概要
2002年に初版,2009年に第2版を発売した名著「C言語によるPICプログラミング入門」が大幅リニューアルし「大全」として生まれ変わりました。CコンパイラはMicrochip Technology社純正のXC8に,統合開発環境もMPLAB X IDEに変更。さらに,GUI画面の操作で内蔵モジュール設定用の関数が自動的に生成される新プラグイン「MCC(MPLAB Code Configurator)」についても大きく取り上げています。 C言語でPICマイコンのプログラミングを始めたい方から,最新のPICマイコンの機能をとことん使い倒したい方まで,必ず役に立つ1冊です。
こんな方におすすめ
- C言語でPICマイコンの開発をしたい方
- MPLAB X IDEやMCCの使い方を知りたい方
- PICマイコンの内蔵モジュールを使い倒したい方
著者から一言
~本書 はじめにより~
この数年でPICマイコンの最大のファミリであるPIC16Fファミリに,大幅に機能強化されたエンハンスドミッドレンジファミリ,通称PIC16F1ファミリが出揃ってきました。
このファミリはメモリ増強や速度アップ,命令の追加などで「C言語」によるプログラム開発に最適になるように性能強化されています。これに合わせてCコンパイラも「MPLAB XC Suites」として整理され,統合開発環境のMPLAB X IDEと合わせてC言語による開発環境が整いました。そこで,これを機にXCコンパイラによる8ビットPICマイコンのC言語プログラミングの解説をまとめることにしました。
さらに,このPIC16F1ファミリには性能アップだけでなく,「コアインデペンデントペリフェラル(CIP)」と呼ばれる数多くの種類の周辺モジュールが実装されています。このCIPは,一度設定するとプログラム制御なしで独自に動作を継続してくれます。特にモータ制御やLED用スイッチング電源などのアプリケーションでは,フィードバック制御をCIPだけで実行させることができます。これによりハードウェア速度による高速動作が実現され,同時にプログラム負荷を大幅に減らしてくれます。
しかし,CIPは種類が多く,しかも結構複雑な設定が必要なものもあるため,なかなか使い切ることが難しいといわれていました。このため,これらの障壁をなくすことを目的に「MPLAB Code Configurator(MCC)」というプログラムコード自動生成ツールが開発されました。
このMCCを使えば複雑なCIPを,GUIを使った簡単な設定だけで使うことができます。MCCは,設定内容をC言語の初期化関数として生成するだけでなく,CIPを使うために必要な制御関数も生成してくれます。そこで,本書にはC言語の使い方だけでなく,MCCを使ったCIPの使い方も一緒に加えることにしました。しかし,CIPの種類が多いため,ページ数が多くなり過ぎてしまい,一部を技術評論社のウェブサイトからのダウンロードという形にせざるを得ませんでした。両方を合わせてお使いください。
本書により,C言語によるプログラミングでPICマイコンをより簡単に使っていただき,さらにMCCによりCIPを使いこなすことで,より複雑で高機能なアプリケーションを手早く開発していただくことができれば幸いです。
補足情報
なお本書にて作成する演習ボード用のプリント基板を,以下のWebサイトにて頒布しています。
サンプル
サポート
ダウンロード
本書で作成したプログラムや演習ボードの回路図・パターン図・実装図,本書の内容補足PDFを以下のリンクからダウンロードできます。ファイルの内容については,本書P.582をご覧ください。なお内容補足PDFフォルダの解凍には,本書P.583記載のパスワードが必要となります。
- ダウンロード
- PIC_C_Completebook.zip
なお,開発環境のバージョンアップがあったため,2020年3月現在の最新の環境で使用できるようにプログラムを修正したものも用意しました。
- ダウンロード
- PIC_C_Completebook202003.zip
上記のファイルのうち,過去のものとの差分も用意しています。2020年3月23日以前にすでにダウンロード済の方は,以下が最新のSoftwareフォルダですので,お手数ですがお手持ちのものと差し替えて下さい。次項にある補足情報もお読みください。
- ダウンロード
- Software.zip
なおそれぞれのファイルは,ご自身の責任において使用してください。使用した如何なる結果についても,著者および技術評論社は一切の責任を負いません。
本データは著作権法上の保護を受けています。収録されているファイルの一部あるいは全部について,いかなる方法においても無断で複写,複製,再配布することは禁じられています。 以上のことをご確認,ご了承の上,データをご利用下さい。
補足情報
MCCのバージョンアップについて
(2021年11月30日更新)
コード自動生成ツール「MPLAB Code Configurator(MCC)」が2021年10月にバージョンアップしましたが,このバージョンはそれまでのMCCと互換性がない箇所があります。このため,バージョンを指定してインストールするための補足情報を用意いたしました。本書の記載と合わせてご覧下さい。
開発環境のバージョンアップについて
本書の発売から約2年経過し,本書で使用している統合開発環境である「MPLAB X IDE」,Cコンパイラ「XC8」,コード自動生成ツール「MPLAB Code Configurator(MCC)」がそれぞれ本書の執筆当時よりバージョンアップしています。
- MPLAB X IDE v1.45 → v5.35
- XC8 コンパイラ v1.45 → v2.10
- MPLAB Code Configurator(MCC) v3.45.1 → v3.95.1
このため,本書の記載が古くなってしまっている部分があります。以下に,補足情報を用意いたしました。
内容補足PDF「第3部_8-6_ZCDモジュールの使い方」の例題について
ZCDでAC100Vを端子台に接続する場合,感電する恐れがありますので注意して作業して下さい。次のようにすると安全にできます。
- ACプラグ付きのACケーブルを用意する
- ケーブルのプラグが付いていない側の線の端末の被覆をいずれか片方だけ1cmほど除き,線材部をはんだ処理する
- 残りの片側はテープなどで絶縁しておきショートしないようにする
- はんだ処理した線を端子台の信号側(GNDではない)の挿入口に挿入しねじを締めて固定する
- 基板を動作させてから,ACプラグをACコンセントに挿入する(向きはどちらでもよい)
正誤表
本書の正誤については,著者後閑哲也氏のWebサイトhttp://www.picfun.com/bookmntZ1.htmlに掲載されています。