効果測定 虎の巻

第3回流入元の測定(前編)

第1回,第2回では用語の理解、ツールの特長について説明しました。

特に以下の用語と測定ツールの仕様を理解しておくことはすごく重要です。

  • ユニークユーザ数の測定仕様
  • 訪問回数の仕様(セッションの計測方法)
  • 流入元の判別方法
  • コンバージョンは直接(セッション内)か、間接か?

上記が正確に把握できていないと、流入元、コンバージョンの数値の意味が異なってしまいます。

実際、これらの用語が示す数値がどのような仕様なのか理解しないで、ツールを利用している方も多いのが実情ではないでしょうか?

例えばユニークユーザ数(UU数)については本当に正確にユニークユーザ数をレポートしている測定ツールは世にそう多くはありません。

自社の測定基準としてユーザ数はユニークユーザ数のことなのか、訪問回数の足し算なのかは明確にしておく必要があります。

よく用語の意味・測定方法についてベンダー・代理店に確認しておきましょう。

さて、第3回,第4回ではウエブサイトの集客、つまり訪問者がどこから流入してきたかを計測する仕組みや方法について説明しましょう。

流入元の種類

数年前はウエブの流入元(集客)は他サイトからのリンク、バナー広告、検索エンジン、メルマガなどが主流でした。

しかし、今ではアドワーズ、オーバーチュアに代表される検索連動型広告の出現により、検索エンジンからの集客がより重要になってきています。

実際、ウエブサイトの流入の90%が検索連動型広告からという例も珍しくありません。

今では、4マス媒体[1]に広告を出す場合は誘導用のURLを記載(このために専用のドメインを立てる企業もあります)したり、

TV CMからの 「続きはWebで...」 「○○○○で検索」 というようにウエブ以外の媒体から自社サイトへ誘導することが盛んになってきています。

また、アフィリエィト、ブログ、SNS も集客媒体としての活用が進んできています。

複数媒体からのウエブへ誘導して効果を測定する(クロスメディア[2]⁠)場合、流入元(媒体別)の効果測定は非常に重要になってきます。

 流入元の種類
図 流入元の種類

流入元をどれだけ、正確に計測できるかは非常に重要です。

PV数や、コンバージョン数も重要ですが、「効果測定」は流入元とコンバージョンの対比が中心です。残念ながら、現時点ではすべての流入元を事前準備(定義)なしに自動的に識別できる万能なツールはありません。キャンペーン終了後に流入元の識別ができていないことに気がついて、効果が把握できなかったという事例がよくあります。

まず、自社サイトに来るためのルート(流入元)を整理して、どう計測するのかを明確にしておきましょう。流入元の計測方法を把握しておかないと、後から「別のURLを割り当てておけばよかった。。。」と悔やむことになりかねません。

一般的に流入元の把握には次の方法があります。

  1. リファラーから識別(測定ツールが判定)
  2. リンク先ページ+URLパラメータ ⁠測定ツールに定義)
  3. 特別なランディングページ(受け皿ページ)を用意して計測する

1.リファラーから識別する

リファラーにはユーザが直前に閲覧していたサイトのURLが設定されます。

しかし、リダイレクト方式で流入してくる場合や、セキュリティツールの設定によってはリファラーは設定されないこともありますので、完全とはいえません(リファラーについては第1回測定を開始する前にを参照⁠⁠。

2.リンク先URL(ランディングページ)にパラメータを割り振る

URLパラメータ[3]で識別する方法です。

 URLパラメータで識別する方法
図 URLパラメータで識別する方法

上図の例ではwww.activecore.jp/index.htmlに対してadws=20070101を指定しています。www.activecore.jp/index.html は通常のTOPページの表示、www.activecore.jp/index.html?adws=20070101はアドワーズからTOPページへの流入と識別することができます。

3.特別なリンク先URLを用意する

広告出稿時に計測用の受け皿ページを用意しておき、そのページアクセスをカウントする方法です。

流入元の識別方法

各流入元の一般的な識別方法はつぎのとおりです。

直接アクセス
リファラーがない流入元です。ブックマークからの流入も直接アクセスに含まれます。リダイレクトで流入してくる場合はリファラーなしの場合が多く、直接アクセスに含まれる場合が多いようです。
検索エンジン
リファラーのホスト名から検索エンジンの種類が識別できます。測定ツールによっては、ドメイン名ではなく、検索エンジン名(Google, Yahoo!など)で表示できます。
外部サイト
測定対象のサイト以外の他サイトのことです。これもリファラーから識別できます。
検索連動型(リスティング)広告、バナー広告、アフィリエイト

リダイレクト型か、それ以外の方式かで異なります。

リダイレクト方式の場合は、広告出稿時に計測サーバーの飛び先URLを登録します。

リダイレクト方式以外の計測ツールでは広告出稿時のリンク先URLで識別します。リンク先URLにパラメータを割り振って、識別する仕様の測定ツールが多いようです。

リダイレクト方式の場合でも、リンク先URLにパラメータを振っておくと、後から集計する場合に便利なことが多い(後からログから判断できる)ので、是非お勧めします。

RSS
URLパラメータによって識別が可能です。測定ツールによって識別できるものとできないものがあります。最近ではRSS専門の測定サービスもあります。
メール
一般的にメールからの流入時にリファラーは設定されません。通常はメール文中のリンク先URLにパラメータを割り振って識別する場合が多いようです。
ブログ/SNS
リファラーのホスト名で識別できます。
インターネットネット以外からの流入
TV、 新聞、ラジオ、雑誌、イベント、DM、屋外広告、チラシ等のインターネット以外の広告からの流入です。 URLパラメータを割り振るか、専用の受け皿ページを用意して計測しましょう。

利用している測定ツールの流入元の識別方法を必ず確認しておきましょう。

URLパラメータを振る場合は、できるだけユニークになるように個別に割り振ったほうが後から集計する場合に便利です。

※)リダイレクト方式の注意点

リダイレクト方式の計測ツールや、サービスを利用する場合、リファラーが入ってこない場合があります。

後から、リファラーを集計しようとしたら、なにも入っていないため、計測ができなかったという事例があります。

特にバナー広告やリダイレクト方式で測定するタイプのツールを利用している場合は、事前に確認しておきましょう。

※)自然(オーガニック)検索と広告

自然検索からの流入か広告からの流入なのかを識別ができるか否かは測定ツールによって異なります。自然検索が多いと思っていたら、実はほとんど広告だったという事例もあります。

SEO対策の効果なのか、リスティングの効果なのかを識別することは今後ますます重要になってくると思われます。できれば自然検索と広告を区別することのできる測定ツールやサービスを利用しましょう。

第4回「流入元の測定(後編⁠⁠」では流入元の測定指標(クリック数、直帰率、コンバージョン等)について解説します。

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