時代の到来はチャンスです。AI検索では、検索者の細かな文脈を加味した回答が表示されるため、大企業でなくても回答に表示させることができるからです。地域のニーズ、業界の小さなニーズ、こだわりのニーズに応えている中小企業こそ、AI検索時代の主役です。
新刊
お客様のほうからあなたを探してきてくれる未来を、あなた自身の手で実現しましょう。
住太陽(すみもとはる)
ボーディー有限会社代表取締役。
1971年生まれ。1999年からSEOに従事、一貫して
小説
公式サイト
𝕏: @motoharusumi
ホームページ: https://