はじめましてのごあいさつ
皆さまはじめまして。『サルでき流 WordPressではじめる企業サイトの作り方』にようこそ! ワタシ、カワサキタカシと申します。この連載では、読んで字のごとくWordPressを使って企業用のWebサイトを作りをはじめたいと思っている、「企業サイト作りビギナー」の皆さまに向けて、役立つアレコレをお届けしていこうと思っています。あ、個人で作ろうと思っている方でもまったく問題もなく読めますのでご安心くださいませ。
最初にワタシの話を少々させてください。……え? そんな時間はない? まあまあ、そう言わずに。「急がば回れ」とか「兎は寝てても勝てる」とかなんとか、よく言うじゃないですか。
ワタシ、出身がいわゆる“文系SE”というヤツでして。「技術を技術として理解する」のがウルトラ苦手なまま、見様見真似でサル真似で、たくさんのシステム開発に携わってきました。企業様の業務システムから、Webサイト、果てはiPhoneアプリまで。今思い出しても「よくリリースまで持っていけたな~ 」と思うようなこt………ガタガタガタ(フラッシュバック中)。
……コホン。その後、そんな極細毛の上をダッシュで綱渡りするような経験の中で得たワタシなりの理解の方法を、“サルにもできるホニャララ”としてお話ししてみたところ、「難しい表現がまったく出てこないのでとっつきやすい」と予想外の好評(?) をいただきまして。調子に乗って技術評論社サマから『(サルでき流)iPhoneアプリ開発塾』なる本まで出させていただきました。ワタシ褒められて伸びるタイプです。
そんなサルでき流シリーズ。今回はWordPressを使ったWebサイト作りのお話です。しかも、企業サイト作りをメインターゲットにしました。
……え、「アンタにそんな話できるの? 」ですか?
いえいえ、ご安心ください。ワタシ自身の経験から言えば、iPhoneアプリ作りよりもずっと長いですし、そのぶん数多くの失敗も(成功も)してきております。これでもワタシ、チョイチョイ企業様のWebサイトのサポートをやらせていただいているのですよ。えっへん。
そんな中で、「お客様が来てくれるようになった!」という幸せなシーンもたくさん見てきたのですが、それと同じくらい、経営者様や担当者の方々の「困惑と迷走と諦め」も見てきました。集客等の明確な結果を求められがちな企業サイトは、軌道に乗らないと精神的にとってもキツイのです。
ワタシは、そんな皆さまの気持ちを「少しでも楽にしてあげたいな~ 」と、おこがましくも日々思っておりまして。で、この連載の話につながった、と。そういう次第です。
ということで、今回の連載は、「サルでき流」&「企業サイト作り」でお届けしていきます。高度な技術的なお話はワタシ自身ができません(いや、万に……億にひとつくらいはできる可能性があるかもしれませんが、それは誰からも期待されていません)ので、カンタンノウハウ&こぼれ話を中心に進めて行こうかと思います。のんびりお付き合いいただけると幸いです。
この連載の目標発表!
早速ですが皆さま。Webサイト、作ったことありますか?
「大手ブログサービスを使って、自分の日記をつけている」「TwitterやFacebookで日々つぶやいている」……うんうん。Webサイトとヒトコトで言っても、結構幅が広そうですので、もう少し絞りましょうか。
この連載の目標は、外部インターネットサービスを使うのではなく、自分たち専用のドメインを持って、自分たち専用のWebサイトを作ることとします!
ちなみにドメインとは、Webサイトの“住所”を示している文字列のことです。「http://gihyo.jp」の場合、「http://」を除いた、「gihyo.jp」の部分を指します。住所ですので、世界の誰かが取得してしまうと、他の人は同じものを取得することができません。世界で唯一の、自分たち専用のドメイン。嗚呼、なんて素敵な響きなのでしょう!
そう、もう少し現実的な例えで言うと、企業にとっての自社ビル、個人にとっての一戸建てを建てよう! という目標になります。大手ブログサービスやTwitter、Facebookを使うなんて、商業ビルや、タワーマンションに居を構えるようなものです。どうですか、それ。
……うん、それもいいかもしれない。
って。いやいや! せっかくですから夢はデッカク行きましょうよ。ねえ!
世界中にあるWebサイトの数はどれくらい?
さてさて、Webサイト作りビギナーの皆さま。改めましてようこそいらっしゃいました。やる気に満ち溢れている皆さまの「とっとと作り始めようぜ」という意気込みが、ディスプレイ越しにビシビシ伝わってきます。……ウソです。そうだといいなというワタシの願望です。もし誰も読んでくれなかったらどうしましょう。
そんな弱気なワタシは、弱気ついでに、ここで現状のWebサイトを取り巻く環境についてのお話をしようかと思います。最初くらいはソレッポイことを書いておかないと、エラい人に怒られそうだからです。あ、少々数字が出ますので、皆さまは眠気覚ましのコーヒーでも入れてくるといいと思います。
ではでは、皆さま。今、世界中にどれくらいの数のWebサイトがあるか、ご存知ですか? アメリカのベリサイン社によると、2013年現在、世界中で登録されているドメイン数は、なんと2億5千万件を超えているそうです。2億5千万ですよ2億5千万っ! 世界の人口を70億人として、なんと「28人に1人」がひとつのドメインを持っている、という計算になるんです! マジかよ!
……って、あれ? たいしたことないって思っている方、結構いますね。こちらはディスプレイ越しにビシビシ伝わってきました。「28人学級として、1クラスに1ドメイン」じゃ、思ったほど多くないジャン、そんな気がしますか?
いえいえノンノン。これはほんの序の口、あくまでドメイン(住所)についてのお話です。すべてのドメインが“自社ビル”、もしくは“一戸建て”を建てているのであれば、「ドメインの数=Webサイトの数」になるのですが、ブログやTwitter、Facebookの個人ページも、見方によっては独立したWebサイトです。そう考えれば、Webサイトの数はあっという間に天文学的な数字に早変わり。1クラスどころか、1人に数百サイト、という割合になってしまいます。
まさに数えきれないほどあるというのが、Webサイトの実情です……のようです……たぶん。奥歯に物が挟まったような言い方になってしまうのは、このような商業ビル・マンション型のWebサイトの正確な数までを知る術が、ワタシの知る限り存在しないからです。10分ググって諦めたワタシの知る限りにおいては。
Webサイトを作るとは、Webサイトを育てていくこと
いやはや、すっかりお腹いっぱいになりましたね。皆さまはこれから、この膨大な数存在するWebサイトの中に、新しいサイトをひとつ作ろう、というわけなのです。どうですか。期待に胸いっぱいですか。何やら嫌な予感で胸がいっぱいのアナタは大正解です。
そう、これだけ多くのWebサイトが存在する中に新しいサイトを作っても、「コレってちゃんと誰かに見てもらえるのかしら? 」と思いませんか。だって、砂漠の真ん中に砂粒ひとつ落とすようなものですよ。作ったところで、誰も気付いてくれないんじゃないですかね。
ワタシが連載の最初に何故こんな話をしたかと言うと、実はこういう数字を知っておくことは、「Webサイト、特に企業サイトを作るにあたっての、良い心構え」になるからなのです。つまり、現在のWebサイトを取り巻く環境を考えると、Webサイトを作っただけでは、それが集客等の“結果”にスパっとつながる可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。自社ビルを建てても、普通は閑古鳥が大合唱するのです。
ですので、作ることだけを目標にしてはいけません。作った後にじっくり育てていくことが、現代におけるWebサイト作りなのです。100メートル走をイメージするのではなく、フルマラソンをイメージしましょう。そうすることで、途中で諦めてしまうことを防げます。
この連載のちょっと変わった形式について
さてさて、最後にひとつ。実はワタシはこの連載をはじめるにあたって、マンガを描くことにしました。
……えーっと。説明要りますね。
Q:マンガを描いたことあるんですか?
A:最後に絵を描いたのは中学生の頃だったと記憶しています!
いやね。先ほども書きましたが、現在のWebサイトは、単に作るだけではなく、長く育てていくことが非常に重要になってきます。ですので、単に作り方をここでご紹介するだけでは、皆さまの育てるモチベーションには役立たない気がするんです。
ですので、ある架空の会社を用意することにしました。そこには運良く(悪く?)、広報部としてWeb担当者になってしまった、何人かのキャラクター達が登場します。
彼らが会社から期待されているのは、単に「カタチを作って終わり」ではなく、会社にとって有用なサイトを作るということです。Webサイトを作ったこともない彼らにとって、このミッションは超難問です。
彼らが困って悩んでうんうん唸っている様子を見つつ、皆さまもサイトを作って育てていってください。彼らの考え方が少しずつ変わっていく様子や、ぶつかった壁をなんとか乗り越えていこうとする様が、何かしらのヒントになって、皆さまを勇気付けたり、モチベーションの維持につながっていけばスゲェいいなぁと思います。そのためのマンガです。
……もういっそのこと、こんなヘタな絵を描いて平然と世の中に公開している人がいる。自分も大丈夫だ。そんな風に勇気を持っていただいても結構です。ええ。ワタシは悲しくなんてありませんよ。
長丁場になりますが、一緒にガンバっていきましょう。
ではでは、連載スタートです。