現代の人間関係は難しい。
そう聞くと、違和感のある人もいるかもしれません。
今は昔と違い、個人の領域が意識されるようになりました。他人の思想や信条にずけずけ切り込んだり、相手の意に沿わない誘いや付き合いを強いても、そこまで問題とされなかった、あるいは問題にできなかった時代とは違います。ですから、より自由に生きられるようになったはずだと思うのは自然なことです。
しかし裏を返せば、配慮が求められる場面は格段に増えました。例えば食事や飲みの誘い、あるいはちょっとしたアドバイスも、それが良かれと思ってやったものであっても、今では一歩間違えば
言いたいことがあっても場の空気を壊さないよう飲み込んだり、気の乗らない飲み会や付き合いに毎回顔を出したりといった、
このように、求められる人間関係のレベルが上がっている中で、人とのかかわりを閉ざすことなく、いい関係を築くというのは簡単なことではありません。
難しさの根底にあるのは、「距離感」ではないか
その難しさに共通しているのは、
例えば、日々の雑談はコミュニケーションのツールとして優秀です。しかし時と場合や長さを誤ると、それは相手を不快にさせます。かといって、まったく誰とも話さない、雑談は無駄だと話しかけを無視するのも良くないでしょう。これは関わる頻度や距離のとり方といった、いわば
あるいは、仲良くなりたいと思って少しプライベートな領域に踏み込むこともあります。しかし相手や踏み込む内容を誤れば、それは相手を不快にさせます。かといって、まったく自己開示をしないのでは、最低限の親密さすら築くのは難しいでしょう。これはどこまで心を開くかという
こうしてみると、距離感には少なくとも
相手によって距離感は千差万別 ― 特に職場は難しい
この2つの軸で適切な距離感を探ろうとしたとき、さらに厄介なのは距離感は相手の属性によって変わるということです。特に難しいのは、やはり職場の環境でしょう。
- 上下関係や取引先、他部署など、自分では選べない相手とのかかわりが多い
- 自分の昇進や異動によって、一度築いた関係性がリセットされることがある
- 対面やメールの場面ごとに、プライベートな話題や敬語などのトーンをどこまで調整すればよいのかわからない
上下関係でいえば、かつては下の側が上の側に気を遣うもので、その逆の配慮は必要なかったでしょう。しかし今は、上の立場の人間ほど相手との距離感に神経を使わなければならない時代になっています。もちろん、下の側の気遣いが不要になったわけではありません。これは上下関係に限った話ではなく、職場の人間関係全体で、これまで気にしなくてよかった側にも配慮が求められるようになっているのです。
さらに、相手に
では、この距離感、どう扱えばいいのか
距離感を相手や場面に合わせて正しく調整していくのは、簡単なことではありません。かといって、いつどこで誰と接するときも同じ基準で臨むのは考えものです。
関わる人全員と親密な100点満点の関わり方をする必要はありません。しかし誰に対しても同じ距離感で接してしまうと、人によっては近すぎ、または遠すぎることになります。その結果、関わる人のうちの何割かは、問題のある距離感で接してしまうことになります。さらには、その
どの相手にも仕事の話しかせず、距離をとってしまう。親しみを込めて話しかけてくれた相手の好意もはじき返してしまう。最低限親密になって仕事をやりやすくすべき同僚や取引先のような相手まで遠ざけてしまうのは、社会人として避けたいところです。
今の距離感なら相手とどんな会話ができるのか、あるいはどんな会話をすべきなのか。そういった行動の基準は、感覚的にわかる人にはわかるものなのでしょうが、わからない人にとってはなかなかつかみにくいものです。
では、その
とはいえ、どのくらいの種類の基準をもっていればいいのか、そもそも基準はどう作ればいいのかもわからないまま、距離感について0から自力で考えるのは難しいと感じる方も多いと思います。
自分だけの「距離感の基準」を作る
そこで役立つのが、多種多様な距離感のパターンを整理して解説した
この本では、距離感を調整する際の行動を
- 上司や部下といった相手ごと
- メールや会議といった場面ごと
- 新人からリーダー期までのキャリアの段階ごと
に使える距離感の技術について解説しています。つまり、この本を読めば、
ただ、この本で示した内容が、あなたにとっての正解になるとは限りません。重要なのは、これを一つの行動の基準、あるいはたたき台として、自分自身の距離感を微調整していくことにあります。
整えられたはずの