キーパーソンが見るWeb業界

第2回Webと紙、リッチの意味

第2回目を迎える「キーパーソンが見るWeb業界⁠⁠。今回は、ゲストとして、ペパボこと株式会社paperboy&co.代表取締役社長 家入一真氏をお迎えし、4名による座談会を実施しました。

Webサービスという観点から見たデザイン・制作のお話など、いつもとは異なる雰囲気の中、熱いトークが行われました。

森田 雄(MORITA Yuu)
⁠株)ビジネス・アーキテクツ取締役、Quality Improvement Director。

東芝EMI、マイクロソフトなどを経て、ビジネス・アーキテクツの設立に参画、2005年より取締役。XHTMLやCSSなどのフロントエンド技術、アクセシビリティ、ユーザビリティのスペシャリスト。日本ウェブ協会副理事長。CG-ARTS協会委員。アックゼロヨン実行委員会委員長。文部科学省ホームページリニューアルアドバイザー委員。広告電通賞審議会選考委員。著書(共著)『Webデザイン -コミュニケーションデザインの実践-』など。

阿部淳也(Junya Abe)
1PAC. INC.代表取締役 クリエイティブディレクター

自動車メーカにて電装部品のユーザインターフェース設計を8年間手がけた後、IT事業部異動。約4年間Webデザイン、Flashオーサリングなどを手がけるとともに、営業支援システムや化学物質管理システムなどのテクニカルディレクターを経験。2004年よりCosmo Interactive Inc.に参加。多くのWebサイト立ち上げにプロデューサ、クリエイティブディレクターとして携わる。2008年にワンパクとして独立。

長谷川敦士(Atsushi Hasegawa, Ph.D.)
⁠株)コンセント 代表取締役社長/インフォメーションアーキテクト

1973年山形県生まれ。東北大学大学院理学研究科博士前期課程修了(理学修士:素粒子物理学⁠⁠。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士:認知科学⁠⁠。ネットイヤーグループ株式会社を経て、2002年に株式会社コンセントを設立。インフォメーションアーキテクトとして大規模サイトの設計やプロデュースに携わるかたわら、人間中心設計推進機構(HCD-Net)理事を務めるなど、IA(情報アーキテクチャ)研究や啓蒙活動を牽引している。

家入一真(Kazuma Ieiri )
株式会社 paperboy&co. 代表取締役社長

1978年福岡県生まれ。2001年自宅の一室で立ち上げたロリポップ!レンタルサーバーをはじめ、デザイン性を重視したWebサービスを多数提供。また、一クリエイターとしても創作活動を行っており、作品や日記をblogで公開中。

ブクログロリポップ!2manji30days ALbum

Webと紙って何が違うのか?

初回でもご紹介したとおり、本連載ではgihyo.jp上でのアンケート回答をもとに、座談会のテーマや方向性を決めるようにしています。ところが1回目の座談会が公開された後の集計数の伸びはあまり芳しくありませんでした。編集部では、さまざまな要因を検討する中、紙とWebを連動させるには、それぞれのメディア特性をもっと知る必要があるのでは、ということに行き着きました。

このきっかけから、最近よく聞く「紙→Webの流れが定番になっている」という定説に疑問を投げかけて、あらためてそれぞれのメディア特性について考えてみたい、ということを、キーパーソンの皆さんにお伺いしてみました。

そこで、今回の座談会では、

というテーマで、ゲストの家入氏を含めた4名に、デザインや制作をする立場として2つのメディアをどのように捉えているのか、お話しいただきました。

アンケートについては現在も募集中です!ぜひお答えください(編集部より⁠⁠。

今回の座談会は、ペパボオフィス内の会議スペースにて行われました。家入さん、ペパボの皆さんありがとうございました!
今回の座談会は、ペパボオフィス内の会議スペースにて行われました。家入さん、ペパボの皆さんありがとうございました!

Webのデザイン・制作、紙のデザイン・制作

――まずはじめに、Webと紙のデザインと制作に関してお聞きしました。ビジュアルデザインとして見た場合やインターフェースの観点で見た場合など、各人のご経験をふまえてお話しいただきました。

家入:僕はサラリーマン時代、紙のチラシとか作っていました。いわゆるDTPオペレータという職種ですね。そういう意味では紙から入ったと言えるのでしょうか。

阿部:僕もWeb業界に入る前は自動車メーカの中のIT系の事業部に所属した時期があったのですが、そこで宣材やイベントパネル、他にもマニュアルといったものをPhotoshopやIllustratorを使って作っていましたね。

森田:僕も以前マルチメディアCD-ROMの制作をしていたとき、化粧箱や説明書、ポスターなどを作っていました。だから基本的な経験はありますが、紙の材質を意識して作るとかいう域ではなかったですね。だから、CMYKとかは意識していたにしても、それをもって紙の経験がある、と言えるかどうか難しいところではあります。

家入:けれど、そのあたり、Webから入ったデザイナーだとまったく通じないことが多いですよね。たとえばDICとは何?みたいな。

阿部:Webでは完全にRGBですからね。それと、家入さんがおっしゃったように、Webから入ったデザイナーの場合、紙の文字組を知らなくて、すべてHTMLとして入力したものを基本に考えてしまいます。その辺の差は大きいです。

森田:本当なら、Webというメディアは、出力するデバイスによってさまざまな表現が可能になるはずなんですよね。それがPC上のブラウザであったり、携帯電話であったり、音を使うことも可能です。そこがWebの一番おもしろいところですし。中で持っている情報としては同じでも、どのようにビジュアライズするか……、こういう考えで作っているWebデザイナーは案外少ないのかもしれませんね。

その理由の1つがWebから入りましたといっても、実は参考にしているメディアが紙のために、自分で制約を作ってしまっているからです。

家入:Webのほうが制約が少ない?

森田:ええ。本質的にはそうだと思います。なのに、たとえば(Webページを作るとき)A4サイズでレイアウトしてしまうことでA4という制約を付けてしまっている。

阿部:クライアント側の意識もありますよね。⁠読みやすいレイアウトでお願いします」と要望を加えて、改行位置まで気にする方とか。これって、紙で見ることが前提にあるから出てくる要望だと思いますが、実際にWebの場合では、幅とか細かい文字調整を統一することは難しいです。先ほどのデバイスによって出力を変えられることによって、見る人の環境によって異なるわけですから。もちろんCSSを使った基本的な統一は実現できますが。

森田:そう考えると、デザインは見た目(レイアウト)だけではなく、テキスト(文章構造)まで考えなければいけないはずですよね。改行位置で調整するのではなくて、文章量で調整するということです。たぶん、これがデザインにとっては重要なはず。

家入:少し話が変わりますが、僕はよく他の社長blogを見ていて、行間をあけて書いている方を見かけます。1つのレイアウトへの意識だと思うんですけど、これって何か意味があるんでしょうか。

森田:意味があったりなかったりでは(笑⁠⁠。行間をあけることで、意味を読めという意識の方もいると思いますし。あとは、携帯電話で見てもらうことを意識して、1画面に入る量を調整している方もいるようですね。

物質的な感覚の違い

――紙とWebの制作において、まず意識しなければいけないポイントとして、出力されるデバイスが違うという点が見えてきました。とくに、Webというのは「情報を受ける側の環境によって自由度が高い」ということです。続いて、このデバイスの違いという観点からお話を進めていただきました。

長谷川:デバイスの違いということで、1つおもしろい例をご紹介します。Amazonが提供するAmazon Kindleです。これは、現在日本では提供されていないデバイスなのですが、データ転送機能が内蔵された電子ブックリーダーです。特定のソフトウェアのインストールや有線接続の必要なく、24時間いつでもAmazonから書籍を購入して本を読めるというデバイスです。しかも、通信費はすべてAmazonが負担してくれます。

家入:おもしろいですね。しかも(ディスプレイの)見た目の質感が紙っぽい。

長谷川:ええ、いつでもどこでも本が買えて読めるということに加えて、紙の質感を意識しているようです。また、直射日光下でも読めるようなディスプレイになっていますね。

家入:いつでもどこでもというお話で言うと、紙とWebの大きな違いって生活の場で読めるかどうかというのもありますよね。具体的にはトイレの中で読めるかどうか、とか。というのも、僕トイレの中で本読むのがすごい好きなんです。ただ、そのせいなのかどうかわかりませんが、本屋に行くとトイレに行きたくなります。

森田:それはなんかわかるんだけど(笑⁠⁠、関係はないんじゃない?

長谷川:本とトイレの関係性は、また別の機会で話しましょう(笑⁠⁠。今の話で言うと、長い時間・長い文章を見るのに適しているかどうか、というのが紙とWebの違いにつながるのかな、と思います。とくに長い文章をじっくりと読むには本が適しています。

森田:たしかに、紙ではじっくり読むとしても、Webは斜め読みが多いかな。

家入:そうですね。気に入っている雑誌なんかは何度も読み直すことはよくありますが、Webの記事を読み直すってことはあまりないですね。とくにトイレでは。って無理矢理トイレの話につなげたいわけではないですけど(笑⁠⁠。その点で、本とWebの情報が持つ濃度ってまったく異なると思います。

森田:たしかに。僕も本をたくさん読むんですが、本や雑誌の場合、目次だけではなく、ページごとの見出しやレイアウトまで覚えていたりします。言い換えれば「あの記事はあの見出しのところにあったな」とか。こういう位置情報は紙のほうが強いですね。

阿部:それと関連して、情報ごとの前後関係が明確ですね。雑誌であれば特集の後ろにはあの連載が来る、とか。無意識のうちに感覚で覚えてしまっていたりします。

長谷川:位置情報という観点では、人間の脳にとっては、全体を俯瞰して何か特定の項目を抽出するという、いわゆるメタインデックスを使って検索するというより、物理的な場所であったり、時間順序だったりを使って思い出すほうが自然です。本であれば、たとえば読んでいて落としたときに背表紙の一部がへこんだとします。すると「いついつ読んだときに背表紙がへこんだ本」とか、お風呂の中で読んで落としてしまったときに「あのとき濡れてしまった本」というような、経験が物理的に残ることになります。

私は、趣味や仕事の話題など自分の情報はすべて時系列にノートに残すようにしています。現在21冊目なんですが、このように残すことで、何冊目にどんな情報があったというふうに遡れたりします。

森田:僕はいただいた名刺を、その順番で名刺フォルダに入れています。これを五十音順に並べ替えたり、スキャンしてデータ化するとたぶんわからなくなると思います。時系列に残すことで、だいたいあの時期にもらったものか、あのパーティの後に会ったとか、記憶として思い出せるので探しやすいんです。

阿部:つまり、⁠情報を知るうえで)触覚とそれに付随する時間感覚も大事ということですね。視覚的に頭に入っていくだけではなく、手にとって触れるという感覚や時間的経緯など。それこそ、トイレの中という空間的な感覚にもつながりますね。

僕は、この部分は、Web制作をするうえでも大事なことかなと思っています。以前僕が担当した本誌の連載(⁠⁠プロジェク道⁠⁠)などでもご紹介したペーパープロトはまさに触れるということが重要な要素なんです。プロジェクターに映してプレゼンするのではなくて、実際に触ってもらって説明していきます。その点で、今のお話はとても腑に落ちますね。

長谷川:ええ。触れる感覚はとても重要だと思います。ペーパープロトに関しては弊社でも最近、⁠サイトストラクチャを作るためのペーパープロト」というのを作って、今年のIA Summitでも紹介してきました。これは、ポータル型やリスト型のように、ページのパターンを7種類のテンプレートとして作っておいて、それを使ってサイト構造を作るというものです。物理的な本、というのとはちょっと意味が異なりますが、ここでも大きなサイズで実際に体を動かしながら検討をする、という体験を重視しているという点で共通しています。

森田:紙のほうがわかりやすいところもあって便利ですが、⁠触覚を出すことが)できるのであれば紙でも何でもかまわないと思っています。

余談ですけど、プロトタイプを作るときに「手で書いたもので良いから、明日までにやっておいて」というようなニーズが、クライアント側からたまに出てくることがありますが、これって困りますよね(笑⁠⁠。紙のほうが手間がかからないという間違った認識があるから出てくることなんですが、実際は紙でもデジタルでも本質部分は変わらないので、同じだけの手間がかかるわけです。

長谷川:たしかに、そういう違いはないはずですよね。逆に効率化という面で言えば、デジタル対応したほうが絶対楽だし。

僕たちが紙を選ぶということに関しては、記憶に残りやすいとか意識してもらいやすいということがあるからで、言い換えれば余白が多いからです。つまり、デザインや制作をしていく中で記憶を封じ込めるための身体的な経験や物理的空間を持っているということです。単にPCのツールを使うのであれば、それは最適化作業にしかならないはずです。

阿部:ユーザ視点で見ても、まだWebのインターフェースがコモディティ化されていなくて、だから紙を選ばれる場合もあると思います。たとえば、マニュアルは1つの例です。7、8年前に僕が自動車の整備マニュアルなどを3Dで作ろうと考えていたころ、これからはすべてデジタル化されて、分厚いマニュアルはなくなってしまう、というような、紙のマニュアルを作る人たちにとって危機感のようなものがありました。

でも、実際今になってみて、すべてデジタル化になったかというとそうではありません。逆に、まだまだ、自動車整備の現場では分厚いマニュアルを使っている人たちが大半であり、それがないと仕事にならないのが現実です。つまり、Webってまだまだユーザに対して苦労を強いるインターフェースなんです。だからといって紙のほうが良いかどうかと言えば、たとえば、検索性に関して言うと圧倒的にWebのほうが良いですよね。

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情報へのナビゲーションと検索性

――ここまでの話で見ると、紙には、Webが持っていない強みや特徴があることがわかってきました。ただし、時代の1つの流れとしてWebという動きが強くなっているのも事実です。今の流れから、今度はWebならではの強み、そしてその先についてお話しいただきました。

長谷川:検索性に関して言えば、たとえば、さっきのKindleなんかは良い例ですが、読みたいものをアルファベットで全文検索して、すぐ見つけることができます。また、AmazonやGoogle、WikipediaといったWebサービスにつながるので、そこから検索して欲しい情報をすぐに見つけられる。これはとても便利です。

たぶん、こういうデバイスのブレイクスルーがまだ来ないのは、自分たちを含めて、⁠情報を知ることに関して)紙世代が多いからだと思います。今後、あたりまえのようにPCや携帯電話、このKindleのように、Webから情報を見つける世代が出てくれば変わるのでしょうね。

森田:効率的な検索とか目的が明確な検索という観点ではそうですが、広義の検索で考えると、本で言う付箋やしおりのようなものってすごく大事だと思っています。もちろん、Webであればブックマークを付けるということが可能なんですが、でも、ブックマークを付けたサイトを何度も見直すことってやっぱり少なくて。おそらく付箋を付けるということを身体で覚えることに意味があるわけです。

阿部:その辺、UIにも関係するのでしょうか。本の折り目や開き癖とか。

森田:ええ。デジタルデバイスの場合、どんどんスタイリッシュ感を突き詰めていって、結果として使いづらくなってしまうこともあります。すると、そもそもの検索の目的からも離れてしまうことになります。

家入:つまり、探しやすさ以外にも検索に求められることがあるということでしょうか。これは僕の経験でよくあることなんですが、本棚から目的の本を探すとき、右から探し始めたら目的の本が左端のほうにあったりするんです。これって無駄な感覚にもつながるんですけど、このあたりどう思いますか?

長谷川:どっちを取るかという話にもなりますが、Webで情報を探す場合、探索行動の大きな課題といわれるのが、ブラウジングだと言われています。つまり、目的があるものに対して見つけるには、検索キーワードがわかれば一発でいけます。しかし、今のお話のように本棚から本を探したり、図書館で本を探すというとき、目的の本を探し出すだけではなく、⁠○○文学のあの本」という探し方から、目的とは違った別の本を見つけだしたりすることもできるわけです。つまり、自分の文脈ではないところからの発見があるのが本棚であり、図書館です。

Webの場合、この機能がまだきちんとできていません。しかし、ポータルなどではヘッドラインのようなニュース一覧としての表示が行われるのですが、現在、それは一極集中という結果にもつながっています。つまり、⁠人気記事」⁠最新記事」といったようなセグメント分けです。

家入:すると、僕が言った探し出すために無駄な時間ができてしまったことは、実は無駄ではないということですか?

長谷川:はい。すぐに目的のものが見つからなかったり、結果として目的に辿り着けなかったとしても、⁠右から左へ行ってしまった」という機能自体が、新しい価値観を産む可能性を持っていると考えれば、それは無駄ではないと思います。

阿部:その感覚わかります。本屋に行って、欲しい本があるはずなのに、たまたま気になった本があったら買ってしまうような感覚ですね。

森田:たしかにそうですね。もちろん、本棚とかであれば整然と整えておくこともできるわけですし、目的嗜好に合わせることはできます。しかし、仮に誰かに本棚の順番を変えられてしまって、すぐに見つからない状態になったとき、見つからないという感情変化だったり、他のものを見つけるということにつながりやすいことになります。これが表現できるようになると、レコメンデーションの価値が高まるんでしょうね。

家入:なるほど。何でもかんでも効率化すれば良いわけでもなく、そういった(探し出すまでの)時間的な要因までも含めて、紙というメディアが持つ特性なんでしょうね。

それから、無駄な時間も含めて、時間的要素は人の気持ちにも大きな影響を与えますよね。たとえば、昨日思っていたことをそのときにメールで送らず、次の日に送ろうとしたとき、感情が変わっていて、文面が変わったりするとかよくありますし。

僕はこうした時間差で生まれる変化、もどかしさ、あるいは誤解みたいなものをWebでうまく表現できないかな、と考えたことはあります。タイムラグを意識したWebサービスとでも言いましょうか。

まとめ

阿部:ここまでの話をまとめると、紙の特徴は日本の独自文化でもある折り込みチラシにつながるのかなと思います。つまり、毎週代わり映えがなくてもついつい見てしまうような余白としての価値に加えて、全体のレイアウトから位置情報を元に内容を思い出したり、チラシという材質からいろいろと想像ができるという特徴です。この感覚ってまだWebで表現し切れていないと思います。

また、チラシという形で情報の出口と入口が実現できている点です。たとえば、ある主婦が新聞の折り込みチラシを見てスーパーに買いものに行くというのは想像できます。でも、20年後、携帯電話を片手にスーパーに行くかどうかというのはまだ想像が付かないですよね。

一同:おー、たしかに(同意⁠⁠。

森田:それから、読者が純粋に情報を探す場合、Webであれば、ポータルサイトや検索エンジンを使うことで事足りますし、それならばiGoogleだけ見ていれば良いわけです。でも、ビジネスとしてはそれだけでは成立しません。

じゃあ、どうすれば良いかと考えたとき、たとえば、ある記事に対して近くに関連記事を載せることでコンテンツの価値を高められます。情報量を増やすことです。加えて、その記事を誰が編纂したかということを明確にすることで編纂者という価値を付け加えられるわけです。これは情報としての品質ですね。結果として、将来的には編纂者を目的とした読者を囲い込むというようなビジネス展開までつなげられますよね。

今のところWebではこの辺がうまくできていないことが多くて、それがバナー広告の効果が上がらない理由にもつながっていると思います。言い換えれば、こうした展開は、まだまだ紙で行う価値もあるのだと思っています。

長谷川:たしかに価値ある情報を提供するためには、きちんとした編集ポリシーが読者に伝わることが重要ですし、提供情報に対して編纂者という人が介在していることによって、サービスとしての対価が支払われるわけですね。

森田:もう1つ、紙からWebという動きに関しては、現状では、多くの人がただコストが下がるとしか考えていなかったりもして、だから(紙からWebへの展開が)うまくいかないことが多いわけです。でも、編集1つ、制作1つとっても人的コストはかかるわけで、そこを把握しない限りうまくいくはずがありません。

長谷川:単純に紙からWebにシフトするのではなく、Webという新しいものができたから、Webの特徴をふまえたうえでその使い道を考えていくことが大事ですし、紙として成立するものは紙のままで良いわけです。

作り手としては、紙やWebがどのような特徴を持っていて、どういった目的のときに紙なりWebなりを使っていけば良いのか、を判断することが必要となります。

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⁠株⁠ビジネス・アーキテクツ

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顧客企業の事業を支援するコミュニケーション戦略を提案・実施する国内最大規模のWebデザイン企業。顧客企業の経営課題を的確に捉え最新の情報技術を活用し、デザインという切り口から多面的なサービスを提供することにより、大企業の新事業立ち上げや事業の再編・再構築を支援。制作したWebサイトを通じて国内外のアワードを多数受賞している。

⁠株⁠ワンパク

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リクルート「スゴイ地図」⁠L25.jp」⁠R25.jp⁠⁠、日本マクドナルド「メガマックショウ」などを手がけてきた中心メンバーがスピンアウトし、2008年1月に新たに立ち上げたWeb制作をメインとしたクリエイティブプロダクション。HOTなアイディアとHOTな技術をベースにHOTなマインドを持ったHOTなメンバーでHOTなものづくりを行い、クライアントやエンドユーザの心をHOTにするため日々奮闘中。

⁠株⁠コンセント

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「Web時代の設計事務所」として2002年設立。ビジュアルコミュニケーション、情報アーキテクチャ、テクノロジーを融合して、Webサイト構築から情報プロダクトデザインまで幅広く、ユーザ経験を重視した問題解決を行う。大規模コーポレートサイトの構築、サービスサイトの最適化、インタラクティブコンテンツの企画・制作、運用によるサイトの効果向上、サイトやサービスでのユーザ経験のデザイン、情報プロダクトのコンセプトモデルの企画など多方面にわたって活動を行っている。

株式会社 paperboy&co.

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2003年に福岡で設立。⁠もっとおもしろくできる」を企業理念として、レンタルサーバー「ロリポップ!」や無料レンタルブログサービス「JUGEM⁠⁠、格安オンラインショップ構築サービス「Color Me Shop! pro」など、個人が気軽に始められる手頃な価格と、デザイン・コンセプトにこだわったインターネットサービスを多数展開している。

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