Cyanogenがリストラに関して声明を発表
先週のニュースで、Cyanogen, Inc.が大規模なリストラを実施中とお伝えしました。
この報道に対してCyanogen, inc.のCTOでありCyanogenModの生みの親でもあるSteve Kondik氏がCyanogenModのブログで声明を公開しました。
リストラに関しては、公開されたエントリでは触れていませんが、憶測として書かれたCyanogenModの開発中止や縮小はいっさいなく、引き続き開発を続けるとしています。また、アプリ開発へ事業をシフトするのではないかとも書かれましたが、こうした事実はないと明言し、引き続きCyanogenModの開発を続けて、パートナーシップも積極的に進めると書かれています。
CyanogenModは、オープンソースで開発が進められているので、突然、開発がストップすることはないと考えられますが、今回の声明によりCyanogen, Inc.がCyanogenModの開発を続けていくことが確認されました。
CyanogenModとは?
せっかくなので、CyanogenModがどういったものかをご紹介しておきます。
CyanogenModは、Cyanogen,Inc.が開発するAndroidのカスタムROMです。
これの生みの親はSteve Kondik氏で、Samsung Mobileにソフトウェアエンジニアとして働いているころ、自身のサイドプロジェクトして開発を進めていました。同氏は、Samsung MobileでGALAXY S4の開発に関わるなどして活躍していたようですが、2年足らずで退社して、Cyanogen, Inc.を立ち上げて、現在はCTOの役職に就いています。
初期のCyanogenMod
初期のCyanogenModは、標準のAndroidに満足できないユーザやメーカサポートが切れた端末で最新のAndroidを動かしたいユーザたちが好んでインストールしていました。パワーユーザが中心だったこともあり、ある程度のスキルを持ったユーザでないと自身が持つ端末に導入できないような状況でした。
また、当時のCyanogenModは、ユーザの利益のためと考えて、フリーディストリビューションに含まれていないGmail、Google Maps、YouTubeなどのGoogle AppsをCyanogenModに含めて配布していました。これをライセンス違反としてGoogleからCyanogenModの配布停止命令を受けたこともあり、ユーザからは敵対するような動きもありましたが、Googleとの話し合いによりGoogle Appsを外してCyanogenModの配布を再開するなどの騒ぎもありました。
Cyanogen, Incの設立
2012年12月には、ベンチャーキャピタルから700万USドルの出資を受けて「Cyanogen, Inc.」が設立されました。会社組織となってからは、CyanongenModをベースに独自アプリやテーマを追加した「Cyanogen OS」がWileyfoxやZUK, YUなど特定の端末に組み込まれて販売されており、技術的な知識がないユーザでも端末を購入すればすぐに使える状況が整っています。
CyanogenModは、中国のAppleと呼ばれたXiaomiのMIUIもベースにしていたり、OPPO N1やOnePlus Oneに組み込まれて販売されていたこともありました。OPPO N1は、通常にColor OSに変えてCyanogenModを組み込んで「OPPO N1 CyanognenMod Edition」として公式通販サイトから販売していました。OnePlusの方は、CyanogenがインドのMicromaxと提携してインド進出を阻まれる形になったために、OnePlus 2からはCyanogenModの組み込みを取りやめて、独自にAndroidをカスタマイズしたOxygen OSを自社の製品に組み込んでグローバル展開を進めています。このように、Cyanogenを巡った悲喜こもごももありました。
現在のCyanogenMod
Cyanogen, Inc.の設立当初は、CyanogenModをAndroid端末に簡単に導入することを目的としていました。しかし、現在は特定メーカにCyanogen OSを提供したり、Microsoftと提携してCortanaをCyanogen OSに組み込むなど、AndroidのカスタムROMメーカの枠をこえた仕事をしています。
Firefox OSなきあとWindows 10 Mobileがその座に着くと思われた第3のOSですが、これはCyanogen OSであると言っても良いのかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。