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2019年5月第2週平成を彩ったモバイルOSたち(後編):Windows CE、Firefox OS

平成を彩ったモバイルOSたち(後編)

元号が令和になりました。この前の平成にはAndroidに限らず多くのモバイルOSが登場したので、前編・後編の2回に分けてモバイルOSをふり返ります。今回は後編です。

前編は、こちらをご覧ください。

Windows CE(1997年~2013年)

Windows CEはPDA用OSとして登場しました。MicrosoftらしくWindowsで得た開発経験とVisual Studioを使ってアプリが開発できました。当時、他のモバイルOSと比較すると開発環境がよく整備されており、さすがとうなる状況でした。

サポートCPUが現在主流のARMだけではなく、MIPS、SuperH、PowerPC、x86が含まれていたのも特徴でした。PCでクロスコンパイルしましたが、アプリはCPUごとにバイナリを用意する必要があり、リリースの度にひと手間かける必要があったのは良い思い出です。当時、筆者が開発したベンチマークアプリがとあるCPUベンダから、他社CPUとの性能比較を行いたいと供給打診を受けソースコードを提供したこともありました。

フォームファクタごとに区別されていたのも特徴で、キーボード付きのクラムシェル型の端末向けには「Handheld PC⁠⁠、キーボード無しの手のひらサイズの端末には「Palm-size PC」⁠のちにPocket PC、そして、Windows Moble)と作り分けられていました。Pocket PC 2002からは、これまで立体的なUIデザインが、平面的なUIデザインに変更されて見た目がシンプルになりました。

また、NEC、カシオ、富士通、東芝など名だたる国内メーカが端末を発売していました。Handheld PCでは、HPのJornadaシリーズ、NECのモバイルギア、NTTドコモのシグマリオンなど、熱狂的なファンを多く生み出しましたがいずれも終息してしまいます。

Pocket PCは、HPに買収されたCompaqの「iPAQ Pocket PC」が70万台のバックオーダを抱えるほどのヒット作で、の後に続く端末に大きな影響を及ぼししました。iPAQ Pocketは、一体化があたりまえだった拡張スロット(CFスロット)をジャケットと呼ぶ拡張モジュールで外付けにすることで、当時としては持ちやすいサイズと他とは違うデザインを実現していました。

Windows CE搭載のPDAは携帯電話の高機能化に伴い縮小傾向になりますが、海外では通信機能を内蔵したPDAが登場し主流になります。このような端末は、国内ではウィルコムのW-ZERO3が登場するまでお預けでした。

Windows系譜のモバイルOSは、このあとWindows Phoneが登場します。

これは、クラウドとの親和性を重視して新たに開発されておりWindows CEとは別物です。Windows Phoneでは、ZuneのModern UIが採用されて、Windows 10にも継承されています。Windows Phoneは、7, 7.5, 7.8, 8, 8.1、そして、Windows 10 Mobileと進化を続けましたが、AndroidやiOSに対抗する勢力とはならず、2019年12月10日サポートが終了し、後継のモバイルOSはMicrosoftからリリースされていません。

Firefox OS(2013年~2017年)

Firefoxを開発するMozillaが手掛けたモバイルOSで、スマートフォンやタブレットをターゲットとしていました。これまで取り上げたOSと比較すると新しい部類です。

モバイルOSは、AndroidかiOSで決まりかけたところに、2013年のMobile World CongressでFirefox OSを搭載するスマートフォンがお披露目されました。このとき、KDDIがパートナーとして名前を連ねており、2014年12月にauからFirefox OS搭載のスマホ「Fx0 LGL25」が発売されています。

25USドルスマホを発表したことでも話題になりました。また、スマホだけではなくスマートTV用のOSとしても使われ、Panasonicのテレビに「My Home Screen」という名前で搭載されて開発が続いています。

技術面ではAndroidとの共通点を持っていますが、アプリ開発はHTML5やJavaScript、CSSなどWeb標準技術を使います。特定プラットホームに依存しないWeb標準の技術を使うので、他で行われた技術投資が活用できるなど、オープン技術を使いアプリが開発できることをMozillaは強くアピールしていました。

2015年末には勢いがなくなり、IoT向けにOSとして再出発を計りましたが、うまく行かず2017年2月には開発中止になっています。これでOSの墓場行きとかと思われましたが、Firefox OSの開発で得た経験値や資産を活かしたフィーチャーフォン向けOSの「KaiOS」が登場しました。

まだまだある

平成生まれのOSで生き残ったのは実質AndroidとiOSだけですが、5年経たずに終焉したOSもあります。KaiOSは、はじまったばかりですがAndroid、iOSと上手くすみ分けており、自分たちの立ち位置を得ているようにみえます。今回は筆者のなじみが薄かったので、BlackBerry OSやZaurusは触れていません。

今週は、このあたりで、また来週。

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