「みのるん式」とはなんぞや? 担当編集がCodexで試してみた

ChatGPTやGemini、Claudeなど、仕事でAIチャットを使う機会が増えています。その次の選択肢として注目されているのが、人の指示を受けて複数の作業を進める「AIエージェント」です。中でも、Anthropic社が提供する「Claude Code」は、プログラマーだけでなく、さまざまな職種で使われ始めています。

本書『[みのるん式]ビジネスパーソンのためのClaude Code仕事術』では、Claude Codeを自分の仕事にどう取り入れるのか、セキュリティの問題にどう向き合うのかを解説しています。コードを書くことが本業ではないビジネスパーソンに向けた1冊です。

今回は、自分が担当編集として本を制作するなかで、少しずつ「みのるん式」を身につけていった体験をご紹介します(もちろん、まだ完璧ではなく、道半ばであり、どんどん極めていく所存です⁠)⁠。

そもそもAIエージェントとは?

AIチャットで一問一答するのと、AIエージェントに仕事を頼むのはどこが違うのか。原稿を読む前は、自分もそこが気になっていました。

原稿では、その違いを「自律動作」と「ツール利用」という言葉で説明しています。頼まれた仕事をいくつかの作業に分け、必要なファイルを読んだり編集したりしながら、「⁠計画と実行と確認のループ」を回していくのです。

たとえば「今月の稼働報告を作りたい」と伝えると、カレンダーを見て予定を案件ごとに分け、足りない情報があれば質問する。そうした例が本書に出てきます。Claude Codeはもともとプログラムを書くためのAIエージェントですが、これなら原稿を読み書きする自分の仕事にも使えるかもしれません。

日常業務を自動化? 定型業務がないので、無理だろ!

「日常業務を自動化しよう」

そう聞いて、自分はまず「無理だろ!」と思いました。朝、出社して自動化できそうな仕事を考えてみたのですが、全く思い浮かばないのです。

  • 著者との打ち合わせ
  • 打ち合わせの議事録作成
  • ToDoの洗い出し
  • カバーデザイナーさんへ渡すテキストデータの整理やイメージの言語化
  • 上司への進捗報告
  • 明日行われる打ち合わせの準備
  • 昨日送ってもらった原稿のフィードバック
  • 企画会議に提出された企画の確認+自分の意見の整理
  • 次の企画会議に向けて、提出したい企画書の作成
  • 本文デザイナーさんへの請求書の催促
  • 別著者にフィードバックが遅れていることのお詫び
  • Xのパトロール

などなど。決まった曜日に同じ仕事をするわけでもありません。メールの文章だって、気持ちを込めて自分で書きたいものです。

ところが原稿を読むうちに、「⁠何でもAIに相談する」「⁠仕事の一部分を任せる」というやり方なら、自分にもできそうだと気づきました。打ち合わせ前の論点整理や、メールで伝えたいことの整理も、その一部分です。

タイミングよく、会社でCodexが使えるようになった!

そんなとき、なんと8月に技術評論社内でChatGPT Businessが導入され、Codexを仕事で使えるようになりました。

この本で取り上げているのはClaude Codeです。ただ、「⁠何でも相談する」「⁠一部分を任せる」という方針なら、OpenAIのAIエージェントであるCodexでも同じように使えるはずです。実際、著者も本の中で、Codexでも内容をほぼそのまま実践できると書いていますので、早速使ってみることにしました。

まずは自分の仕事をCodexに伝えてみた

最初にやったのが、第4章で紹介されている自己紹介をCodexでも試すことです。「⁠何を伝えれば、一緒に仕事を進められますか」と、まずCodexに聞いてみました。

図1 編集者の仕事をCodexに伝えて相談する画面の再現

本書には、キーボードで打つより、音声のほうが自分の仕事をたくさん伝えやすいとも書かれています。そこで会議室を予約し、ぼそぼそと仕事内容を話しました。Codexから質問が返ってきたので、それにも口に出しながら答えました。会議室で一人、パソコンに向かって仕事の説明をするのは、妙な光景だったかもしれません(独り言を喋る人間になりそうで、少し心配ではあります⁠)⁠。

書籍の制作も、Codexを介して進めてみた

使い始めてからは、著者への相談、デザイナーさんへの依頼、印刷所とのやり取りなど、ほぼすべての仕事をCodexを介して進めるようになりました。もちろん、相手に送る文章を最初から最後まで作ってもらうわけではありません。「⁠何を伝えたいのか」「⁠前に決めたことと食い違っていないか」を、一緒に考えてもらいます。

たとえば、著者の原稿へのフィードバック。これまでは、気になった箇所をWordやPDFに一つずつ書き込んでいました。今回は自分が気になった理由を音声で伝え、関連する箇所や修正案をCodexに整理してもらいました。著者の意図とずれていないかを自分で確かめてから、GitHubで修正を提案しました。

GitHubは、もともとソフトウェア開発で変更履歴を残すために使われてきたサービスです。今回は原稿の修正案を著者に見てもらうために使いました。この「修正案を見てください」と出す仕組みが、プルリクエストです。名前は少し難しいですが、やっていることは原稿の相談に近いと思います。

今回は、自分が喋ったことを元にプルリクエストを作成してもらい、最後は内容を確かめてから「プルリクエストを送って」と伝えました。

次の画像は、原稿の一文を直す提案に対して、自分と著者がClaude Codeを介してやり取りしている様子です。

図2 原稿の修正案と著者による取り込みが分かるプルリクエストの画面

※ここでは、同じように原稿修正を提案した別の日の画面を掲載しています。画像のプルリクエストは、CodexではなくClaude Codeを使って作成したものです。

文章から「AI臭さ」を取り除く作業を楽しむ

本書の第10章には、AIが書いた文章から「生成AI臭さ」を消す方法が載っています。まず取り上げるのは、太字や箇条書きが多すぎるといった、見た目の癖です。さらに、文末が似た形で続く、妙に決め台詞めいた表現が入るなど、言い回しの癖も紹介しています。

大事なのは、「⁠AIっぽくしないで」と曖昧に頼むのではなく、どの癖をどう直すか具体的に伝えること。そこを読んだときは、なるほどなあと思いました。

ちょうどそのころ、Vivliostyleというソフトを使った自動組版について、上司からA4の報告資料にまとめるよう頼まれました。「⁠組版」は、原稿を本のページに配置する作業です。制作中の記録を材料にCodexが下書きを作ってくれたのですが、読み返すと太字と箇条書きがやたらと多い。文末の「ます」「⁠ました」も連続していました。

そこで、第10章に書かれていたように、気になる癖を一つずつリストアップし、どこをどう直してほしいか伝えて、それに沿って修正してもらいました。まず、太字を減らし、箇条書きにしていた部分は文章で説明する形にしました。次に「ます」「⁠ました」が続くところも直し、最後に実際に試したことや自分の判断が伝わるか、内容を読み直しました。

次の画像は、報告資料の1ページ目から同じ段落を抜き出したものです。修正前は「担当しました」「⁠まとめました」と文末が続いています。修正後は一文につなぎました。

図3 自動組版の報告資料の冒頭。修正前は「しました」が続き、修正後は一文につないでいる

※画像は実際の報告資料からの抜粋です。社内の人名や別の書籍の情報が載る箇所は含めていません。

とはいえ、AI臭さを取り除くだけでは、読者に最後まで読んでもらえる文章にはならないでしょう。AIで文章をつくってもらい、AI臭さを取り除くにしても、伝えたい内容をしっかり詰め込むことが重要だと個人的には思いました。

「みのるん式」で自分の使い方を採点してみた

「みのるん式」を試し始めて1週間たったある日、自分がどこまでできているのか、数字で可視化してみたくなりました。そこでCodexに、この1週間に進めた仕事を振り返り、本書で紹介されている4つの取り組みについて点数をつけてもらうことにしました。採点の材料は、Codexと一緒に進めた仕事の記録です。

点数をつけてもらっただけでは、あまり面白くありません。結果を一覧で見られるよう、CodexにHTML形式のページも作ってもらいました。HTMLは、Webページを作るための形式です。次の画像は、そのページを画面に表示したものです。

図4 「⁠みのるん式」を1週間試した使い方の自己採点。4項目の平均は80点

平均は80点。個人的には大満足。もちろん、これで仕事の腕前が証明されたわけではありません。「⁠半自動化」は高得点でも、仕事場をさらに広げる項目は55点。まだまだ課題が残ります。本書では、「⁠コンテキストの複利」という言葉が登場します。仕事の記録や自分の判断を残し、次の仕事にも生かしていくことで、自分専用のAI秘書が育っていくのです。この自分にとっての育成ゲームは、まだまだこれからです。

会社でClaude CodeやCodexが使えない場合はどうするのか?

自分は運よく会社でCodexを使えました。でも、「⁠うちの会社にはClaude CodeもCodexもないよ!」という方もいるはずです。Claude CodeやCodexは使えても、メールや社内システムとの連携が許可されていない方も多いでしょう。

趣味や個人活動で自由に使うことと、会社に所属しながら仕事で使うことは別の話です。自分も仕事では、取引先の住所などを扱うので、仕事の資料をAIに読ませるときは、契約や会社のルールを確認する必要があります。

では、会社で使いたいときは、誰に何を相談すればよいのでしょうか。Claude CodeやCodexといったAIエージェントは使えても、ほかのサービスとの連携が認められない場合は?

本書『[みのるん式]ビジネスパーソンのためのClaude Code仕事術』の第11章では、個人で使い方を試す段階と、会社の仕事に取り入れる段階を分けて説明しています。情報システム部門への相談の進め方や、連携が許可されていない場合の工夫も紹介していますので、「⁠会社では無理だろ!」と思っていた方にも、ぜひ読んでいただきたいです。

馬渡慎之助(まわたりしんのすけ)

技術評論社、第2編集部所属。
𝕏: @hensyunoouma