はじめに
前回は、Herokuの基本的な説明と簡単なアプリをHeroku上で動かすチュートリアルを行いました。シンプルな仕組み・デプロイシステムなどHerokuを利用するメリットがわかってもらえたかと思います。今回は、Facebookアプリの魅力や仕組みについて解説していきます。最後に、今後の連載でどのようなアプリを作っていくのかを紹介します。
Facebookアプリの面白さ
Facebookアプリとは、その名のとおりFacebook上で動作するアプリケーションのことです。
現在すでにたくさんのアプリが公開されています。アプリを人気順にランキングしたAppDataというサイトも存在します。このサイトを見ると一番人気のアプリは、毎日2,000万ユーザが訪れるものがあることがわかります。また、毎日50万ユーザ以上が訪れるアプリが70以上もあります。Facebookアプリがなぜこのように多くのユーザを獲得できるのかは、以下のような要因を上手く活用しているからではないかと思います。
- Facebook上のソーシャルな関係を利用したアプリを作れる
- 友達の情報などが流れるアプリは面白く感じる。
- Facebookの中でFacebookの一部であるかのように動作する
- アカウントの新規作成などが不要で既に利用しているサービスの延長で安心感がある。
- Facebook上の5億のアクティブユーザのを持つプラットホーム上でアプリ提供できる
- プラットホームとして巨大なので0.1%のユーザが利用するだけでも大きな規模にできる。
- 友達が利用していることのアップデート情報や招待などの仕組みをがある
- クチコミ・バイラル効果でユーザ数を大きく拡大することができる。
他にも多数のヒットの要因があるかもしれませんが、以上のことは大きくユーザ数の増加に関わっているはずです。日本では、モバゲー・GREE・mixiなども同様の理由からアプリ提供者に人気になっていますよね。アプリの企画を行うときは、このような観点を持つことがヒットするアプリを創りだす上で重要ではないでしょうか?
Facebookアプリの仕組み
アプリの動作の仕組みはシンプルです。Facebook上にアプリを登録するとページが作られそのページでは、一部にiFrameでアプリ提供者のサービスの画面を表示します。図1が、今一番ユーザ数の多いゲームのアプリ“CityVille”の画面ですが赤枠の部分がiFrameとしてアプリ提供者のサービスの画面となっています。シンプルにiFrameを用いることであたかもFacebook本体の一部であるかのようにしています。
さらに、Facebookの特長であるソーシャルな情報、たとえば友達のアップデート情報・写真の情報などを取得するには、FacebookのAPI(Graph API)にリクエストすることでデータを取得します。その際に認証は、OAuth2.0という仕組みを用いる様になっています。
もうひとつのFBMLというFacebook独自のHTML拡張を活用する方法もあるようですが、最近はiFrameの方を推奨しているようです。今回は、iFrameを用いる方法で解説を行います。
Heroku上で動かすこと
iFrameを用いてFacebookアプリを提供するには一般的なWebサービスを提供するのと大きく違いはありません。なので、もちろんHeroku上で運用することは可能です。また、Facebookアプリの特長である一気に大きく成長するという観点からするとやはりHerokuのスケーラビリティは魅力的ですね。
前回紹介しましたが、Herokuも専用のプランを用意するなどFacebookアプリで利用されることを推奨しており、Facebookアプリの事例も紹介されています。
スケーラブルなプラットホームを持っている場合は別ですが、そうでない場合はHerokuを利用するのは非常に合理的な選択だと思います。
この後の連載で作るアプリについて
今後この連載では、実際にFacebookアプリを作っていく形で、Heroku上でどのように動かしていくのかを紹介していきます。このアプリは単なるサンプルでなく実際にユーザの方が利用できるアプリにしていきます。
現在、Facebook上にはFlixster(Movies)というアプリが公開されています(※)。これは、映画の感想や評価を投稿して共有するアプリです。日本では、食べログは飲食店を評価共有するものですがそれの映画版と考えると分かりやすいと思います。今回作るアプリは、これの「マンガ」版を作ろうかと思っています。今全世界で日本のマンガが人気を得てきていますが、そのマンガを評価するアプリを日本から創ってやろうと考えたのです。
最近、国内でもFacebookの知名度はどんどん高くなってきています。マンガ好きな海外ユーザだけでなく、これから参加する多くの国内のマンガ好きな人も巻き込んだサービスにできるのではないかと考えています。
まとめ
今回は、Facebookアプリについて詳しく紹介しました。Facebookアプリの特長や、どんなものなのかがわかっていただけたのではないかと思います。次回からは、実際にHeroku上でFacebookアプリとして動くものを作っていきます。これまでは、HerokuやFacebookアプリについてもう知っているという方にとってはちょっと退屈な回だったかもしれません。これから楽しみにしてください!