はじめに
前回は、Herokuでどのように非同期の処理を行うのかを解説しました。Webサービスのユーザビリティを向上させるためにも重要な非同期に処理の実現方法を理解いただけたかと思います。とくに、レスポンスの時間に制限のあるHerokuでは非同期処理は非常に重要になってきます。
今回が今連載の最終回になります。連載の振り返りとHerokuの今後の可能性についてを書いて連載のまとめとしたいと思います。
Facebookアプリについて
今回の連載のテーマの1つはFacebookアプリでした。私自身もまだFacebookアプリについては学んで・試している最中で連載の内容にするのは1つのチャレンジではありましたが、Ruby on RailsからFacebookの認証との連携の方法(第4回)やFacebookのAPIの実行方法(第6回)などを解説しました。
FacebookのAPIは、常に改善されどんどん新しい仕様が追加されています。技術的には非常に面白いと思います。今回の連載で基本的な利用の仕方や全体の概要などを理解していただけたかと思うので、今後の新しい仕様がリリースされてもちょっと改良するだけで利用できるのではないでしょうか?
Facebookアプリは、新しいものがどんどんリリースされ人気のアプリも変化しています。世界で利用される、たくさんの人に利用されるアプリケーションを作るために、ソーシャルとの連携などもあり非常に魅力的なプラットフォームなので今後とも注目に値すると思います。
Herokuについて
今回の連載の柱は、RubyのWebサービスのプラットフォームであるHerokuについてでした。連載では、Herokuの魅力をさまざまな観点からご紹介してきました。すべてにおいて共通する部分は、オープンなところだったと思います。
Webの世界が広がってきた昨今、パッケージなどのクローズドなシステムからオープンなWebサービスへソフトウェアの中心が変化してきました。Herokuは、オープンソースの言語であるRubyのプラットフォームとしてサービスを行い、オープンなAPIを提供し、他社にアドオンという形でビジネス機会を提供するということを行っており、非常にオープンであると言えます。開発者としては、情報をオープンにするプラットフォームというのは、そうでないプラットフォームよりも非常に魅力的に見えます。
この姿勢は、先日の障害のときにも表れていました。Herokuが利用しているプラットフォームであるAmazon Web Serviceの障害の影響によりHerokuでもサービスにアクセスできなくなるという障害が発生しました。Herokuは、障害発生時から状況などをステータスのページに逐次掲載し、復旧の状態などをユーザにお知らせし続けました。また、障害が収まった後も原因や対策などをブログ(日本語訳)で詳細に説明するなど、非常にオープンな姿勢を示していました。
SalesForceに買収されるなどもありましたが、今後もこのオープンな姿勢が継続される限りより魅力的なプラットフォームとして成長を続けるのではないかと思います。
また、もう1つの魅力としては「シンプル」という部分も紹介してきました。Herokuのサービスに対して設定を変更を行うときは、APIを利用するコマンドのみが公式に提供されています(第10回)。開発者にとっては非常にシンプルで使いやすいサービスのインターフェースだと思います。ソースコードの管理もGitという分散バージョン管理システムを利用し、簡単に操作することができます(第2回)。料金体系としても、非常にDyno(Webプロセス)の数に応じて課金という非常にシンプルになっています。
もともとHerokuは、ブラウザ上でRailsアプリを開発できるサービスから成長してきました。多くのユーザがサービスをRailsの運用環境として利用していることを発見し、ユーザが求めている最低限の部分までサービスをシンプルに変更を続け、今の形に変わってきました。
Herokuの特徴であるアドオンによるエコシステム(第8回)も、Herokuの本体をシンプルに保った上で機能をどんどん追加できるようになっています。このアドオンシステムは非常に秀逸で、今後も参入する企業は増えていくと思います。シンプルに保ちながら拡張性も持っているというHerokuは今後ともより面白いサービスに成長してくのではないかと思います。
最後に
今回、私個人として初めてWebでこれほど回数をこなす連載を執筆させていただきました。まだまだ説明不足やわかりにくい部分もあったかと思いますが、非常に良い経験をさせていただきました。毎回レビューをしていただいたSonicGardenのメンバーに感謝いたします。また、連載を通してサポートしていただいた編集者の馮様にも感謝いたします。
最後まで読んでいただいた読者の皆様にも非常に感謝しています。
ぜひ、連載の感想などを私(@mat_aki)までいただければ嬉しいです。